ども、Tです。
RC規準を読み進めると、色々な発見があって面白いです。
RC梁は自重が大きく、強度も高くないので長いスパンを飛ばすことができません。RC梁では、せいぜい10mが限界です。
このとき梁せいの最低値はスパンの1/10を梁せいと考えますが、この根拠は一体何でしょうか?経験値だと思いますか?確かに直感が働いて、梁せいを1/10にしているケースもありますが・・・。
ちなみに、下記の本がおすすめ。僕も1冊持っていますが、剛域だけでなくRC造全般の構造計算を勉強するなら良いですよ。記事の終わりに書いていますが、実務の初学者や大学院生におすすめ。
大学生が持つには、まだ早いですが後々構造設計のに携わるなら損はないです。先行投資ですね。というわけで気になる人は下記のリンクからどうぞ。
実は、この根拠となる式があるのです(既にご存じかもしれませんが)今回は、RC梁のせいはスパンの1/10で決める根拠について特集します。
建物の使用上の障害を防止するための、梁断面の算定方法
RC規準の13条解説1(5)に明記されていました(1988年版)。この検討式では、長期荷重時にコンクリートの過大なひび割れなど建物の使用上の障害を防止するため、梁の支点間距離と全せいの比を、規定の限度に定めています。下式を見てください。
L/D < (Cc/α × b/wo)^1/2
左項は、スパンと梁せいの比率です。右項は色々計算が必要みたいですね。
Ccは定数です。Cc=1 N/m㎡(T形梁)、=0.6 N/m㎡(長方形梁)です。αも定数。α=0.0625(両端固定)、=0.125(単純支持)、=0.5(片持ち梁)です。
bは梁幅。Woは梁の平均荷重です。これは、梁に作用する全荷重(負担荷重)÷梁長さで算定できるでしょう。
1つ例を示します。
実際に計算してみよう
6×8mのスラブがあります。48㎡のスラブは持ちませんから、短辺方向に1本、小梁を入れます。床のTL=6.0kN/㎡です。このとき、小梁は負担重量分の荷重を受けます。先ほどの式で、計算すべき未知数はwo=W/Lでした。
W=6.0x6.0x8/2=144kN(台形荷重ですが簡単のため等分布荷重と考えた)、L=6.0m、wo=W/L=24となりました。Cc=1.0、α=0.0625、b=300、wo=24、L=6000より、Dを逆算します。
まず、右の項を計算すると、(Cc/α × b/wo)^1/2=11程度です。つまり、D=6000/11=545mmとなりました。
この式から明らかであるように、僕たちが何となく使っていた『RC梁の梁せいはスパンの1/10』は正しそうですね。また、α=0.125で検討すると、
- (Cc/α × b/wo)^1/2=10となります。まさかのピッタリ!
さて、RCの端部は小梁でも『単純支持』ではありません。しかし、『固定』ともいえないので、評価方法が無いときは安全側に『単純支持』で検討したほうが良さそうですね。
以上のように、『RC梁の断面はスパンの1/10』について明確な回答が得られました。『何となく』使っている式もひも解くと結構深い、まだまだ勉強が必要ですね。
RC規準書つながりで、話は逸れますが損傷制御性と安全性について記事を書きました。あわせに参考にしてください。
あと、下記の記事もRC規準書について書きました。曲げひび割れって実務で結構使う感じです。
こちらは最新のRC規準・同解説。自宅でも規準書読みたい人は良いですよ。僕の場合、会社にもちろん置いてあるけど、手元に欲しいので購入しました。
高かったけど、一生使うと思えば安いです。