棒の伸び δ=PL/(AE) とひずみエネルギー|1/2が付く理由
この記事の要点
棒の伸びは δ=PL/(AE)、蓄えられるひずみエネルギーは U=P²L/(2AE) です。
Uに1/2が付くのは、荷重が0からPまで増えながら仕事をするためです。
棒の伸びの式は、材料力学で最初に覚える1本です。
この式さえ持っていれば、ひずみエネルギーも不静定も同じ道具で解けます。
伸びの式は3つの定義から出る
応力は σ=P/A、ひずみは ε=δ/L と定義されます。この2つをフックの法則 σ=Eε でつなぐと、P/A=E・δ/L です。
δについて解けば δ=PL/(AE) が出ます。
| 記号 | 意味 | 伸びへの効き方 |
|---|---|---|
| P | 軸方向の力 | 比例して伸びる |
| L | 棒の長さ | 長いほど伸びる |
| A | 断面積 | 太いほど伸びない |
| E | ヤング率 | 硬いほど伸びない |
分母のAEをまとめて軸剛性と呼びます。軸剛性は k=AE/L で、これが不静定を解くときの分け前です。
ひずみエネルギーは伸びの式から出る
荷重Pをかけて棒がδだけ伸びたとき、外力がした仕事が棒に蓄えられます。
ここで W=Pδ としてはいけません。荷重は0からPまで増えていくので、平均のP/2で効きます。
つまり U=(1/2)Pδ です。これに δ=PL/(AE) を代入すると U=P²L/(2AE) が出ます。
技術士一次ではこの形で出た
令和元年度の基礎科目Ⅰ-3-5が、この式をそのまま問う設問でした。左端を固定した長さl・断面積Aの棒が、右端で荷重Pを受けている設定になっています。
棒全体に蓄えられるひずみエネルギーを選ぶ問題で、正答はP²l/(2EA)でした。選択肢にはPlやPl²/Aも並んでいたので、次元を見るだけで大半は外せます。
令和5年度は数値を入れさせる形だった
令和5年度の基礎科目Ⅰ-3-4は、同じ式に数値を入れて伸びを出す設問になっています。長さ2.4m、断面積1.2×10²mm²、荷重2.0kN、ヤング率2.0×10²GPaという条件でした。
| 量 | 与えられた値 | mm系に直すと |
|---|---|---|
| L | 2.4 m | 2,400 mm |
| A | 1.2×10² mm² | 120 mm² |
| P | 2.0 kN | 2,000 N |
| E | 2.0×10² GPa | 2.0×10⁵ N/mm² |
δ=2,000×2,400÷(120×2.0×10⁵) を計算すると0.20mmになり、これが正答でした。
単位を全部mm系にそろえてから入れます。GPaのまま計算すると3桁ずれます。
次元で選択肢を削る
エネルギーの単位はN・mです。P²L/(2AE)の単位を並べると、N²・m÷(m²・N/m²)=N・mで合います。
式を思い出せなくても、単位が合う選択肢は限られます。
理解度チェック
断面積を2倍にすると、同じ荷重での伸びはどうなるか。
δ=PL/(AE)のAが2倍になるので、伸びは1/2です。
ひずみエネルギーに1/2が付くのはなぜか。
荷重が0からPまで増えながら伸ばしていくためです。仕事は平均のP/2で効き、U=(1/2)Pδとなります。
荷重を2倍にすると、蓄えられるひずみエネルギーは何倍になるか。
U=P²L/(2AE)でPの2乗なので4倍になります。伸びは2倍ですが、エネルギーは4倍と食い違う点に注意したいです。
まとめ
δ=PL/(AE)と U=P²L/(2AE) は、同じ1本の式の表と裏です。
軸剛性AE/Lという形で持っておくと、不静定の反力にもそのまま使えます。
出典
公益社団法人 日本技術士会「令和元年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」14ページ Ⅰ-3-5
公益社団法人 日本技術士会「令和5年度 技術士第一次試験問題〔基礎科目〕」10ページ Ⅰ-3-4
公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 択一式問題の正答」令和元年度・令和5年度
※ 問題文と選択肢は掲載していません。実際の設問は上記の公式PDFで確認できます。
※ この記事の確認日:2026年7月