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揚水発電とは?起動の速さ・負荷追従など出題される長所を整理

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揚水発電って、長所も短所も両方書いてあって迷う。

答えになるのは、どっちを書いた肢なの?

この記事の要点

揚水発電とは、余った電気で水をくみ上げて蓄え、必要なときに落として発電する方式のことです。

売りは速く出せることです。貯めておいて、必要なときに出せます。

誤りの肢は、この売りを裏返して作られます。遅い・ベース向き・置く場所が選べないと書いてあれば答えです。

電気は貯めておくのが難しいものですが、揚水発電は水の位置エネルギーに変えて貯めます。蓄電池のように化学の形で貯める手段と並ぶ、系統規模の貯め方です。

まず、揚水発電が何をしている方式かを押さえます。

夜にくみ上げて、昼に落とす

くみ上げと発電を1台でこなすのがポンプ水車で、回す向きを変えるだけで役割が入れ替わります。回転する側は水車発電機で、発電機にもポンプの電動機にもなります。

揚水発電は、電気を水の形で貯めておく仕組みです。夜のうちに余った電気でポンプを回して水を上の池へ上げ、昼の山で落として発電します。

貯めるのは電気ではなく、水の高さ 上池 下池 夜:余った電気でくみ上げる 系統の負荷率が改善する 昼:落として発電する ピーク供給力になる 水の位置エネルギー
仕組みをイメージでつかむための模式図です。池の大きさや落差、設備の配置は実物どおりではありません。正しいのは、余力でくみ上げて必要なときに落とすという順序だけです。

令和3年度 1級 第一次 No.20 選択肢1/令和6年度 1級 第一次 No.17 選択肢3(どちらも正しい側)

令和3年度 系統の供給余力電気エネルギーを水の位置エネルギーに変換して蓄え、これをピーク時等に電気エネルギーに変換して供給する。

令和6年度 系統の供給余力電気エネルギーを水の位置エネルギーに変換して蓄え、これを必要時に電気エネルギーに変換して供給する。

この仕組みから、長所が3つ出てきます。どれも2年度とも正しい側でした。

  • 負荷率の改善:軽負荷時に揚水することによって系統の負荷率を改善し、火力発電所の稼働率が向上する(令和3年度1級No.20 選択肢3)。令和6年度1級No.17 選択肢1は「軽負荷時に揚水することで、系統の負荷率を改善し火力発電所の稼働率が向上する」と、助詞だけを変えた形です。夜の余力を使うので、火力を止めずに済みます。
  • 可変速なら周波数調整:可変速揚水発電システムは、深夜あるいは系統需要が少ないときに揚水運転をしながら、可変速運転により入力を調整し、周波数調整を行う(令和3年度1級No.20 選択肢4)。令和6年度1級No.17 選択肢2は「系統需要が少ないときに揚水運転をしながら周波数調整を可能とする」と縮められています
  • ピーク供給力:貯めたものを、必要なときに出せる

くみ上げも発電も、同じ水路と同じ機械で行います。ポンプとして回すか、水車として回すかを切り替えるだけです。水車と発電機そのものは水車発電機、動かして確かめる試験は水力発電の有水試験で扱っています。

ピークを受け持つかベースを受け持つかは、発電の運用で決まります。揚水は起動が速いのでピーク側に置かれます。

電気を貯める手段は、規模と応答で使い分けます。

  • 揚水発電:系統規模。数分で全出力に届く
  • 蓄電池:設備単位。切り替えは瞬時だが容量は小さい
  • 電力貯蔵装置:回生電力の受け皿として鉄道でも使う

誤りは4つとも「速さ」か「自由さ」を否定する

揚水発電の出題は、この2年度だけではありません。発電方式を並べる問にも顔を出します。誤りにされた肢を集めると、否定されているものが1つに揃います。

否定されたもの 誤りにされた書き方 正しい側にある肢
出す速さ 出力変化に時間を要するため、予備力とするには不向き 揚水式水力発電は、負荷追従性に優れており、ピーク供給力として使用される
出す場面 河川の水を有効活用できることから、ベース電源として利用する (同上。ピーク供給力として使用される)
置く場所の自由さ 河川の流量に制約されるため、一般水力発電に比べて地点選定が困難 供給余力の電気でくみ上げる方式(河川自流に頼らない)

「ベース電源として利用する」は平成26年度1級No.20と平成29年度1級No.20の2年度で答えになりました。ベースは止めずに動かし続ける層です。貯めた水を使い続けたら、貯める意味がありません。層の分け方は発電方式の出力分担にまとめました。

