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石炭火力はピークかベースか?揚水式がピークである理由

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どの発電がベースで、どれがピークなの?

石炭火力って、どっちに入るんだろう。

この記事の要点

出力分担とは、需要に合わせて各発電所の受け持ちを決めることです。

火力は効率が良く発電単価が低い発電機を優先して運転します。

揚水式はピークの側です。ベース電源と書いた肢は、2年度とも答えになりました。

各種発電方式の出力分担は、1級で5年度に問われています。

肢の顔ぶれはほぼ固定で、狂わせる場所だけが動きます。

電気は貯められないから、受け持ちを分ける

太陽電池風力は、日射や風でその都度出力が変わります。需要に合わせて出せないので、ピークやベースとは別の扱いになります。出力を貯めるなら蓄電池と組みます。

電気は使うそばから作らなければなりません。一日の需要は朝から夕方にかけて山になり、夜中に谷になります。この形に合わせて、どの発電所にどこを受け持たせるかを決めるのが出力分担です。

一日の需要を3層で受け持つ 需要 時刻 ベース 原子力・流込式水力・石炭火力 ミドル 効率の良い火力から順に ピーク 揚水式水力・ガスタービン
受け持ちの分け方をイメージでつかむための模式図です。需要の形や各層の厚みは実物どおりではありません。正しいのは、動かしっぱなしにする層と、山の時間だけ動かす層に分かれるという点だけです。

下の層は止めずに動かし続けます。だから、燃料費が安く長時間安定して運転できるものを置きます。上の層は山の数時間だけ動かします。だから、すぐ立ち上がって、すぐ止められるものを置きます。

この2つの性格を取り違えた肢が、毎回の答えです。

どの発電がどの層か

ピークを受け持つ代表が揚水発電で、水を落とすだけなので数分で全出力に届きます。水車の向きを変えればポンプになり、余った電気で汲み上げます。非常用のディーゼル発電装置も起動は速いのですが、こちらは系統の需給ではなく停電に備えるものです。

受け持ち 発電方式 出題での書かれ方
ベース 原子力 長時間安定した運転ができるので、ベース供給力として使用される
ベース 流込式水力 需要に見合った出力調整が難しく、ベース供給力として使用される/河川の水をそのまま利用するため出力は河川自流に依存する
ミドル 火力 効率が良く発電単価が低い発電機を優先して運転する(2年度)
調整に使う 調整池式・貯水池式水力 調整池式は夜間に貯水し昼間に発電/貯水池式は季節的周期で豊水期に貯水し渇水期に放出
ピーク 揚水式水力 負荷追従性に優れており、ピーク供給力として使用される/系統の供給余力を水の位置エネルギーに変換して蓄え、ピーク時等に供給する
ピーク ガスタービン 即応性が高くピーク時の運転に有効である
層に置けない 太陽光・風力 季節や気象条件などに左右されるため、出力変動が大きい(2年度)

揚水式がピークなのは、電気を貯めておけるからです。夜のうちに余った電気で水をくみ上げ、昼の山で落として発電します。令和3年度1級No.20の選択肢3も「軽負荷時に揚水することによって系統の負荷率を改善し、火力発電所の稼働率が向上する」を正しい側に置いています。

だから「揚水式をベース電源として利用する」と書いた肢は誤りです。貯めた電気を使い続けたら、貯める意味がありません。

例えば、肢に「揚水式水力発電はベース供給力として運用される」とあれば、そこで切れます。揚水は起動が速く、必要なときだけ動かせるのでピークの側です。ベースを受け持つのは、出力を細かく変えにくい原子力や石炭火力です。

言い換えると、「出力を細かく変えられるものがピーク、動かし続けるものがベース」ということです。燃料費が安く出力を変えにくいものほど、下の層に置かれます。

誤りは受け持ちを入れ替えて作られる

年度・級・問 答えになった肢
平成25年度 1級 学科 No.20
(公表正答は選択肢4)
比較的効率の低い石炭火力発電はピーク時に用いる
平成26年度 1級 学科 No.20
(公表正答は選択肢1)
揚水式発電は、河川の水を有効活用できることから、ベース電源として出力分担する
平成29年度 1級 学科 No.20
(公表正答は選択肢2)
(平成26年度とほぼ同じ文)揚水式水力発電は…ベース電源として利用する
令和3年度 1級 第一次 No.20
(公表正答は選択肢2)
(揚水発電は)河川の流量に制約されるため、一般水力発電に比べて地点選定が困難である
令和5年度 1級 第一次 No.12
(公表正答は選択肢3)
風力発電は、需要に見合った出力調整が容易なため、ピーク供給力として使用される

作り方は2つです。

  • ①受け持ちを入れ替える:効率の低い石炭火力をピークに、揚水式をベースに置きます。5年度のうち3年度がこの形です。
  • ②できないことを容易と書く:風力の出力調整を容易とします。令和5年度がこの形でした。

