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地絡遮断装置を省略できる条件が多すぎて、覚えられない…。
数字が出てくるものだけでも、まとめて見られないの?
この記事の要点
地絡遮断装置とは、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置のことで、金属製外箱を有する使用電圧60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路に施設するものです。これが原則です。
省略できる場合が8つ並んでいて、そのうち出題で狙われるのは接地抵抗の3Ωと対地電圧の150Vです。
試験は、この接地抵抗の値をずらして出してきます。
この条文は、原則を1行で書いて、あとは省略できる場合をひたすら並べる作りです。
だから読むときも、原則より省略の条件のほうを丁寧に見ます。
まず、施設しなければならない対象です。
電気設備の技術基準の解釈 第36条第1項(地絡遮断装置の施設)
金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
言い換えると、「金属の箱に入った、60Vを超える低圧の機器」が対象ということです。
60V以下や、金属製外箱でないものは、そもそも原則の対象ではありません。ここが出発点です。
ただし書きの各号を並べます。
電気設備の技術基準の解釈 第36条第1項(各号の抜粋)
一 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
二 機械器具を次のいずれかの場所に施設する場合 イ 発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所 ロ 乾燥した場所 ハ 機械器具の対地電圧が150V以下の場合においては、水気のある場所以外の場所
三 機械器具が、次のいずれかに該当するものである場合 イ 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁構造のもの ロ ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの ハ 誘導電動機の2次側電路に接続されるもの
四 機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
数字と条件を整理します。
| 号 | 省略できる根拠 | 条件に付く数値 |
|---|---|---|
| 一 | 簡易接触防護措置 | なし |
| 二 | 施設する場所 | 乾燥した場所は無条件。水気のある場所以外は対地電圧150V以下のとき |
| 三 | 機械器具そのもの | 二重絶縁構造、絶縁物で被覆、誘導電動機の2次側など |
| 四 | 接地工事の抵抗値 | C種又はD種で3Ω以下 |
| 五 | 絶縁変圧器+非接地 | 機械器具側の線間電圧が300V以下 |
| 六 | 機械器具内の漏電遮断器 | 電気用品安全法の適用を受けるもの |
| 七 | 太陽電池モジュールの直流電路 | 非接地、交流側に絶縁変圧器、対地電圧450V以下 |
| 八 | 管灯回路 | なし |
例えば、乾燥した場所であれば電圧の条件は付かないので、三相200Vでも省略できます。
水気のある場所以外という条件のほうには、対地電圧150V以下が付いています。場所だけでは足りません。
数字が出てくる号をもう一度見ます。
電気設備の技術基準の解釈 第36条第1項第四号
機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
D種接地工事そのものの上限値と、この3Ωは別の話です。省略の条件として求められるのは3Ω以下という、かなり低い値です。
混同しやすい語
3Ωと接地工事の上限値:3Ω以下は、地絡遮断装置を省略するために必要な値です。D種接地工事に一般に許される抵抗値の上限とは別の条件です。
乾燥した場所と水気のある場所以外:乾燥した場所は電圧の条件が付きません。水気のある場所以外は、対地電圧150V以下のときだけ省略できます。
60Vと150V:60Vを超えることが原則の対象になる条件、150V以下は省略できる場合の条件です。役割が逆です。
3Ωという条件は、接地工事そのものの基準とは別に置かれています。
1級では電路を4つ並べる形で4年度出ています。問い方は2種類あって、向きが逆になります。「省略できるものとして誤っているもの」を選ばせる年度と、「省略できないものとして適当なもの」を選ばせる年度です。どちらも答えは省略できない電路で同じですが、設問文の読み違いを誘います。引っかけは大きく3つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和8年度 1級 第一次検定 No.28 | 地絡遮断装置を省略できるものとして、解釈上、誤っているもの(簡易接触防護措置は施されていない) | 接地抵抗値が10ΩのD種接地工事が施された三相200Vの電動機に電気を供給する電路 ←① |
正しくは、接地抵抗値で省略できるのは3Ω以下のときです。10Ωでは足りません。
同じ問に並んだ「乾燥した場所に施設する三相200V」は第二号ロ、「水気のある場所以外に施設する単相100Vの電熱器」は第二号ハ、「二重絶縁構造の電動工具」は第三号イに当たるので、いずれも省略できる正しい肢でした。
同じ「省略できるものとして誤っているもの」の形は、令和3年度 1級 第一次検定 No.31にも出ました。誤りは「水気のある場所に施設する単相100Vのコンセントに電気を供給する電路」で、公表正答は選択肢2です。第二号ハは水気のある場所を除いているので、対地電圧が150V以下でも省略できません。数値ではなく場所を裏返した形です。
問い方が逆になった年度もあります。平成27年度 1級 学科試験 No.31と令和元年度 1級 学科試験 No.30は、どちらも「地絡遮断装置を省略できないものとして適当なもの」を選ばせる形でした。答えは省略できない電路なので中身は同じですが、設問文を読み飛ばすと逆を選びます。
平成27年度の公表正答は選択肢2の「乾燥した場所に施設する単相200Vのライティングダクトに電気を供給する電路」です。乾燥した場所なら第二号ロで省略できそうに見えますが、ライティングダクトは機械器具ではないので第36条ではなく第165条が掛かり、ダクトに簡易接触防護措置を施す場合を除いて地絡遮断装置が要ります。設問は防護措置を施していないと断っていました。
令和元年度は選択肢4に「接地抵抗値が10ΩのC種接地工事が施された三相400Vの電動機に電気を供給する電路」が置かれました。第四号はC種・D種とも3Ω以下を求めているので、10Ωでは省略できません。令和8年度と同じ①の型を、D種ではなくC種で出した形です。
数字は3Ωと150V。この2つだけ覚えれば、残りは場所と機器の話です。
第七号の太陽電池は太陽光発電に、地絡そのものの起き方は中性点接地方式に、遮断したあと戻す仕組みは再閉路にまとめました。
省略の肢は、次の順に見ます。
地絡遮断装置を施設する原則の対象は何か?
金属製外箱を有する、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路です。
接地工事の抵抗値で省略できるのは、何Ω以下のときか?
C種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下のときです。
水気のある場所以外に施設する場合、省略には何が必要か?
機械器具の対地電圧が150V以下であることです。乾燥した場所であれば、この電圧の条件は付きません。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の基準・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
D種接地工事という語を見た瞬間に、その工事の一般的な抵抗値の上限を思い出してしまいがちです。
この条文が求めているのは省略のための3Ω以下という別の条件です。工事の基準値と、省略の条件を混ぜないようにします。