ども、Tです。
建築学科の1クラスで、将来の進路に構造設計を選ぶ人は、全体の1割に満たないと聞きます。悩む理由は色々あると思いますが、心配なのはお金と、自分がやりたい建築が設計できるか、自分の能力で構造設計できるのか、ということですね。
ちなみにお金のことで悩んでいるなら、下記の記事が参考になります。
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今回は、「構造設計やりたいけど、できるか不安だし、どうしよっかな」という理由で悩んでいる方がいるなら、少しでも後押しになる本「建築の構造」について紹介したいと思います。
数学を使わず、構造を説明すること。
マリオ・サルバドリーはコロンビア大学の教授でありながら、土木や建築構造技術者です。彼はアメリカでもいくつか建物設計に携わっていますが、それよりも偉大だったのが数々の名著の執筆でした。
その1つが「建築の構造」です。
本書はサルバドリーの授業を纏めたものだそうです。本書の最大の特徴は、「数式を使わずに構造を理解することができる」ように工夫されたことです。
これは、巧みな文章と挿入された図によって達成されました。
構造設計の実務を続けたり、構造系の研究室にいると数学脳になりがちです。しかし、構造設計の本質は物理学であり数学ではありません。
また、もう1つ彼の名著に「建物が壊れる理由」という本があります。
ざっくばらんに言えば、これまで崩壊した構造物の原因を説明した本。「建物の崩壊」に着眼した本は、本書以外にないかと。
こちら下記にレビュー記事を書いています。合わせて参考にしてください。
マリオ・サルバドリーが残した名言。
「構造物の十分な知識はこれらの数学の道具を利用しなくては得られないだろう。数学は物理性状を説明しない。数学は物理的性状を正しく記述するものである。
しかし、数学的記述は非常に有効であるので、言葉では頁を必要とする考えを、基本公式で明確にし、簡単に説明することができる。」
つまり、物理的に部材がたわむか縮むのか、理解するのに必ずしも数式は必要ないということです。優れた構造設計者ほど経験により、力の流れが明確に理解できます。
彼らにとっては、数式はほとんど必要ないものでしょう。
学生の構造嫌いの多くが『難解な数式が嫌い』でとよく伺います。しかし、それが本質ではないことを知り、構造設計の道を少しでも明るくしてくれるのが本書だと私は思います。