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距離継電方式の説明って、年度ごとに少しずつ違わない?
電流と電圧なの?それとも電圧と位相なの?
この記事の要点
距離継電方式とは、故障時の電圧と電流から故障点までのインピーダンスを測定し、それが保護範囲内かどうかで遮断を判断する方式のことです。
電圧を電流で割った値がインピーダンスで、線路の長さに応じて決まります。だから故障点までの遠さが分かります。
ここを位相に差し替えた肢が、繰り返し誤りとして出されます。
保護継電器は、何を測って故障を見つけるかで分かれます。だから覚えるときも、継電器の名前と測る対象を組にします。
まず、名前の並んだ4つが何を見ているかを押さえます。
継電器が直接見ているのは、計器用変成器を通した二次側の電流と電圧です。一次側の大きな値をそのまま扱うわけではありません。
継電器は、系統の異常を見つけて遮断器に指令を出します。何をもって異常とみなすかは、名前ごとに決まっています。令和6年度1級No.8は、4つの継電器を「何で動作するか」で並べました。整定値の決め方そのものは過電流継電器の整定で扱っています。
| 継電器 | 何で動作するか | 何に使うか |
|---|---|---|
| 過電流継電器 | 電流が整定値以上になる | 短絡事故・過負荷の検出 |
| 不足電圧継電器 | 電圧が整定値以下になる | 短絡事故・停電の検出 |
| 比率差動継電器 | 保護区間に流入する電流と流出する電流の差 | 内部事故から機器を保護 |
| 距離継電器 | 電圧と電流の比 | 送電線の保護 |
この表のうち、比率差動継電器の行だけ注意が要ります。令和6年度は「主に外部事故から機器を保護する」と書いて誤りにしました。動作のしかた(流入と流出の差)は正しく、守る相手が入れ替えられています。
比率差動継電器が内部の異常を見るものであることは、2級でも確かめられます。「油入変圧器の内部異常を検出するための継電器」として、令和元年度と令和5年度の2年度とも適当な側に並びました。
距離継電器が動作するのは電圧と電流の比です。電圧を電流で割った値がインピーダンスで、線路のインピーダンスはその区間の長さに応じて決まります。だから、インピーダンスを測れば故障点までの遠さが分かります。方式の名前に「距離」が入るのはこのためです。
平成28年度1級No.19は、説明文のほうを先に示して方式名を選ばせました。
平成28年度 1級 No.19(正答=距離継電方式)
故障時の電圧と電流から、故障点までのインピーダンスを測定し、それが保護範囲内のインピーダンスより小さければ遮断器に引外し指令を出す。
読むところは2つです。電圧と電流で測ること、そして保護範囲内の値より小さいときに指令を出すこと。近ければ自分の受け持ち、遠ければよそに任せる、という向きになります。
この2つのうち、まず測る対象が書き換えられます。
| 年度・級・問 | 誤りとされた書き方 |
|---|---|
| 平成25年度 1級 No.19 | 距離継電方式は、送電線故障時の電流値と位相により線路インピーダンスを測定する |
| 平成26年度 1級 No.19 | 比率差動継電器は、電流と電圧の位相差がある比率以上になったとき動作する |
| 令和4年度 1級 No.19 | (平成26年度と一字一句同じ文) |
| 令和8年度 1級 No.16 | 距離継電方式は、事故時の電圧と位相により測定し、保護範囲内の値よりも大きい場合は事故と判断する |
4つとも「位相」が入っています。距離継電方式は電圧と電流、比率差動継電器は電流の差です。どちらも位相では動きません。
令和8年度は2か所を変えています。測る対象を位相にしたうえで、大小の向きも逆にしました。平成28年度の文は「小さければ引外し指令」でした。
例えば、肢に「距離継電器は、電圧と電流の位相差によって動作する」とあれば、そこで切れます。位相差を見るのは地絡方向継電器のほうで、距離継電器が見るのは電圧と電流の比です。
言い換えると、「継電器の名前ごとに、測っている量が1つ決まっている」ということです。名前と量の組み合わせが崩れていれば、そこが答えです。
受電設備の側では、過電流継電器が限時要素と瞬時要素を持ち、過負荷と短絡を分けて受け持ちます。系統連系の保護では略記号で何を検出するかを表し、OVGRなら地絡過電圧、OCGRなら地絡過電流です。
どの継電器を置くかは、系統の中性点接地方式にも左右されます。非接地方式は地絡電流が小さいので、電流だけでは見つけにくくなります。
もう1つの型は、保護範囲の重なりです。同じ趣旨の肢が3年度で誤りにされました。
平成25年度 1級 No.25 選択肢2(誤りの側)
保護リレーシステムは、検出の盲点をなくすために、保護範囲を重複しないように構成する。
この肢は、目的と手段が食い違っています。重ならないように区切ると、境目に受け持ちのない場所ができます。それが盲点です。盲点をなくしたいなら、隣どうしを重ねておきます。
令和2年度1級No.19と令和6年度1級No.16は、この肢を「隣り合った保護区間は保護範囲が重ならないようにして、事故を検出する」と短くし、どちらも誤りにしました。3年度とも、重ならないと書いた側が答えです。
残りの用語も、出るたびに正しい側に置かれます。書き方は年度で変わります。
方式の考え方そのものも同じです。次の4つは、書き方が変わっても正しい側です。
母線を守る側の方式は母線保護、配電線側は配電線路の保護にまとめました。
なお平成29年度と令和4年度では、再閉路方式を「停電時間を短くするものであり、主に地中送電系統で使用される」とした肢が答えになっています。再閉路は、遮断器をいったん開いて設定時間後に自動で入れ直す方式です。開いている間に事故が消えていることが前提になります。
保護継電方式の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
距離継電方式と比率差動継電器:距離継電方式は電圧と電流の比、比率差動継電器は流入と流出の電流の差です。どちらの説明にも「位相」が混ぜられます。
内部事故と外部事故:比率差動継電器は保護区間の内部の事故を見ます。外部と書いた肢は令和6年度で答えになりました。
主保護と後備保護:主保護が動かないときに動くのが後備保護です。この関係は書き方が変わっても崩れません。
重複と重ならない:保護範囲は重ねます。重ならないようにすると書いた肢は3年度とも誤りです。
距離継電方式は、何から故障点までのインピーダンスを測定するか?
故障時の電圧と電流です。平成28年度は、この説明文から距離継電方式が選ばれています。
後備保護継電器は、どんなときに動作するか?
主保護継電器がロックされているなどの理由で動作できない場合に動作し、故障部分を除去します。4年度とも正しい肢に置かれています。
保護範囲は、隣どうしを重ねるのか離すのか?
重ねます。離すと境目に受け持ちのない場所ができ、そこが検出の盲点になります。「重ならないようにする」と書いた肢は3年度とも誤りです。
比率差動継電器は、何で動作して何を守るか?
保護区間に流入する電流と流出する電流の差で動作し、内部の事故から機器を守ります。「外部事故から」と書いた肢は令和6年度で答えになりました。
距離継電方式は、測った値がどうなったら指令を出すか?
保護範囲内のインピーダンスより小さいときです。近ければ自分の受け持ち、遠ければよそに任せます。令和8年度はこの向きを逆にした肢が答えでした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
「位相」を先に探します。
距離継電方式と比率差動継電器の説明に位相が入っていれば、それだけで誤りです。距離継電方式は電圧と電流、比率差動継電器は流入と流出の電流の差で動きます。どちらも位相を見ていません。