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擁壁の安定モーメントはどうやって算定する?

構造設計

僕のフリーアドレスに日建学院からのメールが入っていました。「構造計算 一口メモ「木造住宅の大ばり断面算定」にチャレンジしてみましょう。」という件名。

(木造やったことないし、どんな計算するのだろう?)

んで、まんまと日建学院のメールをクリックします。そこで初めて知ったのですが日建学院は、「簡単な構造計算」という講座をしているのですね。

 

「木造住宅の大梁断面算定」も、そのカリキュラムのネタの1つ。「構造計算一口メモ」と書いてあります。一口メモは受講とは別で、HPに掲載されているので誰でもみることができます。

さて、その中に擁壁の安定計算の方法が書いてありました。一部を抜粋します。

とまぁ、こんな感じで計算方法が示されています。今回抜粋していませんが、公式の後に計算例が示されています。右図の条件をみれば、これから何を計算するのか想像できます。

(へぇ~こんな感じで構造計算教えてんだ~・・・でも実務とはかけ離れているなぁ~。簡単に書いてあるけど、水平力の設定や、安定重量など、計算に必要な諸言の設定が、構造計算で最も重要なのになぁ・・・。)

・・

・・・

ということで、今回は擁壁の安定モーメントの算定方法をちょっくら勉強しようと思います。

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安定モーメントとは何ですか?

そもそも「擁壁」というのは、片側に土があってその土圧を受ける構造物のこと。日建学院さんの例題を読み解くと、この擁壁はL型擁壁で、向かって右側から片土圧を受けている。この土圧による水平力が擁壁に作用すると、擁壁は倒れようとします。

試しに水入りペットボトルを擁壁だと思って考えました。横から力を加えると、ある点(線)を起点にして倒れようとします。ある点(線)が支点になっとるわけです。

 

そのまま力を加え続けるとペットボトルは倒れますが、押してみると指に抵抗力を感じます。そう。水の重量が下向きに作用して、水平方向の力に対して抵抗している。これが安定モーメントっぽいですね。

数式で示すと、「水の重量×重心位置~支点までの距離」が安定モーメント。

 

L型擁壁の形を良く見てみよう。

日建学院さんの例をみると、ΣWという重量が、重心位置から支点までの安定モーメントとして抵抗しているように描かれています。

このΣWが、現実何の重量なのか説明がありませんね。

例えば、L型擁壁なら底盤上の土の重量があります。また擁壁の自重も安定モーメントに対する重量ですね。これらを合算して、真ん中の重心位置から安定モーメントを算定する方法は、ちょっと違うと思います。

 

 

少し模式図的に描きましたが、上図のように、土重量、擁壁の壁部分、底盤の3つに荷重と重心位置を分解できます。この荷重と、支点までの距離を乗じた値が安定モーメント。

概算的には、擁壁上の土重量だけで転倒モーメントを上回っていればOKになります。擁壁自重には期待しない、というやり方ですね。

 

ところで、このL型擁壁は一見倒れやすそうに見えるのですが、安定しやすい形状です。先に述べたように、土が重しになってくれるからです。

これとは別に、「逆L擁壁」というのもあります。底盤が逆方向にある擁壁です。なんとなく抵抗してくれそうに見えるのですが、土重量の重しが無いので擁壁自重を大きくして(底盤、壁厚)重量を稼ぐしかない、不合理な形状です。

 

日建学院さんの受講を貶めるつもりはありませんが・・・構造計算と構造設計は全くの別物。

で、2つで一セット。「ご飯とお味噌汁」、「カレーとライス」くらいセットしたい。どちらかが欠けても、あまり体をなさないのです。

擁壁の安定モーメントの構造計算が分かったから、「擁壁の構造設計ができるわけではない」、何だか禅問答のようですが、そう思います。

 

まぁともかく、擁壁の安定計算には気をつけましょうぜ。

あ、ちなみに木造の大梁の断面算定の件。鉄骨と全く同じ考え方でした。基準強度が違うくらい、ですかね。

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