平成29年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-8 を解説、まわし溶接部は有効長に含めない
平成29年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-8は、鋼橋の設計に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、溶接の有効長という考え方を分かっているかを問うものです。引っかけの核心はまわし溶接部を数えてよいかで、含めると書いてあります。
残る4つは風による振動、トラスの二次応力、そりねじり、隅角部の施工性です。いずれも正しい記述です。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:溶接継手|のど厚と有効長の考え方
各選択肢の正誤
5つのうち4つは正しい記述なので、誤っている1つを探します。溶接の話だけが数え方に踏み込んでいます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 アーチ橋の細長い吊材や支柱は風による有害な振動に注意する | ○(正しい) | 細長い部材は風で振動しやすい |
| 2 トラスは格点剛結による二次応力をできるだけ小さくする | ○(正しい) | 理想はピン結合だが実際は剛結になる |
| 3 まわし溶接部分も有効長に含める | ×(誤り) | 含めない。端部の応力集中を避けるための処理で耐力には数えない |
| 4 箱形断面主桁ではそりねじりによる応力を一般に無視できる | ○(正しい) | 閉断面はねじり剛性が高くそりが小さい |
| 5 ラーメン隅角部は溶接施工性が耐荷力や疲労強度に影響する | ○(正しい) | 組立時の作業性が品質に直結する |
選択肢4は開断面なら成り立たない話です。箱形という条件が付いているので正しい記述になります。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
まわし溶接は溶接の端部を回り込ませる処理で、端部の応力集中をやわらげるために行います。耐力として数えるための溶接ではないので、有効長からは外します。
そりねじりは開断面でねじったときに断面がゆがむ現象です。箱形のような閉断面はねじり剛性が高く、そりが小さいので無視できます。
トラスの格点は理想ではピン結合ですが、実際は溶接やボルトで剛結になります。そこで生じる曲げが二次応力で、できるだけ小さくする設計にします。
覚え方
- まわし溶接部は有効長に入れない
- 閉断面はそりねじりを無視できる
- トラスの二次応力は格点剛結から出る
理解度チェック
まわし溶接部を有効長に含めない理由は何か。
端部の応力集中を避けるための処理で、耐力として数える部分ではないためです。
箱形断面でそりねじりを無視できるのはなぜか。
閉断面はねじり剛性が高く、断面のそりが小さいためです。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成29年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」4ページ Ⅲ-8
- 公益社団法人 日本技術士会「平成29年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成29年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 圧密で排出されるのは間隙水
- Ⅲ-2 間隙比が小さい構造が密な状態
- Ⅲ-3 ダルシーの法則は流速と動水勾配
- Ⅲ-4 水面より下は水中単位体積重量
- Ⅲ-5 外径が効く円環断面が最大
- Ⅲ-6 ローラー支点は回転も自由
- Ⅲ-7 たわみの公式は分母に3がある
- Ⅲ-8|まわし溶接部は有効長に含めない
- Ⅲ-9 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-10 アルカリシリカ反応は膨張する
- Ⅲ-11 高炉セメントB種はASRを抑える
- Ⅲ-12 施工に要るのはワーカビリティー
- Ⅲ-17 全水圧は三角形分布の面積
- Ⅲ-18 時間で変わるのは不定流
- Ⅲ-19 単一管路では流量が変わらない
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