令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.30は、電動機のみに至る低圧分岐回路に施設する過電流遮断器の性能等に関する記述として、「電気設備の技術基準とその解釈」上、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、短絡保護専用遮断器が1.2倍で動くか動かないかを分かっているかを問うものです。整定電流の1.2倍を流したら、0.2秒以内に動作します。
「動作しない」と否定にしてあります。
正解:選択肢1(0.2秒以内に動作しないこと)
> この論点をやさしく解説:短絡保護専用遮断器は何倍で動くのか?電動機の分岐回路に置く過電流遮断器の条件
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 整定電流の1.2倍で0.2秒以内に動作しない | 動作する。不適当 |
| 2 | 整定電流は定格電流の13倍以下 | 条文どおり。適当 |
| 3 | 過負荷保護装置は焼損のおそれで自動遮断 | 条文どおり。適当 |
| 4 | 組み合わせる装置は専用の一の箱に収める | 条文どおり。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、「整定電流の1.2倍」も「0.2秒以内」も条文にある正しい数字なので、末尾の否定形だけを見落としてしまうところです。
短絡保護専用遮断器は、名前のとおり短絡だけを担当します。整定電流を超える電流が来たら、すぐ切るのが役目です。
| 項目 | 条文の内容 |
|---|---|
| 動作 | 整定電流の1.2倍の電流を通じた場合、0.2秒以内に自動的に動作すること |
| 整定電流 | 定格電流の13倍以下であること |
| 組合せ | 過負荷保護装置と組み合わせて1の過電流遮断器として使用すること |
この条文は、過去問で3つの違う壊し方が出ています。突き合わせると正しい形が浮かび上がります。
| 出題 | 書かれた文 | 壊した場所 |
|---|---|---|
| 令和2年度 1級 No.30(正答3) | 1.2倍で0.2秒以内に動作しない | 否定形。令和5年度と同じ文 |
| 令和8年度 1級 No.27(正答2) | 1.0倍で0.2秒以内に動作する | 倍率 |
| 令和7年度 2級 No.20(正答3) | 定格電流の1倍で自動的に動作する | 倍率と基準の電流 |
令和2年度の選択肢3は、この令和5年度の選択肢1と一字一句同じ文で、そちらでも公表正答になっています。倍率を変えた形も基準を変えた形も、それぞれ別の年度で誤りと確定しています。
残るのは「整定電流の1.2倍で0.2秒以内に動作する」だけです。
選択肢2の13倍は、整定電流の上限です。電動機は始動時に定格電流の数倍から十数倍の電流が流れます。その始動電流で切れてしまっては使えないので、短絡保護の整定は高い値にします。
ただし高すぎると短絡を見逃すので、13倍で頭を打っています。
選択肢3の過負荷保護装置は、短絡保護専用遮断器と対になる装置です。
| 装置 | 担当 | 動きかた |
|---|---|---|
| 過負荷保護装置 | 過負荷 | 電動機が焼損するおそれのある電流で、時間をかけて遮断 |
| 短絡保護専用遮断器 | 短絡 | 大電流を0.2秒以内に遮断 |
過負荷は少し電流が多い状態が続くもの、短絡は桁違いの電流が一瞬で流れるものです。切るまでの時間の考え方がまったく違うので、装置を分けています。
選択肢4は、その2つを組み合わせるときの決まりです。別々に置くと片方だけ交換されて組合せが崩れるおそれがあるので、専用の一の箱に収めます。
短絡保護専用遮断器の整定電流が定格電流の13倍以下とされているのはなぜか。
電動機の始動電流で切れないよう高い値にする一方、高すぎると短絡を見逃すため、上限を定めています。
過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器を専用の一の箱に収めるのはなぜか。
2つを組み合わせて1の過電流遮断器として使うためです。別々に置くと片方だけ交換されて組合せが崩れるおそれがあります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月