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過電流と過電圧、地絡と短絡。名前が似ていて組合せが混ざる…。
避雷器も一次側なの?二次側なの?
この記事の要点
配電系統の保護とは、高圧配電線の地絡・短絡などの事故に備えて、継電器や遮断器を配電線路と変電所に置く施工のことです。
短絡保護に過電圧継電器を施設すると書いた肢は、5年度とも答えになっています。
逆に地絡保護に過電流継電器と書いた肢も、別の年度で答えになりました。
守るべき事故は短絡と地絡の2つで、それぞれに置く機器が決まっています。誤りは、その組合せを崩して作られます。
まず、2つの事故で何が起きるのかを分けます。
地絡電流の大きさは、系統の中性点接地方式で変わります。非接地方式なら小さく、直接接地なら大きくなります。短絡のほうは短絡容量で決まります。
短絡は、電線どうしが直につながることです。抵抗のない道ができるので、ふだんの何十倍もの電流が流れます。出題も「施設箇所を通過する短絡電流を遮断する能力」(平成30年度1級No.25 選択肢1)と、電流の話として書いています。
地絡は、電線から大地へ電流が漏れることです。漏れる量は短絡電流ほど大きくないので、別の見つけ方が要ります。零相変流器で漏れた分を拾い、地絡継電器が動きます。
どちらも「電流」で見つけます。短絡は大きくなった電流、地絡は漏れた電流。電圧を見る継電器の出番はここにはありません。
過電流継電器が何を見ているかは、平成27年度2級No.15の選択肢1が言葉にしています。「入力電流が整定値を超えたときに動作する」。名前のとおり、電流です。整定の仕方は過電流継電器の整定で扱っています。
短絡は過電流継電器で大きさを見ます。地絡は零相変流器で漏れた分を拾い、地絡方向継電器が向きまで見ます。どちらも保護継電方式の一部です。
| 守る事故 | 置くもの(正しい肢) |
|---|---|
| 高圧配電線の地絡 | 地絡継電器/地絡方向継電器/地絡過電圧継電器(4年度) |
| 高圧配電線の異相地絡 | 過電流継電器と地絡継電器(2年度とも、この2つの組) |
| 高圧配電線の短絡 | 過電流遮断器/短絡電流を遮断する能力を有する高圧真空遮断器(3年度) |
| 低圧配電線の短絡 | 柱上変圧器一次側に高圧カットアウト(ヒューズ付) |
| 誤りの組① | 短絡保護に過電圧継電器……5年度とも答え |
| 誤りの組② | 地絡保護に過電流継電器だけ……1年度だけ答え |
肢は「〔何の保護のため〕に〔何〕を施設する」という形で固定され、組合せだけが入れ替わります。だから読み方も、事故の名前と機器の名前を切り離して確かめる形になります。
例えば、肢に「地絡保護のために過電流継電器を設ける」とあれば、そこで切れます。地絡で流れる電流は短絡ほど大きくならないので、大きさを見る過電流継電器では捉えられません。
言い換えると、「短絡は大きくなった電流、地絡は漏れた電流で見つける」ということです。どちらも電流を見ますが、見る量が違います。
短絡と地絡は、見つけ方そのものが違います。
答えになった肢は、5年度でほぼ同じ文です。「高圧配電線の短絡保護のため、過電圧継電器を施設する」が基本形で、置く場所の書き方(変電所に/配電用変電所に)が足されるだけです。語尾が「施設した」「設けた」に変わる年度もありますが、中身は動きません。
級も出題分野も違う問題に、同じ組合せが置かれ続けています。年度ごとの中身は下の「過去問でどう問われたか」に並べました。
正しい形も同じ問題の中に並びます。令和7年度1級No.23では、選択肢2に過電圧継電器、選択肢3に過電流遮断器を置き、どちらも「短絡保護のため」で始めています。後半の機器名だけが違います。
継電器の名前と記号の対応はJEMの文字記号で確かめられます。地絡側の継電器は地絡方向継電器、送電線側の保護は送電線の保護継電方式と母線保護で扱っています。受電設備の側では主遮断装置が、遮断器と過電流継電器の組合せとして出ます。
避雷器の置き方や接地の取り方は屋外変電所の雷害対策と共通です。柱上に載せる機器は柱上変圧器で扱っています。
