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振動の名前が4つもあって、どれがどの説明なの?
張力を大きくする対策も、正しいときと誤りのときがあるのはなんで?
この記事の要点
架空送電線路の振動現象とは、微風振動・ギャロッピング・サブスパン振動・スリートジャンプの4つのことです。
出題は6年度あり、4つが互いの誤り肢になります。
電線の張力を大きくする対策は、現象によって扱いが変わります。
架空送電線路の振動現象は、1級に4年度・2級に2年度出ています。
現象の名称を選ばせる形と記述の誤りを探させる形があり、どちらも同じ4つから作られます。
まず、6年度で確定した4つの説明を並べます。
| 現象 | 出題が示した内容 | 出所 |
|---|---|---|
| 微風振動 | 比較的緩やかで一様な風が吹いている時、電線が上下に振動する | 令和6年度1級 第一次 No.19 選択肢1(正しい側) |
| ギャロッピング | 電線に氷雪が付着して断面が非対称になり、風が当たると揚力が発生して振動する | 令和6年度2級 第一次(前期)No.14(答え) |
| サブスパン振動 | 多導体に固有のもので、風上側導体の後流によって風下側導体が不安定となる自励振動 | 令和7年度1級 第一次 No.18(答え) |
| スリートジャンプ | 電線に付着した氷雪が脱落し、その反動で電線が跳ね上がる | 令和5年度1級 第一次 No.21 選択肢1(答え) |
ギャロッピング・サブスパン振動・スリートジャンプの3つは、どこかの年度で答えの位置に置かれています。微風振動は、名称を選ばせる問では誤りの側に並ぶだけです。そのかわり、記述を問う形で令和2年度1級No.24と令和6年度1級No.19の主題になっています。1つ覚えれば残りも決まります。
名称を選ばせる問には、4つ以外の語が混ざることもあります。令和7年度1級No.18の選択肢2はコロナ振動で、答えはサブスパン振動でした。
入れ替えの実例を見ます。令和5年度1級No.21は、ギャロッピングの説明としてスリートジャンプの内容が出されました。
令和5年度 1級 第一次 No.21 選択肢1(公表正答は選択肢1)
電線に付着した氷雪が脱落し、その反動で電線が跳ね上がる現象である。
正しいギャロッピングの説明は、令和6年度2級(前期)No.14の答えとして実在します。氷雪が付着して断面が非対称になり、そこに風が当たって揚力が生じる側です。
言い換えると、「氷雪が落ちるならスリートジャンプ、付いたままなら風で揺れるギャロッピング」ということです。氷雪の扱いが正反対になります。
ここが最も間違えやすいところです。
令和2年度 1級 学科 No.24 選択肢4(公表正答は選択肢4)
電線の張力を大きくする。(微風振動の防止対策として不適当)
同じ年度の肢が、その理由まで示しています。令和6年度1級No.19 選択肢3「支持物の径間が長く、電線の張力が大きいほど発生しやすい」が正しい側に置かれました。
例えば、スリートジャンプの防止対策では「電線の張力を大きくする」が5年度とも正しい側でした。同じ文でも現象が変われば扱いが逆になります。
もう1つ、多導体という語が出たら2つの現象が候補になります。
固有と書けばサブスパン振動、発生しやすいと書けばギャロッピングです。多導体そのものについては多導体と静電容量の記事にまとめました。
令和6年度1級No.19の選択肢2は「懸垂箇所よりも耐張箇所で断線の被害が発生しやすい」で、これも答えでした。向きが逆です。懸垂箇所の側で素線切れや溶断が起きることは、別の年度の正しい肢に書かれています。
平成29年度 2級 学科 No.16(公表正答は選択肢3=アーマロッド)/令和元年度 1級 学科 No.25 選択肢4(正しい側)
電線の振動による素線切れや事故電流による溶断を防止するため、懸垂クランプ付近の電線の外周に巻き付けて補強する。
懸垂クランプ支持箇所の電線の溶断を防止するため、アーマロッドを取り付ける。
アーマロッドは、懸垂クランプの付近に巻き付ける部材です。そこを補強するということは、そこが傷む側だということです。機材の役割は架空送電線路の機材の記事で扱いました。
読み飛ばせる肢も整理しておきます。
スリートジャンプそのものの深掘りはスリートジャンプとギャロッピングの違いにまとめました。
混同しやすい語
ギャロッピングとスリートジャンプ:氷雪が付着したままなのがギャロッピング、脱落するのがスリートジャンプです。令和5年度1級No.21で入れ替えられました。
サブスパン振動と微風振動:前者は多導体固有の自励振動、後者は緩やかで一様な風による上下の振動です。
相間スペーサとスペーサ:ギャロッピングの対策に出るのが相間スペーサ、多導体の間隔保持がスペーサです。
フェージング:平成29年度2級No.19で、架空送電線路の現象として関係のない語とされました。
電線の振動現象は6年度分です。
| 年度・級・問 | 問われた形 | 答え |
|---|---|---|
| 平成29年度 2級 学科 No.19 | 架空送電線路に発生する現象として関係のないもの | フェージング(選択肢1) |
| 令和2年度 1級 学科 No.24 | 微風振動の防止対策として不適当 | 張力を大きくする(選択肢4) |
| 令和5年度 1級 第一次 No.21 | ギャロッピングの記述として不適当 | 氷雪の脱落で跳ね上がる(選択肢1) |
| 令和6年度 1級 第一次 No.19 | 微風振動の記述として不適当 | 耐張箇所で断線(選択肢2) |
| 令和6年度 2級 第一次(前期)No.14 | 氷雪が付着し揚力で振動する現象の名称 | ギャロッピング(選択肢3) |
| 令和7年度 1級 第一次 No.18 | 多導体固有の自励振動の名称 | サブスパン振動(選択肢4) |
現象の名称を選ばせる形と、記述の誤りを探させる形が交互に出ています。どちらも同じ4つの現象から作られました。
この系統の肢は、次の順に見ます。
ギャロッピングはどんな現象か?
電線に氷雪が付着して断面が非対称になり、風が当たると揚力が発生して振動する現象です。
微風振動の防止対策として誤りとされたのは何か?
電線の張力を大きくすることです。張力が大きいほど発生しやすいと別の年度に書かれています。
多導体に固有の自励振動は何か?
サブスパン振動です。風上側導体の後流で風下側導体が不安定になります。
架空送電線路の現象として関係がないとされた語は何か?
フェージングです。コロナ放電・ギャロッピング・サブスパン振動は正しい側でした。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
張力の扱いは現象ごとに分けます。
微風振動では張力が大きいほど発生しやすいので、大きくする対策は答えになります。スリートジャンプでは張力を大きくする対策が5年度とも正しい側です。対策の文だけを覚えると、どちらかで必ず外します。
令和6年度1級No.19 選択肢2「懸垂箇所よりも耐張箇所で断線の被害が発生しやすい」も答えです。向きは逆で、被害が出やすいのは懸垂箇所の側になります。