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曲げひび割れモーメントとは何か?

構造設計

ども、Tです。

RC部材に曲げ応力が作用するとひび割れが発生します。しかし、一般的にRC梁の設計では、設計用曲げモーメントが許容曲げ耐力に納まっていればOKとしています。

つまりひび割れは許容しているのです。

僕も1冊持っていますが、剛域だけでなくRC造全般の構造計算を勉強するなら、下記の本がおすすめです。記事の終わりに書いていますが、実務の初学者や大学院生におすすめ。大学生が持つには、まだ早いですが後々構造設計のに携わるなら損はないです。先行投資ですね。というわけで気になる人は下記のリンクからどうぞ。

鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説〈2010〉

 

しかし、片持ち梁や片持ちスラブのような冗長性のない部材(静定部材)は固定端が壊れた瞬間に崩壊します。

そんな片持ち部材にひび割れが発生することは固定度が弱くなることであり、好ましくありませんね(剛性低下と呼ばれます)。

 

そのため、『設計用曲げモーメントを曲げひび割れモーメント以下にする』という考え方があります。

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曲げひび割れモーメントとは何か?

曲げひび割れモーメントとは、『ひび割れが起きないRC部材の耐力』とでも考えておきましょう。要するに、設計用曲げがひび割れ曲げ以下であれば、ひび割れは防ぐことができます。ただ現実には、温度変化やRC中の水分の影響でひび割れの影響は出てきます。

さて、曲げひび割れモーメントの式は下記のとおりです。

Mc=0.56√σb×Ze + ND/6

Mc 曲げひび割れモーメント

σb 設計規準強度

Ze 断面係数

N 軸力

D 部材せい

 

この式は軸力が作用する部材を考慮して、2項に分かれています。しかし、スラブや梁のように軸力を考慮しない部材は、N=0となるので、下式に変換可能です。

Mc=0.56√σb×Ze

とてもスッキリした式になりました。

 

片持ちスラブの曲げひび割れモーメント

試しに曲げひび割れモーメントを計算しましょう。式は、

Mc=0.56√σb×Ze

です。

 

スラブ厚や設計規準強度を適宜決めて計算すると、

σb=24とします。

スラブ厚t=150とします。

Ze=1000x150^2/6=3750000

Mc=0.56√24×3750000=10269000→10.2kNm

となります。

 

つまり、曲げひび割れモーメント10kNmまでは曲げ応力が作用してもひび割れないことになります。

一方、許容曲げ応力は極端な話、引っ張り鉄筋を入れれば入れるほど、耐力は上昇します。が、曲げひび割れモーメントは設計基準強度とスラブ厚の関係のみで決まるので随分と小さい値です。

片持ち部材やスパンが長い梁は曲げひび割れモーメントもチェックしよう。

もし片持ち部材があるなら曲げひび割れモーメントもチェックしましょう。特に2m超の片持ちスラブや片持ち梁は、怖いです。少しでも剛性低下を起こさせないように、出来るだけ断面を大きくしたいものです。

スパンが長い梁も同様です。これは長期荷重が大きくなりますから、ひび割れが起きやすいのです。スパンに見合った梁せいとすると共に曲げひび割れをチェックしてもつ断面にした方が無難ですよ。

 

また、RCの片持ちスラブでもう1つ気を付けたいのが、片持ち梁が付かない出隅スラブ。特殊な検討が必要です。下記の記事で詳細に書いていますので、あわせて参考にしてください。

 

もう1つ、ひび割れモーメントとは逸れますが、下記の記事もRC造の設計をするとき、注意したいポイントです。

 

僕も1冊持っていますが、剛域の考え方を含め鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強するなら下記の本がおすすめです。実務初学者、大学院生が対象ですかね。大学生には少し早いですが、後々構造設計の仕事をするなら持っていて損はないですよ。

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