平成26年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-9 を解説、引張接合は軸方向の引張で伝える
平成26年度 技術士第一次試験 建設部門 Ⅲ-9は、鋼構造物に関する問題です。この問題では、5つの記述のうち最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、高力ボルト継手の3つの方式を区別できるかを問うものです。引っかけの核心は引張接合に摩擦の説明が付けてある点で、説明そのものは摩擦接合として正しいものです。
同じ崩し方が平成27年度Ⅲ-8では支圧接合に付けてあります。どの方式に付けるかを年度ごとに変えてあります。
※ 問題文と選択肢そのものは、公益社団法人 日本技術士会が公開している公式PDFで確認できます。
正答:選択肢1(最も不適切なもの)
> この論点をやさしく解説:溶接継手|のど厚と有効長の考え方
各選択肢の正誤
5つのうち4つは鋼構造の基本です。誤りは接合方式の説明にあります。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 引張接合継手では継手材片間に働く力を材片間の摩擦力によって伝達する | ×(誤り) | ボルト軸方向の引張力で伝える。摩擦力は摩擦接合 |
| 2 引張力を受ける部材のボルト孔が設けられる場合の有効断面積には純断面積を用いる | ○(正しい) | 孔の分を引く |
| 3 部材が薄板で構成される場合には面内の圧縮応力で座屈しないよう補剛設計を行う | ○(正しい) | 板の局部座屈 |
| 4 鋼材は弾性限度内で応力とひずみが直線的に比例すると仮定する | ○(正しい) | フックの法則 |
| 5 溶接継手の設計では溶接が集中しないこと、確実に施工でき検査しやすいことを考慮する | ○(正しい) | 施工性と検査性 |
選択肢1は摩擦接合の説明としてなら正しいものです。方式の名前だけを入れ替えてあります。
選択肢1のポイント(ここが誤り)
高力ボルトの継手は3つに分かれます。摩擦接合は板と板の摩擦、支圧接合はボルトのせん断と支圧、引張接合はボルト軸方向の引張で力を伝えます。
引張接合はフランジどうしを突き合わせてボルトで引き寄せる形で使います。力が板と直角に働くので、摩擦は関係しません。
平成27年度Ⅲ-8④は支圧接合に摩擦の説明を付けています。同じ崩し方を別の方式に付けた形です。
覚え方
- 3方式は摩擦・支圧・引張
- 摩擦力で伝えるのは摩擦接合だけ
- 引張接合はボルト軸方向の引張
理解度チェック
高力ボルト引張接合はどうやって力を伝えるか。
ボルト軸方向の引張力で伝えます。摩擦力ではありません。
ボルト孔がある部材の有効断面積は何を使うか。
純断面積です。孔の断面積を引いた値になります。
出典
- 公益社団法人 日本技術士会「平成26年度 技術士第一次試験問題〔専門科目 建設部門〕」6ページ Ⅲ-9
- 公益社団法人 日本技術士会「平成26年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。上の表は各選択肢で問われている論点で、実際の設問は公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月
▼平成26年度 建設部門(35問中 解説15問)▼
- Ⅲ-1 締固めエネルギーで曲線が動く
- Ⅲ-2 定水位と変水位の適用範囲
- Ⅲ-3 土が緩む側は主働状態
- Ⅲ-4 有効土被り圧が小さい側は過圧密
- Ⅲ-5 ダイレイタンシーは体積を変える
- Ⅲ-6 断面二次半径は幅に依存しない
- Ⅲ-7 平成29年度と選択肢が同じ設問
- Ⅲ-8 三角形分布荷重は3次曲線
- Ⅲ-9|引張接合は軸方向の引張で伝える
- Ⅲ-10 床版に載せるのはT荷重
- Ⅲ-11 早強は寒中と急ぐ工事に使う
- Ⅲ-12 乾燥収縮は部材が大きいほど小さい
- Ⅲ-17 津波は浅水波として伝わる
- Ⅲ-18 高水敷に設置されるのは低水護岸
- Ⅲ-19 粒径が大きいほど天端幅は大きくする
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