令和元年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-4 を解説、直線すべり面の安全率の式
令和元年度 建設部門Ⅲ-4は、直線すべり面を持つ斜面の安全率Fsを表す式を選ぶ設問です。
この問題のポイント
安全率は、すべりに抵抗する力をすべらせる力で割った値です。
重量Wをすべり面に沿う向きと垂直な向きに分けると、すべらせる力が W sinα、垂直に押さえる力が W cosα です。抵抗する力は、粘着力による cl と、摩擦による W cosα tanφ の和です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢2(適切なもの)
> この論点をやさしく解説:斜面の安全率|すべらせる力と抵抗する力の比
各選択肢の正誤
正しいのは1つで、残る4つはどこかが違います。
| 選択肢 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 (cl+W sinα tanφ)÷(W cosα) | ×(誤り) | sinαとcosαが逆。すべらせる力はW sinα |
| 2 (cl+W cosα tanφ)÷(W sinα) | ○(正しい) | 分子が抵抗する力、分母がすべらせる力 |
| 3 (cl+W cosα sinφ)÷(W sinα) | ×(誤り) | 分母は正しいが、摩擦がtanφでなくsinφになっている |
| 4 (cl+W sinα sinφ)÷(W cosα) | ×(誤り) | sinαとcosαが逆で、さらにtanφがsinφになっている |
| 5 (cl+W cosα cosφ)÷(W sinα) | ×(誤り) | 摩擦がtanφでなくcosφになっている |
まとめると Fs=(cl+W cosα tanφ)÷(W sinα) になり、選択肢2に一致します。
選択肢2のポイント(ここが誤り)
崩し方は2通りです。sinαとcosαを入れ替えた形と、摩擦の tanφ を sinφ や cosφ に差し替えた形が並びます。
力を2方向に分ける
★令和4年度Ⅲ-4と同じ設問で、正答の番号が違う
令和元年度Ⅲ-4と令和4年度Ⅲ-4は、同じ図と同じ5つの式が並ぶ設問です。令和元年度の正答は選択肢2、令和4年度の正答は選択肢5でした。
選択肢の並び替えだけで番号が変わるので、番号で覚えていると外れます。
覚えるのは式の形です。分子に cl と W cosα tanφ、分母に W sinα です。
摩擦がtanφである理由
摩擦力は、面を押さえつける力に摩擦係数を掛けた値です。土のせん断強さでは、この摩擦係数にあたるのが tanφ です。
モール・クーロンの破壊規準が τ=c+σ tanφ の形をしているので、tanφ 以外にはなりません。選択肢3と5は tanφ を sinφ や cosφ に替えてあり、規準の形から外れています。
安全率が1を下回るとどうなるか
分母のすべらせる力が分子の抵抗を上回った状態です。計算上は斜面が動くので、対策が必要という判断になります。
設計では1.2前後の安全率を確保するのが一般的です。
覚え方
- 安全率は抵抗する力÷すべらせる力
- すべらせる力は斜面に沿う W sinα、押さえるのは垂直の W cosα
- 摩擦は必ず tanφ(モール・クーロンの形。sinφ・cosφ は崩し)
理解度チェック
直線すべり面の安全率の式はどうなるか。
Fs=(cl+W cosα tanφ)÷(W sinα) です。
すべらせる力はどちらの成分か。
すべり面に沿う成分の W sinα です。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」3ページ Ⅲ-4
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月