令和3年度だけは少し違い、揚水発電の性質そのものを問いました。揚水は上下2つの池があればよく、河川の流量に縛られません。だから「河川の流量に制約される」は誤りです。流込式水力とは、そこが逆になります。

読み方の順序は決まっています。

  • ベースと書いてあったら、止めずに動かし続けられるものか確かめる。原子力・流込式水力なら正しい側です。
  • ピークと書いてあったら、すぐ動かせるものか確かめる。揚水式・ガスタービンなら正しい側です。
  • 太陽光と風力は、どの層にも置けません。出力変動が大きいという肢は2年度とも正しい側です。
  • 火力の順番は効率と発電単価で決まります。この原則の肢は2年度とも正しい側です。

揚水発電そのものの仕組みは水車の種類水車発電機、ピーク時に動かす発電設備の側はディーゼル発電装置で扱っています。系統全体の信頼度を上げる話は供給信頼度にまとめました。

過去問でどう問われたか

1級で5年度に出ています。平成25年度・平成26年度・平成29年度・令和3年度がNo.20、令和5年度だけNo.12です。

この論点は、次の順に確かめます。

  • 1つ目 太陽光と風力の肢を飛ばします。平成25年度1級No.20の選択肢1と平成29年度1級No.20の選択肢4で、どちらも正しい側です。
  • 2つ目 流込式の肢も飛ばします。自流依存で正しい側です(平成29年度1級No.20の選択肢1・令和5年度1級No.12の選択肢1)。
  • 3つ目 残った肢で、受け持ちの割り当てが書かれている場所を読みます。
  • 平成25年度1級No.20:火力の割り当てが答え(選択肢4)。
  • 平成26年度1級No.20:水力の割り当てが答え(選択肢1)。
  • 平成29年度1級No.20:水力の割り当てが答え(選択肢2)。
  • 令和3年度1級No.20:揚水発電の性質そのものが答え(選択肢2)。
  • 令和5年度1級No.12:風力の割り当てが答え(選択肢3)。

平成26年度と平成29年度は、どちらも「揚水式をベース電源」で答えになりました。ただし文は同じではありません。平成26年度は「揚水式発電は…ベース電源として出力分担する」、平成29年度は「揚水式水力発電は…ベース電源として利用する」です。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • ピークとベースの語を探す:割り当てが書いてあればそこが論点です。
  • 効率の高低を読む:効率が良いほうを優先するのが原則です。
  • 貯められるかを見る:調整池式は夜間に貯めて昼間に出します。
  • 自然条件の肢は飛ばす:太陽光と風力の出力変動は正しい側です。
  • 流込式も飛ばす:河川の自流に依存するで正しい側です。

まちがえやすいポイント

正しい側の肢は、年度をまたいで使い回されます。

太陽光と風力の出力変動は平成25年度と平成29年度、流込式の自流依存は平成29年度と令和5年度、火力の優先順位は平成26年度と平成29年度に置かれ、いずれも正しい側でした。3つとも並んだのは平成29年度だけです。見覚えのある肢を飛ばして、残った1つを読みます。

なお、5年度とも誤りを選ばせる形です。正しい割り当ては、誤りにされた肢を裏返して読み取ります。

混同しやすい語

流込式と調整池式:流込式は河川の水をそのまま使い、調整池式は夜間に貯めて昼間に発電します。

調整池式と揚水式:どちらも貯める方式ですが、揚水式をベース電源とした肢は平成26年度1級No.20と平成29年度1級No.20の2年度とも答えでした。

効率と単価:火力は効率が良く発電単価が低い発電機を優先します。効率の低いものをピーク時にとした肢が平成25年度の答えでした。

出力変動と自流依存:太陽光と風力は季節や気象条件で変動し、流込式は河川の自流に依存します。

理解度チェック

Q.

火力発電はどの発電機から優先して運転するか?

効率が良く発電単価が低い発電機です。平成29年度の選択肢3に正しい側として置かれています。

Q.

調整池式水力発電は昼と夜でどう使うか?

電力需要の少ない夜間に貯水し、電力需要の多い昼間に発電します。

Q.

流込式水力発電所の点検はいつ行うか?

河川流量の少ない渇水期です。河川の水をそのまま利用するため、出力は河川の自流に依存します。

Q.

平成29年度で答えになったのはどの記述か?

揚水式水力発電をベース電源として利用するという記述です。

まとめ

  • 火力は効率が良く発電単価が低い発電機を優先して運転する。
  • 太陽光と風力は出力変動が大きい。2年度とも正しい側。
  • 流込式は河川の自流に依存し、点検は渇水期。
  • 調整池式は夜間に貯水して昼間に発電。揚水式をベース電源とした肢は平成26年度1級No.20と平成29年度1級No.20の2年度とも答え

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成25年度No.20・平成26年度No.20・平成29年度No.20・令和3年度No.20・令和5年度No.12
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