温度応力 σ=E・α・ΔT|断面積も長さも使わない
この記事の要点
両端が固定された棒の温度応力は σ=E・α・ΔT で、断面積も長さも式に入りません。
温度が上がれば圧縮、下がれば引張です。
温度応力は、伸びようとする棒を動けなくしたときに生じるもので、外力が何も載っていないのに応力が出るのはこの拘束のためです。
伸びを打ち消す量で決まる
自由な棒の温度がΔT上がると、ひずみ αΔT だけ伸びます。両端が固定されていれば、この伸びをちょうど打ち消すひずみが必要です。
フックの法則 σ=Eε に ε=αΔT を入れると σ=E・α・ΔT が出ます。
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| E | 縦弾性係数(ヤング率) | MPa |
| α | 線膨張率 | 1/K |
| ΔT | 温度の変化量 | K または ℃ |
αの単位が1/KなのでΔTと掛けると無次元になり、Eの単位がそのまま応力の単位です。
断面積と長さは出てこない
ひずみは長さの比なので、もとの長さが何mでも同じ値です。応力は単位面積あたりの力なので、断面積が何m²でも変わりません。
設問は断面積と長さを与えてきますが、どちらも使いません。使おうとすると答えが出なくなります。
符号は「伸びたいのに伸びられない」で決まる
温度が上がると棒は伸びたいのに、壁に止められます。押し縮められている状態なので圧縮応力です。
逆に温度が下がると縮みたいのに引き止められるので、引張応力です。
技術士一次ではこの形で出た
令和3年度の基礎科目Ⅰ-3-4が、この式に数値を入れる設問でした。断面積0.1m²、長さ2.0mの棒の両端が固定壁に固定され、縦弾性係数2.0×10³MPa、線膨張率1.0×10⁻⁴K⁻¹という条件になっています。
温度が10℃から30℃になったときの応力を選ぶ問題で、正答は4.0MPaの圧縮応力でした。
数字を入れる
| 段階 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 温度変化 | 30 − 10 | 20 K |
| 自由なら生じるひずみ | 1.0×10⁻⁴ × 20 | 2.0×10⁻³ |
| 応力 | 2.0×10³ × 2.0×10⁻³ | 4.0 MPa |
| 符号 | 温度上昇なので | 圧縮 |
選択肢には同じ4.0MPaでも引張のものが並んでいたので、符号で半分が決まります。与えられた0.1m²と2.0mは、最後まで一度も使いません。
理解度チェック
棒を長くすると温度応力はどうなるか。
変わりません。ひずみは長さの比なので、長さは打ち消し合います。
片方の端だけ固定して他端を自由にすると、応力はどうなるか。
0です。自由に伸びられるので拘束されず、ひずみを打ち消す必要がありません。
温度が下がったとき、応力の向きはどうなるか。
引張です。縮みたいのに引き止められるためで、橋の伸縮装置はこの力を出さないために設けます。
まとめ
温度応力は σ=E・α・ΔT の3つだけで決まります。
与えられた寸法に手を出さず、符号を「伸びたいのに伸びられない」で決めれば足ります。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」13ページ Ⅰ-3-4
公益社団法人 日本技術士会「令和3年度 技術士第一次試験 試験問題の正答」
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月