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どの肢ももっともらしくて、決め手がないんだけど。
答えになる肢って、何か共通の向きがあるの?
この記事の要点
供給信頼度とは、電力を停電させずに供給し続けられる度合いのことです。
機器はいつか止まります。だから対策は、1つ止まっても残りで続けられる形にすることです。
並列接続・複数台・多重化・連系・予備力は、どれも代わりを増やす手です。誤りは、代わりを減らす向きに書き換えて作られます。
供給信頼度の向上対策は、1級に3年度分あります。3年度で並んだ肢は全部で12ですが、顔ぶれは7種類に決まっていて、答えになったのは2種類だけです。
まず、何をもって信頼度が高いと言えるのかを押さえます。
機器が止まる理由は2つあります。故障で止まるか、点検で止めるか。どちらも避けられません。だから信頼度は、止まる回数ではなく止まったあと何が残るかで決まります。
令和8年度1級No.10の選択肢3は、これをそのまま正しい側に置きました。「大容量機器を単機で備えるよりも、半分の容量のものを2台設けると信頼度が向上する」。
同じ考え方は、受電方式の出題にも出てきます。平成29年度1級No.34のスポットネットワーク受電方式では、「一次側の回線が停止しても、残りの変圧器で最大需要電力を供給できるように変圧器容量を選定する」が正しい側でした。止まった分を残りで賄えるかどうかが、容量の決め方そのものになっています。詳しくはスポットネットワーク受電方式で扱っています。
例えば、変圧器を大容量の1台にまとめると、その1台が止まったときに代わりがありません。半分の容量を2台にすれば、片方が止まっても残りで続けられます。
言い換えると、「信頼度を上げる打ち手は、止まったあとに残るものを増やす向きに揃っている」ということです。
3年度分の出題で答えになった肢は2種類しかありません。どちらも、代わりを減らす向きに書き換えたものです。
| 論点 | 正しい向き | 誤りの向き |
|---|---|---|
| 機器の持ち方 | 半分の容量のものを2台設ける | 大容量機器を少数設置する |
| 定期点検 | 負荷が最大になる時期に集中しないように計画する | 負荷の軽重に関わらず、年間を通して平均化する |
| つなぎ方 | できる限り並列接続する/系統どうしを並列化する | (誤りにされたことがありません) |
| 系統をまたぐ | 連系線や周波数変換設備で隣接系統間を連系し、広域運営を行う | (誤りにされたことがありません) |
| 備え | 保護継電装置を多重化する/数分間で供給力増加が可能な予備力を確保する | (誤りにされたことがありません) |
並べる・つなぐ・二重にする方向は、一度も誤りにされていません。読むときは、その肢が代わりを増やしているか減らしているかだけを見ます。
機器の持ち方が答えになったのは、令和2年度です。
令和2年度 1級 学科 No.20 選択肢1(誤りの側。公表正答は選択肢1)
大容量機器は信頼度が高いため、大容量機器を少数設置する。
1台あたりの信頼度が高いことと、系統全体の信頼度が高いことは別です。少数にまとめると、その1台が止まったときに代わりがありません。令和8年度1級No.10の選択肢3が、同じ論点を正しい向きで置いています。
止まったあとに残す仕組みは、設備の側にも用意されています。
点検の間、その機器は止まります。止めるなら、余裕のある時期に止めます。負荷が最大の時期に点検を入れると、いちばん要るときに供給力が欠けます。
令和2年度 1級 学科 No.20 選択肢4(正しい側。公表正答は選択肢1)
機器の定期点検は、負荷が最大になる時期に集中しないように計画する。
ところが令和5年度と令和8年度は、これを次のように書き換えました。
令和5年度 1級 第一次 No.20 選択肢2(公表正答は選択肢2)/令和8年度 1級 第一次 No.10 選択肢4(公表正答は選択肢4)
機器の定期点検は、負荷の軽重に関わらず、年間を通して平均化するように計画する。
「負荷の軽重に関わらず」が入った時点で、負荷が最大の時期にも点検が割り当てられます。2年度とも一字一句同じ文で、位置だけが選択肢2から選択肢4へ動きました。
母線を分ける話は変電所の構成機器に、線路そのものの性質は線路定数にまとめました。
紛らわしいのが短絡容量の軽減対策です。こちらも母線を分けたり系統を分けたりしますが、狙いが逆向きです。
肢に出る語も分かれます。限流リアクトル・高インピーダンスの変圧器・母線の分割が出てきたら、それは短絡容量の側の問題です。短絡容量そのものは短絡容量の計算、インピーダンスとの関係は配電系統の高調波で扱っています。
配電の側では、つなぎ方そのものが信頼度を決めます。平成28年度2級No.10は高圧配電系統のループ方式について、「幹線を環状にし、2方向より供給する」「事故時にその区間を切り離すことにより、他の健全区間に供給できる」「樹枝状方式に比べて供給信頼度が高い」をいずれも正しい側に置きました。環状にすれば、どちらか一方が切れても反対側から届きます。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
供給信頼度の向上と短絡容量の軽減:どちらも系統を分ける話が出ますが、前者はつないで代わりを作る側、後者は断って電流を抑える側です。
並列接続と並列化:機器どうしを並列にするのが並列接続、系統どうしを並列にするのが並列化です。どちらも正しい側でした。
予備力と多重化:予備力は供給力そのものの余裕、多重化は保護継電装置を重ねることです。
ループ方式と樹枝状方式:環状にして2方向から供給するのがループ方式で、樹枝状方式より供給信頼度が高いとされています。
定期点検はどう計画するのが正しい側か?
負荷が最大になる時期に集中しないように計画します。年間を通して平均化するとした肢は2年度とも答えです。
大容量機器はどう備えるのが正しい側か?
単機で備えるよりも、半分の容量のものを2台設けるほうです。
3年度すべてに出て正しい側だった対策は何か?
発電機や変圧器などの機器をできる限り並列接続することです。
なぜ定期点検を年間で平均化してはいけないのか?
点検の間、その機器は止まるからです。負荷を見ずに平均化すると、負荷が最大の時期にも点検が割り当てられ、いちばん要るときに供給力が欠けます。
同じ「分ける」でも、短絡容量の軽減対策とはどこが違うか?
狙いが逆です。供給信頼度はつないで代わりを作る側、短絡容量の軽減は断って流れ込む電流を抑える側です。限流リアクトルや高インピーダンスの変圧器は後者に出る語です。
広域運営はどうやって行うと書かれているか?
交流連系線や直流連系線、周波数変換設備などで隣接系統間を連系して行います。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
肢が代わりを増やしているか、減らしているかで見ます。
並列接続・複数台・多重化・連系・予備力は、すべて代わりを増やす側です。大容量を少数にまとめると、代わりが無くなります。定期点検を平均化すると、負荷が重い時期にも機器を止めることになります。どちらも代わりを減らす向きです。