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短絡保護専用遮断器は何倍で動くのか?電動機の分岐回路に置く過電流遮断器の条件

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1倍、13倍、1.2倍って数字が並んで混ざる…。

どの倍率が、何を決めてるの?

この記事の要点

短絡保護専用遮断器とは、過負荷保護装置と組み合わせて使い、過負荷保護装置が短絡電流で焼損する前にその短絡電流を遮断する能力をもつ遮断器のことです。短絡だけを受け持ちます。

条件に出てくる倍率は3つで、1倍・13倍・1.2倍がそれぞれ別のことを決めています。

とくに整定電流の1.2倍で0.2秒以内に動作するという向きが、試験で裏返されます。

この規定は、過負荷と短絡を別々の装置で受け持つ組合せについてのものです。

だから読むときも、どちらの装置の条件を言っているのかを先に見ます。

どういう組合せについての規定か

使える場所が条文で限られています。

電気設備の技術基準の解釈 第33条第4項(低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等)

過電流遮断器として低圧電路に施設する過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせた装置は、電動機のみに至る低圧電路(低圧幹線(第142条に規定するものをいう。)を除く。)で使用するものであって、次の各号に適合するものであること。

言い換えると、「電動機だけに向かう分岐回路のための組合せ」ということです。

  • 使える場所:電動機のみに至る低圧電路
  • 使えない場所:低圧幹線
  • 組み合わせる相手:短絡保護専用遮断器、又は短絡保護専用ヒューズ

幹線には使えません。ここが最初の縛りです。

3つの倍率はそれぞれ何を決めているか

短絡保護専用遮断器の条件は4つ並んでいます。

電気設備の技術基準の解釈 第33条第4項第二号(短絡保護専用遮断器)

イ 過負荷保護装置が短絡電流によって焼損する前に、当該短絡電流を遮断する能力を有すること。

ロ 定格電流の1倍の電流で自動的に動作しないこと。

ハ 整定電流は、定格電流の13倍以下であること。

ニ 整定電流の1.2倍の電流を通じた場合において、0.2秒以内に自動的に動作すること。

倍率ごとに表にします。

倍率 何に対する倍率か 求められること
1倍 定格電流 自動的に動作しないこと
13倍以下 定格電流 整定電流をこの範囲に収めること
1.2倍 整定電流 0.2秒以内に自動的に動作すること

例えば、定格電流が20Aなら整定電流は260A以下に収め、その整定電流の1.2倍を流したときは0.2秒以内に切れる必要があります。

1倍は動かない側、1.2倍は動く側です。倍率が近いので向きが入れ替えられます。

ヒューズで組む場合はどう変わるか

相手がヒューズになると、条件の数値も変わります。

電気設備の技術基準の解釈 第33条第4項第三号(短絡保護専用ヒューズ)

イ 過負荷保護装置が短絡電流によって焼損する前に、当該短絡電流を遮断する能力を有すること。

ロ 短絡保護専用ヒューズの定格電流は、過負荷保護装置の整定電流の値(その値が短絡保護専用ヒューズの標準定格に該当しない場合は、その値の直近上位の標準定格)以下であること。

ハ 定格電流の1.3倍の電流に耐えること。

ニ 整定電流の10倍の電流を通じた場合において、20秒以内に溶断すること。

  • 遮断器:定格の1倍で動かない/整定は定格の13倍以下/整定の1.2倍で0.2秒以内に動作
  • ヒューズ:定格の1.3倍に耐える/整定の10倍で20秒以内に溶断