避雷器をどちら側に置くかは、条文で決まっています。
電気設備の技術基準の解釈 第37条第1項【避雷器等の施設】(省令第49条)
高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること。
一 発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く。)及び引出口
二 架空電線路に接続する、第26条に規定する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側
三 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口
四 特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口
条文が挙げているのは高圧側です。柱上変圧器の高圧側は一次側にあたるので、二次側と書いた肢は条文の箇所から外れます。
配電系統の保護は、1級と2級を合わせて7年度分の問題に出ています。
| 年度・級・問 | 並んだ論点 | 答えの論点 |
|---|---|---|
| 平成28年度 1級 学科 No.25 | 地絡継電器/異相地絡/短絡と過電圧継電器/高圧カットアウト | 短絡と過電圧継電器 |
| 平成30年度 1級 学科 No.25 | 高圧真空遮断器/高圧限流ヒューズ/地絡方向継電器/避雷器の設置側 | 避雷器の設置側 |
| 令和3年度 2級(後期)第一次検定 No.49 | 配電用避雷器/短絡と過電圧継電器/中実がいし/バランサ | 短絡と過電圧継電器 |
| 令和5年度 1級 第一次 No.25 | 地絡と過電流継電器/避雷器の設置側/過電流遮断器/高圧ヒューズ | 地絡と過電流継電器 |
| 令和5年度 2級(前期)第一次 No.19 | 短絡と過電圧継電器/地絡方向継電器/負荷時タップ切換変圧器/区分開閉器 | 短絡と過電圧継電器 |
| 令和7年度 1級 第一次 No.23 | 地絡継電器/短絡と過電圧継電器/過電流遮断器/異相地絡 | 短絡と過電圧継電器 |
| 令和8年度 2級(前期)第一次 No.47 | B種接地工事/配電用避雷器/短絡と過電圧継電器/バランサ | 短絡と過電圧継電器 |
7年度のうち5年度で、短絡保護と過電圧継電器の組合せが答えです。施工の問題に混ざって出ることもあります。
混同しやすい語
過電圧継電器と過電流継電器:短絡保護に過電圧継電器と書けば誤り、異相地絡保護に過電流継電器と地絡継電器を組みで書けば正しい側です。
短絡保護と地絡保護:短絡には過電流遮断器や高圧真空遮断器、地絡には地絡継電器や地絡方向継電器が並びます。
地絡方向継電器と地絡過電圧継電器:平成30年度はこの2つを組みで並べ、正しい側でした。名前に「地絡」が付いています。
一次側と二次側:避雷器は配電用変圧器の高圧側、つまり一次側です。二次側と書いた肢が誤りにされました。
避雷器の接地:避雷器にはA種接地工事を施します(第37条第3項)。接地の種別は屋外変電所の雷害対策の記事にまとめました。
高圧配電線の短絡保護に施設するものは?
過電流遮断器や高圧真空遮断器です。過電圧継電器と書いた肢は5年度とも誤りにされました。
地絡保護に過電流継電器を施設するという肢の扱いは?
誤りです(令和5年度1級No.25)。地絡保護には地絡継電器や地絡方向継電器が並びます。
異相地絡保護にはどの継電器を組み合わせるか?
過電流継電器と地絡継電器です。平成28年度と令和7年度でどちらも正しい側でした。
柱上変圧器の避雷器はどちら側に施設するか?
一次側です。第37条第1項第二号が挙げているのは配電用変圧器の高圧側および特別高圧側になります。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
条文で裏が取れるのは避雷器の箇所だけです。
また、過電流継電器は「地絡保護に単独で置く」と誤りになり、「異相地絡保護に地絡継電器と組みで置く」と正しい側になります。同じ機器でも、何の保護に、何と一緒に置くかで扱いが変わります。