令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.17は、系統運用上の揚水発電の特徴に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、揚水発電の立ち上がりの速さを分かっているかを問うものです。水を落とすだけなので数分で全出力に達します。
だから予備力として使われます。選択肢4はこれを逆に書いています。
正解:選択肢4(予備力とするには不向き)
> この論点をやさしく解説:揚水発電とは?起動の速さ・負荷追従など出題される長所を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 軽負荷時の揚水で負荷率を改善 | 夜間に需要を作る。適当 |
| 2 | 可変速なら揚水中も周波数調整ができる | 入力を変えられる。適当 |
| 3 | 余力を位置エネルギーで蓄える | 揚水の定義。適当 |
| 4 | 出力変化に時間を要し予備力に不向き | 数分で立ち上がる。予備力の主力。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、揚水運転と発電運転で水の流れる向きが逆なので、切り替えに手間がかかりそうに見えるところです。実際には水を止めて弁を開くだけで、停止状態からなら数分で全出力に達します。
火力と比べると差がはっきりします。
| 電源 | 立ち上がり | 系統での役割 |
|---|---|---|
| 揚水発電 | 速い | ピーク供給と、事故時にすぐ出す予備力 |
| 火力(汽力) | 遅い | ボイラの昇温が要る。中間・ベース |
| 原子力 | 出力を変えない | ベース |
他の発電所が急に止まったとき、まず出るのが揚水です。上池に水がある限り、指令からすぐ出力を出せます。これが予備力としての価値です。
選択肢1から3は令和3年度 No.20にほぼ同じ文で出ています。そこでは「河川の流量に制約されるため、一般水力発電に比べて地点選定が困難である」という別の選択肢が誤りとされました(公表正答は2)。つまり負荷率の改善・可変速の周波数調整・位置エネルギーで蓄えることの3つは、公表正答の側から正しい記述と確認できます。
選択肢1の負荷率の改善は、需要の谷を埋める働きです。夜間に揚水という需要を作るので、火力を落とさずに運転を続けられます。出力を上げ下げする回数が減り、火力の稼働率と効率が上がります。
選択肢2の可変速揚水は、回転速度を変えられる方式です。ふつうの揚水は同期機なので、揚水中の入力は水量で決まってしまい変えられません。可変速にすると揚水しながら入力を増減でき、その分だけ周波数を調整できます。夜間は調整力になる電源が少ないので、この機能が効きます。
揚水発電が事故時の予備力に向くのはなぜか。
水を落とすだけなので立ち上がりが速く、上池に水があればすぐ出力を出せるためです。
可変速揚水発電の利点は何か。
揚水運転をしながら入力を増減できるので、需要の少ない夜間でも周波数調整ができます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月