建設業界のこと

未来の働き方をするために、設計者が変わっていくこと。

このブログで『設計職』は生産性の最底辺にある仕事だと説明しました↓

設計業務に『生産性』っていう言葉あるのかな(笑)

設計なんて、時間ばっかりかかる仕事だと。こうやって啓蒙活動を続けているのですが、相変わらず会社の先輩方やツイッターの建築クラスタの皆さんは、遅い時間まで仕事をしているようです。

ご苦労様です。僕たち設計者は、そろそろ変わる必要があります。未来の働き方を考えよう、です。まじで。

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

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他国に比べて生産性が悪い日本人

さて、設計に関わらず日本全体で長時間労働が問題になっています。労働時間の推移をみると、バブル時期からほとんど横バイの数字で変化ありません。

で、その長時間労働の割に国内総生産が少ないので(といっても世界3位だが、どれだけ仕事してるんだ・・・)、生産性が低いと言われています。

 

どの程度生産性が低いのかというと、G7の中で最下位です。ちなみにトップはフランス。あのバカンス休暇で連続2週間休みが取れて、有給休暇取得率100%のフランスです。あんなに沢山休んでいる国に、僕らは負けているんです。

具体的には、フランスは100ドルを稼ぐために約2時間かかります。一方日本は、3時間必要です。つまり、フランス人は僕たちの1.5倍も仕事が早いのです。

その上、日本は少子高齢化で生産年齢人口が益々減ってきます。ですから、日本の国策で『一億総活躍社会』とか掲げているのです。

これは、将来人口減少がヤバいから、高齢者も女性も皆働けよ!という裏返しの政策です。ほら、最近女性が活躍する時代だ!と言って、女性の雇用促進をうたっているでしょ?

 

未来の働き方。設計者はどうなる?

UBER(ウーバー)をご存知ですか?最近注目を浴びているタクシー配車アプリです。このアプリに自分の車を登録します。すると、アプリ上から配車の依頼が来て、一般人が、自分の車に乗客を乗せ、タクシー運転手となって収入を得ることができます。

車を持っている人なら誰でも始められるサービスで、お小遣い稼ぎにも丁度良いアプリです。もちろん乗客は、通常よりも安い金額で、タクシーとなった一般車で移動できます。

 

また、Airbnbは空いている部屋を貸したい人と借りたい人をマッチングするサイトです。もちろん、部屋を貸す人はお小遣いを得ることができますし、借りたい人はホテルを借りるより安く部屋を手に入れることができます。

このように、これまでの『個人 対 企業』の構図が、『個人 対 個人』にシフトしています。将来的には他の分野でも、『個人 対 個人』の構図でお金を得る仕組みが生まれるでしょう。では、建築業界はどうなるのか?

 

建築設計という仕事は、建築士しか行うことができない『独占業務』です。ですから、未来の日本でも変わらず残っている仕事だと思います。しかし、クラウドサービスの技術がもっと発達すれば、雇用はもっと流動的になるでしょう。

今、図面はCADソフトで描いています。これがネット上で作業が可能ならば、もはや会社に行くメリットの1つを失います。

 

また、図面を描く人が日本人である必要もなく、競争相手は世界中の誰かになるかもしれません。現に、トレース(紙の図面をCADに移し替える業務)は、中国業者に依頼する日本の企業も多くなっています。

今後、新興国の技術力が急激に高まって、安く高品質の図面を提供するのであれば、外注先に日本の企業を使う理由が無くなってしまいます。

 

さらに、将来的に建築士だけの会員制クラウドサービスなるものができて、会社員でなくても、個人⇒個人に仕事を発注して、フリーで設計したり図面を描く。

そんな時代になると思います。実は、既にこの現象は起きています。クラウドワークスやランサーズといった、クラウドソーシングの仕事をみると、設計図面の作成(母数は少ないですが)が依頼されているのです。

 

CADオペさんは仕事を失う。設計者は本来の仕事に注力できる。

手を動かす人が減るのでは?と思います。理由は、雇用が流動的になる点(グローバリゼーションとIT化)。2つ目はBIMの普及です。BIMが普及すれば、これまで苦労した図面作成という労働から解放されます。

その代わり、『設計のコンセプト作成』という、本来最も力を入れる仕事に注力できます。一方で、BIM入力担当という新たな職能が生まれるでしょう。

 

BIMは、一度入力すれば、平面図や立面図、構造図もボタン1つで作成可能ですから、CADオペさんは仕事を失います。ところで、パソコンができる前、日本には『代書屋、タイピスト』のように字を綺麗に書く仕事が女性に人気でした。

今でいうホワイトカラーの仕事です。しかし、パソコンが普及すると、その仕事は一切必要なくなったのです。このように、設計者とは名ばかりの図面ばかり描く人材も必要ありません。

 

僕たちの世代は、これから猛烈に図面を描いたり、計算する時代ではないかもしれません。それよりも、設計のコンセプト(アイディア)作成に優れた人材、構造計画に優れた人材が登用されます。

考えてみれば、建築設計で最も重要なことは基本設計です。建築主の思いをプランに起こす最初のアクションです。実施設計は、あくまでも基本設計の延長にある業務に過ぎません。

 

図面が早く描けるテクニックとか、作業効率化の業務は、益々コンピューターの仕事になります。ようやく本来やるべき仕事に打ち込める時代になるのでしょう。

一方、これまで『図面を描く』業務が、それほど重要視されないかもしれません。コンペやプロポで勝てない人は、将来の設計者として不適と認定されます。

 

将来の設計者に求められること。

グローバリゼーション、IT化、BIMの普及によって、僕たちは図面を描く『作業』や『不整合の処理』等の労働から解放されます。

設計者の仕事は図面を描くことだ、と思っていると痛い目に合うでしょう。設計者の本来の仕事は、図面を描くことでも、不整合の処理でも無いからです。いや、もちろん、現在はそれも仕事の一部ですが。

 

今後必要とされる設計者の仕事は、もっと本質的な、デザインの方向性を決定づける業務です。そしてご存知のように、それを行う人材は『数』が必要ではありません。優れたアイディアマンは、同じ会社に複数人も必要ないのです。1人いれば十分、又はせいぜい2人。

ですから、例えば10年後。本当の意味で、設計者として生き残っている人は激減するでしょう。皆、BIM入力担当者になっているか、それをチェックする仕事をしています。そして、この変化に気づいた人。優れたアイディアマンだけが生き残る社会に為るのです。

 

批評家、ブロガーとして有名なちきりんさん。本書は未来の働き方を考える上で、とても参考になります。

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