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抵抗とインダクタンスと静電容量までは出てくるんだけど。
4つめって何だっけ?
この記事の要点
線路定数とは、送電線路を電気回路とみなしたときの4つの定数のことです。
並びは抵抗・インダクタンス・静電容量・漏れコンダクタンスです。
決めているのは電線の種類・太さ・配置だけで、何を流すかは関係しません。ここを突いた肢が2年度とも答えになりました。
送電線路の線路定数は、1級と2級を合わせて9問あります。問い方は3通りに分かれますが、土台になる4つの定数はどの年度も同じです。
まず、その4つが何を指しているのかを押さえます。
送電線は、電気から見れば1本の長い回路です。その回路で起きることを4つに分けて数にしたものが線路定数です。令和8年度2級(前期)No.16の問題文が、いちばん短くこの並びを書いています。
令和8年度 2級 第一次検定(前期)No.16 問題文
送電線路は、抵抗、インダクタンス、静電容量、□の4つの定数をもつ連続した電気回路とみなすことができる。
| 定数 | 何を表すか | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 抵抗 | 電線の中で電流が妨げられる度合い | 電線の種類と断面積 |
| インダクタンス | 電流が作る磁界のはたらき | 電線の配置(間隔) |
| 静電容量 | 電線どうし、電線と大地の間にたまる度合い | 電線の配置(間隔) |
| 漏れコンダクタンス | がいしなどを通って漏れる度合い。漏れ抵抗の逆数 | 絶縁の状態 |
静電容量に相手が2つあることは、出題にそのまま書かれています。「静電容量には、各相の対地静電容量と線間静電容量がある」。令和6年度と令和8年度の1級で、一字一句同じ書き方で正しい側でした。
漏れコンダクタンスは小さいので、送電特性の計算では省かれることが多いとも書かれています。名前が思い出しにくいのは、計算に出てこないからです。
この表の右の列を見ると、決めているのは電線の種類・太さ・配置だけです。何を流すかは入っていません。
出題も、そこを突いてきます。「架空送電線路の線路定数を定める要素として、最も関係のないもの」を選ぶ形が2年度あり、どちらも選択肢1から選択肢3までが電線の話で固定されています。
入れ替わるのは選択肢4だけで、そこには線路を流れるものが置かれます。定数は電線の作りと置き方で決まるので、何をどれだけ流しても変わりません。
例えば、電線を太くすると断面積が増えるので、抵抗は小さくなります。同じ電線で離隔距離だけを広げても、抵抗は変わりません。
言い換えると、「線路定数は電線そのもので決まり、何を流すかでは変わらない」ということです。
4語のうち1つを空欄にする出題が5年度あります。空欄になった場所を並べると、次のようになります。
| 年度・級・問 | 空欄の場所 | 入る語 |
|---|---|---|
| 平成28年度 1級 No.23 | 抵抗-ア-静電容量-イ | インダクタンス/漏れコンダクタンス |
| 平成30年度 2級(前期)No.18 | 抵抗-□-静電容量-漏れコンダクタンス | インダクタンス |
| 令和2年度 2級(後期)No.18 | 抵抗-インダクタンス-□-漏れコンダクタンス | 静電容量 |
| 令和4年度 2級(前期)No.18 | (令和2年度と同じ場所) | 静電容量 |
| 令和8年度 2級(前期)No.16 | 抵抗-インダクタンス-静電容量-□ | 漏れコンダクタンス |
空欄は2番目から4番目まで動きました。残っている3つを見れば、抜けている語が決まります。
誤りの候補として毎年並ぶのがアドミタンスとインピーダンスです。アドミタンスは5年度すべて、インピーダンスは4年度の選択肢に入っています。ほかにリアクタンス・サセプタンス・漏れ電流・零相電流・漏れリアクタンスも混ぜられました。どれも4つの定数には含まれません。
4つの定数は、それぞれ別の場面で効いてきます。
線路定数の性質を並べる出題が、令和6年度と令和8年度の1級にあります。同じ選択肢2の位置で、向きだけが入れ替わりました。