「予備力に不向き」も同じ向きの否定です。令和5年度1級No.12の選択肢2は「揚水式水力発電は、負荷追従性に優れており、ピーク供給力として使用される」を正しい側に置いています。負荷に追いつける方式を、出力変化が遅いとは書けません。

「地点選定が困難」は、くみ上げるという仕組みそのものと食い違います。流込式水力は「河川の水をそのまま利用するため出力は河川自流に依存する」(平成29年度1級No.20 選択肢1、正しい側)と書かれます。揚水は自分でくみ上げるので、そこが違います。

例えば、肢に「起動から全負荷までの時間が長く、ベース電源に向いている」とあれば、そこで切れます。揚水はポンプ水車を回すだけで起動でき、数分で全出力に届きます。ベースを受け持つのは石炭火力や原子力の側です。

言い換えると、「揚水は速さと自由さが売り」ということです。この2つを否定する語が出たら、そこが答えになります。

長所3つが並んだら、残る1つが答え

系統運用を問う2年度は、4肢のうち3つが長所です。並ぶ内容も位置が入れ替わるだけでした。

論点 令和3年度 1級 No.20 令和6年度 1級 No.17
蓄える仕組み 正しい側(選択肢1) 正しい側(選択肢3)
負荷率の改善 正しい側(選択肢3) 正しい側(選択肢1)
可変速の周波数調整 正しい側(選択肢4) 正しい側(選択肢2)
短所の書き方 地点選定が困難(答え・公表正答は選択肢2 予備力に不向き(答え・公表正答は選択肢4

長所の3つは動かず、短所の中身だけが入れ替わります。3つの長所を先に見つければ、残る1つが答えです。

どこを確認すれば読み分けられるか

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 長所か短所かで分ける:短所を書いた肢が答えです
  • 可変速を探す:周波数調整とセットで正しい側です
  • 負荷率と稼働率を読む:改善・向上の向きで正しい側です
  • ベース電源が出たら答え:揚水はピーク供給力の側です
  • 遅い・困難の語を疑う:揚水の売りを否定する向きです

まちがえやすいポイント

揚水は「速く出せる」のが売りです。

貯めておいて必要なときに出す。だから負荷追従性に優れ、ピーク供給力になります。誤りの肢は、この売りを裏返して作られます。遅い・ベース向き・置く場所が選べない、と書いてあれば答えです。

混同しやすい語

揚水運転と発電運転:くみ上げるのが揚水運転、落として発電するのが発電運転です。

可変速と定速:可変速揚水発電システムは、揚水運転をしながら周波数調整を行います。

負荷率と稼働率:軽負荷時の揚水で系統の負荷率が改善し、火力発電所の稼働率が向上します。

揚水式と流込式:揚水式は自分でくみ上げる側、流込式は河川の水をそのまま使う側です。河川自流に縛られるのは流込式のほうです。

理解度チェック

Q.

軽負荷時に揚水すると系統はどうなるか?

負荷率が改善し、火力発電所の稼働率が向上します。2年度とも正しい側に置かれています。

Q.

可変速揚水発電システムは何ができるか?

揚水運転をしながら周波数調整ができます。可変速運転により入力を調整します。

Q.

揚水発電は何のエネルギーに変換して蓄えるか?

水の位置エネルギーです。系統の供給余力電気エネルギーを変換して蓄えます。

Q.

「出力変化に時間を要するため予備力に不向き」は、なぜ誤りと言えるか?

令和5年度1級No.12の選択肢2が「揚水式水力発電は、負荷追従性に優れており、ピーク供給力として使用される」を正しい側に置いているからです。負荷に追いつける方式を、出力変化が遅いとは書けません。

Q.

揚水式をベース電源とした肢の扱いは?

平成26年度と平成29年度の2年度とも答えです。ベースは止めずに動かし続ける層なので、貯めた水を使い続けたら貯める意味がありません。揚水はピーク供給力の側です。

まとめ

  • 夜の余力でくみ上げ、昼の山で落とす。貯めるのは電気ではなく水の高さ。
  • 長所は3つ。負荷率の改善(火力の稼働率が向上)・可変速なら揚水しながら周波数調整ピーク供給力。2年度とも正しい側。
  • 売りは速く出せること。誤りは4つとも、この売りを裏返して作られる。
  • 「出力変化に時間を要する」=令和5年度の「負荷追従性に優れており」と矛盾する。
  • 「ベース電源として利用する」=平成26年度・平成29年度の2年度とも答え。揚水はピーク供給力の側。
  • 「地点選定が困難」=くみ上げる方式なので河川自流に縛られない。縛られるのは流込式のほう。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成26年度No.20・平成29年度No.20・令和3年度No.20・令和5年度No.12・令和6年度No.17
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