体積が変わらない弾性体のポアソン比は0.5|3成分を足して0にする
この記事の要点
体積ひずみは3方向の垂直ひずみの和で、これが0になる条件からポアソン比0.5が出ます。
0.5は体積が変わらない材料の上限で、ゴムがこれに近いです。
ポアソン比は、引っ張った向きの伸びに対して横がどれだけ縮むかの比です。
鋼は0.3前後、コンクリートは0.2前後ですが、上限がなぜ0.5なのかは導けます。
1軸の応力が3方向のひずみを作る
x方向に垂直応力σxxだけを加えると、その向きには σxx/E だけ伸びます。同時にyとzの向きには、それぞれ −νσxx/E だけ縮みます。
| 向き | σxxによるひずみ |
|---|---|
| x | σxx/E |
| y | −νσxx/E |
| z | −νσxx/E |
3方向の応力が同時に働くときは、それぞれの寄与を足し合わせます。
体積ひずみは3成分の和
体積の変化を表す体積ひずみεは、εxx+εyy+εzz で与えられます。3成分の応力すべての寄与を足すと、ε=(1−2ν)(σxx+σyy+σzz)/E です。
応力の組合せがどうであれ体積が変わらないなら、係数の(1−2ν)が0でなければなりません。
したがって ν=1/2 が出ます。
技術士一次ではこの形で出た
令和元年度の基礎科目Ⅰ-3-4が、この導出をそのまま踏ませる設問でした。等方性線形弾性体について、いかなる組合せの垂直応力が働いても体積が変化しないとき、ポアソン比の値を選ぶ形になっています。
体積ひずみが3成分の和であることと、εyy=εzz=−νσxx/E であることは設問文に与えられていました。正答は1/2で、選択肢には1/6・1/4・1/3・1も並んでいました。
0.5を超えられない理由
νが0.5を超えると(1−2ν)が負です。その場合、押し縮めたのに体積が増えることになってしまいます。
だから0.5は等方性弾性体の上限です。
理解度チェック
ポアソン比が0の材料はどうなるか。
引っ張っても横が縮みません。体積ひずみの式は ε=(σの和)/E となり、伸びたぶんだけ体積が増えます。
ゴムのポアソン比が0.5に近いのはなぜか。
押しても引いても体積がほとんど変わらないためです。形は大きく変わりますが、体積は保たれます。
鋼のν=0.3のとき、静水圧を加えると体積は減るか。
減ります。(1−2ν)=0.4で正なので、圧縮の応力に対して体積ひずみも負です。
まとめ
体積ひずみの係数(1−2ν)が0になる点が、ポアソン比0.5です。
式を覚えていなくても、3成分を足して0と置けばその場で出せます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」13ページ Ⅰ-3-4
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月