令和6年度 1級 No.20 選択肢2(誤り)/令和8年度 1級 No.20 選択肢2(正しい)
作用インダクタンスは、地中送電線路より小さくなる。
作用インダクタンスは、地中送電線路より大きくなる。
インダクタンスを決めるのは電線の配置でした。架空送電線路は電線どうしの間隔が大きく、地中送電線路のケーブルは互いに近い。だから架空のほうが大きい側になります。
令和8年度で答えになったのは選択肢1で、「電線の抵抗は、電線相互の離隔距離に比例し、断面積に反比例する」という書き方でした。断面積に反比例するのは正しいのですが、抵抗は電線の中の話なので、離隔距離では変わりません。
令和6年度の選択肢1には別の性質も置かれています。「交流電流の場合の抵抗値は、直流抵抗値より大きくなる」。これは正しい側でした。電線そのものの種類や構造は架空送電線路の機材で扱っています。
架空と地中の違いそのものは架空送電と地中送電に、設備の選び方は供給信頼度にまとめました。
作用インダクタンスと作用静電容量は、ねん架の出題にも顔を出します。3相の電線は配置が違うので、そのままでは相ごとに定数が違ってしまいます。位置を順に入れ替えて、相ごとの偏りをならすのがねん架です。
平成28年度・平成30年度(後期)・令和5年度(後期)の2級で、3年度とも選択肢4が答えでした。いずれも「各相の作用インダクタンス、作用静電容量を平衡させる」という記述です。この3問は適当なものを選ぶ形なので、答えの肢が正しい記述にあたります。
平成30年度と令和5年度には「電線のインダクタンスを減少させ、静電容量を増加させる」という肢が混ぜられました。これは多導体の効果にあたるもので、ねん架の目的として答えにはなっていません。
ねん架は別の主題にも顔を出しますが、扱いが分かれます。電磁誘導障害の軽減対策としては「送電線をねん架する」が正しい側です(平成29年度2級・令和元年度1級・令和6年度2級)。いっぽうコロナ放電の抑制対策では、「電線のねん架を行う」が関係のない側に置かれました(平成27年度2級・令和5年度2級(前期))。相ごとの偏りをならす手なので、コロナ放電には効きません。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
線路定数とインピーダンス・アドミタンス:4つの定数から組み立てるのがインピーダンスとアドミタンスです。定数そのものではないので、穴埋めの答えにはなりません。
対地静電容量と線間静電容量:相手が大地か、隣の電線かの違いです。どちらも静電容量に含まれます。
漏れコンダクタンスと漏れ抵抗:逆数の関係です。計算では省かれることが多いとされています。
ねん架と多導体:ねん架は相ごとの偏りをならすもの、多導体はインダクタンスを減らし静電容量を増やすものです。
線路定数の4つは何か。それぞれ何を表しているか?
抵抗(電線の中で電流が妨げられる)、インダクタンス(電流が作る磁界)、静電容量(電線どうしや大地との間にたまる)、漏れコンダクタンス(がいしなどを通って漏れる。漏れ抵抗の逆数)の4つです。
なぜ「電線の電流」や「負荷の力率」は関係ないのか?
線路定数は電線の作りと置き方で決まるからです。何をどれだけ流しても、電線そのものは変わりません。
線路定数を定める要素は何か?
電線の種類、太さ(導体の断面積)、配置です。電線の電流や負荷の力率は関係しません。
架空送電線路の作用インダクタンスは、地中送電線路と比べてどうか?
大きくなります。小さくなると書いた肢が令和6年度の答えでした。
ねん架の目的は何か?
各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させることです。3年度とも選択肢4が答えでした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
4つの定数と、それを決める要素は別の話です。
定数そのものは抵抗・インダクタンス・静電容量・漏れコンダクタンス。これを決めるのは電線の種類・太さ(断面積)・配置です。電線の電流や負荷の力率は、何を流すかの話なので関係しません。この2つを混ぜた肢が、2年度とも答えになりました。