ども、Tです。
「構造設計は貴重だから、独立したらすぐに食えるよ」
と言われたことがあります。
そんなことを言われても、羽振りの良い構造屋さんを僕は見たことがありません。
むしろ、知り合いの構造屋さんは「貧乏暇なし」という感じで(該当者の方すみませんm(__)m)。
そこで今回は、構造設計者が独立したら、何棟設計すれば食えるのか考えてみました。下記の記事も参考にしてくださいねー。
構造設計者の報酬は、床面積や設計の難易度で決められることが多い
まず構造屋さんの設計料について。
これは、建築家や建築士(意匠屋)の工事費に対する10%という考え方では無いです。
ほとんどの事務所が床面積と、設計の難易度(計算ルート)、構造種別(SかRCか)などで決めています。
例えば、ある構造設計事務所では、こんな料金体系です(鉄骨の料金で、カッコの中はRCの料金)。
- 200㎡未満 18.0万円(RCなら25.0万円)
- 200㎡ 22.4万円(RCなら29.1万円)
- 250㎡ 24.2万円(RCなら31.5万円)
やっす!
200㎡の仕事で22万。経費を差っ引くとおよそ半分の11万円。一日3万円を稼ぐとして、この仕事にかけて良い日数は、3.5日。
どうですか?
3.5日で200㎡の計算書と図面をまとめられそうですか?まぁできるかもだけど、休んでいる暇ない感じでしょうか。計算はすぐだけど、図面描くのは意匠との兼ね合いもありますし。
確認申請とか雑務とか諸々考えると3.5日オーバーしそう。
構造屋は薄利多売の世界
例えば、RC造の戸建て住宅でも、最近は150㎡で2000万円のローコスト住宅があります。これを構造屋が設計するなら、設計料は25万円です。
驚く程、薄利多売の世界だと思いませんか?
売上が25万円だとしても、やはり経費が発生しますので経費率は50%として、実際の所得は
- 25*0.5=12.5万円
です。
厳しですねぇ。とにかく構造屋は悲しいことに数、数、数なんだと思いました。
独立した構造屋が食っていくために必要な物件数
200平米未満の小さな物件を基準に考えましょう。料金体系は先に述べたとおりです。
鉄骨造のみ設計するとして、1物件につき18万円。一般的なサラリーマンの30~40代は500万円はもらっています。
つまり、食うために必要な物件数は
- 500/(18*0.5)=55.6件⇒56件ほど
オワタ・・・/(^o^)\
コレみて、独立したら死んじゃうよって思ったら、独立は諦めてください。
さて、56件ということは、1物件にかけられる期間は、
- 12/56=0.21ヶ月⇒4.5日(土日は休みと考える)
です。4.5日で計算やって図面を纏める必要があります。
200㎡未満の小ちゃな物件なら、できなくもないですが・・・きっついですねぇ。現実問題、いくら小さな物件でも年間56件も普通は設計できませんし。
しかも、年間に56件も設計して「やっと食っていけるレベル・・・」。苦行ですよ。薄利多売すぎてヤバい。
とはいえ、現実に独立して何十年も構造屋する人もいますね。200㎡とか小さい仕事はやらず、なるべく大きな仕事をとるように営業しているかと。
あとは「組織化して沢山物件こなす」という手段もありますね。いずれにしろ数が大事でしょうか。
もちろんアトリエ系構造設計事務所みたいに、優れた意匠屋さんと建築物を設計する場合もあります。
そういった事務所は付加価値が大きいので単価が全然違うかな。
独立した構造屋が食っていくための戦略
以上を整理すると、独立した構造屋が食っていくには
- 1人で数をこなす
- 組織化して数こなす(部下にやらせる)
- 付加価値のある設計をする
の3パターンくらいかと。平凡な構造屋さんは1で終了。営業や経営が上手い人は1⇒2へレベルアップ。
アトリエ系の人は3でいける(でも独立までがシンドイ)。
まとめ
- 構造設計の設計料は、メチャ安い
- 構造設計は薄利多売の世界
- 200㎡未満の物件なら、年間500万円の所得を得るために56物件の設計が必要
当然、小さい物件だけでなく、大きい物件もやりながら稼いでいくのだと思います。
それでもリーマン構造屋さんより仕事をこなすわけで、大変そうですねぇ。ちなみに構造屋さんも今後はブランディングが重要。ということで下記の記事も併せて参考にしてください。