令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.16は、電力系統保護の基本的な考え方として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、隣り合う保護区間の境目をどう扱うかを分かっているかを問うものです。保護範囲は少し重ねます。
重ねないと、境目に守られない部分ができてしまいます。
正解:選択肢2(保護範囲が重ならないようにする)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 遮断区間を必要最小限にして停電を局限化 | 選択遮断の原則。適当 |
| 2 | 保護範囲が重ならないようにする | 重ねる。境目に穴を作らない。不適当 |
| 3 | 重要な系統は複数の継電器で確実化 | 二重化。適当 |
| 4 | 主保護が不動作でも除去できる後備保護 | バックアップの考え方。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、区間が重なると両方の継電器が動いて停電が広がりそうに見えるところです。広がるのは避けたいことですが、守られない部分ができるほうがはるかに困ります。
変流器の位置を境にして保護区間を区切ると、境目のごく短い部分がどちらの区間にも入らないという状態が起こりえます。そこで事故が起きてもどの継電器も動きません。だから設計では、隣り合う区間の保護範囲をわざと少し重ねます。重なった部分で事故が起きれば両方が動きますが、事故が残るよりよいという判断です。
この論点は令和2年度 No.19でも出ていて、「隣り合った保護区間は保護範囲が重ならないようにして、事故を検出する」という同じ文が誤りとされました(公表正答は3)。2年度とも同じ文が答えです。
選択肢1は選択遮断の考え方です。事故が起きた区間だけを切り離し、健全な部分は生かしたまま運転を続けます。停電の範囲を小さくするほど、社会への影響が小さくなります。
選択肢3と4は、動かなかったときの備えです。
| 考え方 | 中身 |
|---|---|
| 主保護 | その区間の事故を最も速く、最小の範囲で切る |
| 後備保護 | 主保護が動かなかったとき、少し遅れて広めに切る |
| 二重化 | 基幹系統では主保護そのものを2系列にして確実にする |
後備保護はわざと動作を遅らせます。主保護が先に動く時間を与えるためです。主保護が正常なら後備保護の出番はありません。
隣り合う保護区間の保護範囲は重ねるか、重ねないか。
重ねます。重ねないと境目にどの継電器も守らない部分ができてしまいます。
後備保護の動作を遅らせるのはなぜか。
主保護が先に動く時間を与えるためです。主保護が正常に働けば、停電範囲は最小で済みます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月