遮断器は0.2秒、ヒューズは20秒です。桁が違うので、混ざったらすぐ気づけます。

収める場所についても決まりがあります。

電気設備の技術基準の解釈 第33条第4項第四号

過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズは、専用の1の箱の中に収めること。

混同しやすい語

定格電流と整定電流:13倍以下は定格電流に対する整定電流の上限です。0.2秒の判定に使う1.2倍は整定電流に対する倍率で、掛ける相手が違います。

1倍と1.2倍:定格電流の1倍では動作しないこと、整定電流の1.2倍では0.2秒以内に動作すること。動く側と動かない側が並んでいます。

遮断器とヒューズ:遮断器は0.2秒以内に動作、ヒューズは整定電流の10倍で20秒以内に溶断です。時間の桁が違います。

過去問でどう問われたか

この条の条件を並べて誤りを選ばせる形は、1級で3年度、2級で2年度出ています。引っかけは大きく3つです。

  • ①動く・動かないを裏返す:0.2秒以内に動作することを、動作しないことと書きます。
  • ②倍率の数値をずらす:1.2倍のところを1.0倍にします。0.2秒という時間はそのまま残します。
  • ③1倍の向きを裏返す:定格電流の1倍で動作しないことを、動作する(遮断する)と書きます。2級で2年度出ました。
年度・級・問 問われ方 誤りとされた記述
令和5年度 1級 第一次検定 No.30 低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等について、解釈上、不適当なもの(電動機のみに至る低圧分岐回路) 短絡保護専用遮断器は、整定電流の1.2倍の電流で0.2秒以内に動作しないこと ←①
令和8年度 1級 第一次検定 No.27 同上(誤っているもの) 短絡保護専用遮断器は、整定電流の1.0倍の電流を通じた場合において、0.2秒以内に自動的に動作すること ←②

令和5年度で正しくは、整定電流の1.2倍を通じた場合は0.2秒以内に自動的に動作することです。

令和8年度で正しくは、判定に使う電流は整定電流の1.2倍です。1.0倍ではありません。

同じ形は1級でもう1年度あります。令和2年度1級学科試験No.30の「短絡保護専用遮断器は、整定電流の1.2倍の電流で0.2秒以内に動作しないこと」が公表正答3で、令和5年度で誤りとされた記述と同じ文です。同じ引っかけが2度出ています。

2級では、裏返される場所が変わります。令和7年度2級第一次検定(後期)No.20の「短絡保護専用遮断器は、定格電流の1倍の電流で自動的に動作するものとする」が公表正答3です。条文は1倍では動作しないことなので、向きが逆になっています。

令和元年度2級(後期)No.22にも「短絡保護専用遮断器は、当該遮断器の定格電流で自動的に遮断するものとする」という同じ型の肢が並んでいます。

同じ問に並んだ正しい肢は、年度で入れ替わります。「整定電流は定格電流の13倍以下」は令和5年度・令和8年度、「短絡保護専用ヒューズは定格電流の1.3倍の電流に耐える」は令和2年度・令和8年度、「整定電流の10倍で20秒以内に溶断」は令和8年度、「専用の一の箱の中に収める」は令和2年度・令和5年度・令和7年度に置かれました。

動かないのは定格の1倍、動くのは整定の1.2倍。この2つだけ向きを覚えます。

どこを確認すれば読み分けられるか

数値が並んだ肢は、次の順に見ます。

  • 掛ける相手を見る:定格電流に掛けているのか、整定電流に掛けているのかで意味が変わります。
  • 動作の向きを見る:動作すること、と、動作しないこと。どちらで書かれているかを読みます。
  • 装置の種類を見る:遮断器なら0.2秒、ヒューズなら20秒です。
  • 場所の限定を見る:電動機のみに至る低圧電路で、低圧幹線は除かれます。

まちがえやすいポイント

13倍という数字だけを覚えると、1.2倍が定格に対する倍率だと思い込みやすくなります。

条文は13倍が定格電流に対する整定電流の上限1.2倍が整定電流に対する倍率と書き分けています。数字と相手をセットで覚えます。

理解度チェック

Q.

短絡保護専用遮断器の整定電流は、何を基準にいくつまでか?

定格電流の13倍以下です。

Q.

整定電流の1.2倍の電流を通じたとき、どうなることが求められるか?

0.2秒以内に自動的に動作することです。動作しないことではありません。

Q.

この組合せの装置は、どこで使えるか?

電動機のみに至る低圧電路です。低圧幹線は除かれます。また、過負荷保護装置と併せて専用の1の箱の中に収めます。

まとめ

  • 組合せが使えるのは電動機のみに至る低圧電路。低圧幹線は除く。
  • 短絡保護専用遮断器=定格電流の1倍で動作しない/整定電流は定格電流の13倍以下
  • 整定電流の1.2倍を通じた場合は、0.2秒以内に自動的に動作する。
  • 短絡保護専用ヒューズ=定格電流の1.3倍に耐える/整定電流の10倍で20秒以内に溶断。
  • 過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器等は、専用の1の箱の中に収める。

参考資料

  • 電気設備の技術基準の解釈 第33条第4項(第一号・第二号・第三号・第四号) 経済産業省(dengikaishaku.pdf
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)令和2年度(学科試験)・令和5年度・令和8年度
  • 同「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和元年度(後期)・令和7年度(後期)
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