平成29年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-10 を解説、アルカリシリカ反応は膨張する
平成29年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-10は、コンクリート構造物の劣化現象に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、代表的な劣化現象の名前と中身が結びついているかを問うものです。引っかけの核心はアルカリシリカ反応で2か所を同時に崩してある点で、酸性と収縮の両方が違います。
名前にアルカリと入っているのに酸性と書いてあります。どちらか一方に気づけば切れます。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢3(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:コンクリートの劣化|中性化・塩害・凍害・化学的侵食
各選択肢の正誤
5つのうち4つは劣化現象の定義そのままです。誤りは1つで、2語が同時に置き換わっています。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 床版の疲労は輪荷重の繰返し作用でひび割れや陥没を生じる現象 | ○(正しい) | 道路橋のRC床版で起きる |
| 2 塩害は塩化物イオンで鋼材の腐食が促進される劣化現象 | ○(正しい) | ひび割れ・剥離・断面減少を起こす |
| 3 アルカリシリカ反応は酸性水溶液と反応して収縮とひび割れを起こす | ×(誤り) | アルカリ性の水溶液と反応して膨張する。2語が逆 |
| 4 凍害は凍結と融解の繰返しでスケーリングやポップアウトを起こす | ○(正しい) | コンクリート表面から劣化する |
| 5 化学的侵食は酸性物質や硫酸イオンとの接触で硬化体が分解する | ○(正しい) | 化合物生成時の膨張圧でも劣化する |
選択肢3と5はどちらも酸性という言葉を使っています。化学的侵食のほうは正しいので、名前と中身の組合せで見ます。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
アルカリシリカ反応は、セメント中のアルカリ分と骨材のシリカ鉱物が反応してできるゲルが水を吸って膨張する現象です。膨らむ力でコンクリートにひび割れが入ります。
この設問は酸性と収縮の2か所を同時に崩しています。片方だけでも誤りなので、どちらに気づいても切れる形です。
令和4年度Ⅲ-12③にまったく同じ誤り肢が出ています。文言まで一致していて、そのまま使い回されています。
覚え方
- アルカリシリカ反応はアルカリ性で膨張
- 化学的侵食のほうが酸性
- 凍害はスケーリング・ポップアウト
理解度チェック
アルカリシリカ反応で起きるのは膨張か収縮か。
膨張です。ゲルが水を吸って膨らみ、ひび割れを起こします。
酸性物質で劣化する現象は何か。
化学的侵食です。硬化体が分解したり膨張圧で劣化します。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成29年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」5ページ Ⅲ-10
- 公益社団法人 日本技術士会「平成29年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成29年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 圧密で排出されるのは間隙水
- Ⅲ-2 間隙比が小さい構造が密な状態
- Ⅲ-3 ダルシーの法則は流速と動水勾配
- Ⅲ-4 水面より下は水中単位体積重量
- Ⅲ-5 外径が効く円環断面が最大
- Ⅲ-6 ローラー支点は回転も自由
- Ⅲ-7 たわみの公式は分母に3がある
- Ⅲ-8 まわし溶接部は有効長に含めない
- Ⅲ-9 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-10|アルカリシリカ反応は膨張する
- Ⅲ-11 高炉セメントB種はASRを抑える
- Ⅲ-12 施工に要るのはワーカビリティー
- Ⅲ-17 全水圧は三角形分布の面積
- Ⅲ-18 時間で変わるのは不定流
- Ⅲ-19 単一管路では流量が変わらない
- ▶ 平成29年度 一覧へ