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下階ブレース無し構造は逆せん断に気をつけよう。

構造設計

ども、Tです。

逆せん断って嫌ですよねぇ。ちょっと得たいが知れない感じがするし、原因がわかるまで気持ち悪い。どこかで致命的なミスをしてるかも・・・と勘繰ります。

普通、逆せん断が起きる状況というのは、ある層が柱抜けしていたり、ある柱がせん断力を負担しすぎるとか、ブレースが入っているなど。

 

逆せん断が入ると、保有水平体力時の検討で水平力の集計がきちんとされているか、確認しましょう。また、逆せん断の値だけ余分にせん断力が作用する点にも注意します。

ところで、僕は『逆せん断』という言葉を社会人になってから知りました。ブラック部長に『逆せん断が入っとるじゃないか!』と言われても、

はて?・・・逆せん断?

という感じでしたし。今でも、逆せん断という言葉が、特別な響きがして嫌いです。なぜなら私たちは、大学で一番最初に逆せん断の現象を勉強しているからです。

 

単純梁に集中荷重が作用します(中央に)。すると、曲げモーメントの分布は、荷重点を境に左右対称に分布します。せん断力は-P/2と+P/2です。これが、逆せん断です。

分かりにくいなら、梁を90度回転して柱に見立てましょう。すると、柱に集中荷重が作用しています。荷重方向は正加力と考えると、曲げモーメントの分布が左右対称なので逆せん断が入っているといえるのです。

 

つまり、逆せん断とは特別な現象でも何でもありません。梁なんてほぼ、逆せん断が入っていますからね。で、梁の変形を考えると下側凸に曲がります。

 

またまた、梁を90度回転させて考えましょう。柱に作用する荷重は正加力方向(左から右へ)に対して、変形は中心から境に左側へ変形しますね?これが逆せん断の正体です。

逆せん断が入ると、荷重方向とは逆向きに変形が生じるのです。

間違えやすいですよね。

新 うっかり間違える構造力学

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下階ブレース無し構造は気を付けよう。

さて、逆せん断の影響をもろにうける構造があります。それが下階にブレースがない構造です。例えば2階建てでブレース構造なら各階にブレースを入れます。理由は逆せん断が生じるため、ブレースに逆せん断分の軸力考慮するからです。

2階はブレース有りで1階はブレース無しの構造を考えます。水平力が作用したとき、ブレースで抵抗する構造です。しかし、1階がブレース無しであることが気になります。まず水平力がHとすれば、反力はH/2です。

各階高は3mとしましょう。すると、1階はブレースが無いので、水平反力分の曲げモーメントが生じます。

 

これが、M=H/2×3です。よって、2階に生じる逆せん断=H/2×3/3=H/2です。細かい計算はおいといて、要するにHという外力が作用したとき、ブレースに発生する軸力はH√2ではなくて、逆せん断分だけ大きくなるのです。

大抵2倍くらいの値になります。ですから、外力の大きさ×長さの比率で断面算定したブレース断面積の2倍くらいの大きさが必要ということです。

 

このような構造物は小さな工作物に多いと思います。改めてチェックしてみましょう。

 

逆せん断を知るコツは変形をイメージすること

逆せん断は負値で電算出力されるので、あなたも良く知っていると思います。しかし、本当に逆せん断が入る建物形状か?という点については、いまいちわかりません。

そこでおススメしたいのが、変形をイメージすること。つまり、加力方向とは逆向きに変形するとき、逆せん断が入っています。どこかにブレースが入っていて、せん断力が集中しているとか、納得できる理由をみつけましょう。

 

逆に普通のラーメン構造で逆せん断が入ることは、まずありません。入力データがおかしいことを疑ってください。変な剛性を入力したとか、洗いざらい探します。

 

単純梁を90度回転すれば逆せん断が入った柱

何も難しいことではないです。単純梁をクルッと回転して考えれば、逆せん断が入った柱です。難しく考えないように、これまで習ってきた知識を応用したいものです。

頭を悩ませている問題も、よく考えれば初歩的なことだった、というのはよくあること。設計にも通じる考え方かなぁと思います。

 

間違えやすい構造力学ですよね。僕はこの本を読んで逆せん断問題は氷解しました。うっかり間違えやすい箇所のみに焦点をあてた良書です。

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