構造設計に関すること

片持ち梁のハンチ部は断面算定を忘れないように。

意匠上の納まりで先端を絞ってほしい、と言う要望があります。鉄骨でもRC造でも有りうることなのですが、案外忘れがちなのがハンチ部の断面算定です。電算に入力すれば、ハンチ部を考慮して断面算定してくれます。

しかし手計算で行う場合、うっかり忘れてしまってZが足りないことが無いようにしたいですね。

 

例えば、鉄骨の片持ち梁で元々必要な断面にハンチをつけることになりました。元端は必要断面が確保できているのですが、柱芯から1000mmの位置では小さい断面にします。

この片持ち梁の元端応力をMdとするなら、ハンチ部の応力はMd‘です。片持ち梁の出寸法は3000mmとしましょう。ハンチ部に必要な断面係数は、元端の断面係数の何パーセント必要でしょうか?

片持ち梁の応力図を描くと、先端で0、元端で最大となるので、ハンチ部と全長の長さの比率でMd‘が算定できます。ハンチ部は柱芯から1000mmでしたから、

Md:3000=Md‘:2000

Md‘=2/3×Md

です。

つまり、元端で必要な断面係数をZ、ハンチ部で必要な断面係数をZ‘とするなら、

Z‘=2/3×Z

となり、元端部の66%程度の断面係数が必要になります。

 

例えば、元端部H-600x200x11x7のZ=2520x0.85(スカラップの断面欠損考慮して)=2142。ハンチ部は、2142x0.66=1413は必要です。これに相当する梁せいは、H-450x200だとギリギリ過ぎますし、H-500x200くらいになるでしょうか。

この比率で先端3000mmまでハンチをつけると、先端では250にまで絞ることができます。元端との梁せいの比率は600/250≒2.5程度。このくらいの勾配で先端を絞るなら問題ないことが確認できました。

断面係数は梁せいの二乗で小さくなります。片持ち梁の曲げモーメントは長さの比率です。急激にハンチをつける場合は断面算定を忘れずに。

それでは。

スポンサーリンク
 

こちらも人気の記事です

ピックアップ記事

  1. 建築系ブログを始めてわかった、未だによく分からないこと3つ。
  2. 鉄骨造で注意したい、外壁による鉄骨梁のねじれについて
  3. 自分の生き方に満足できていますか?
  4. 僕が思う、会社の飲み会に行くと損をする3つの理由
  5. 【一級建築士】試験でうっかりミスをなくす正しい対処法

関連記事

  1. 建築のこと

    建築屋さんが覚えるべき最低限の構造計画3つ

    ども、tyazukeです。意匠屋さんで、図面を描くときにRC壁…

  2. 建設業界のこと

    防腐処理していない木材を使って柱が折れた話

    誤解のあるタイトルですが、建物の話では無いのであしからず。以前、実家の…

  3. 構造設計に関すること

    構造の歴史を振り返ろう。日本と米国のせん断力係数の違いについて

    まあ仰々しいタイトルをつけましたが、あまり深堀していないので、気軽に読…

  4. 建設業界のこと

    【建築界の常識】なぜ適判員は事務所に来てくれないのか?【世間の非常識】

    当たり前のことを知人に話していたとき『それ、おかしくない?』、と言われ…

  5. 構造設計に関すること

    手書き計算書はフリクションボールで作成しよう

    フリクションボール(こすって消えるボールペン)が発売されてから手書き計…

  6. 構造設計に関すること

    RC梁の下端筋に付着力が無いとき、トラス梁と同じ構造形式?

    昨日、19時頃に仕事が終わったので、そのまま事務所で構造の本を読んでい…

スポンサーリンク

最近の記事

Tazukeのおすすめ書籍

  1. 労働のこと

    超高齢化社会と未来の住居スタイルについて
  2. 建築のこと

    藤村龍至が唯一無二の存在に成れたメディア戦略について
  3. 構造設計に関すること

    構造目線で考えよう。3本の矢を折るために必要な力とは。
  4. 一級建築の試験勉強

    総合資格学院の講師は、どうすればなれる?
  5. 一級建築の試験勉強

    一級建築士の試験に使えるスマホ用アプリ5選
PAGE TOP