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ロッドが2つあって、どっちがどっちなの?
ダンパとスペーサも混ざると、全部それらしく見えるんだけど。
この記事の要点
架空送電線路の機材とは、電線に取り付けて振動や接触から守るアーマロッド・スパイラルロッド・スペーサ・ダンパなどのことです。
見分けるのは形ではなく、何から守るためのものかです。
2つのロッドはどちらも巻き付けるものなので、懸垂クランプならアーマロッド、風音ならスパイラルロッドと目的の語で分けます。
架空送電線路の機材は、2級に8年度分あります。名称を答える形が6年度、役割を答える形が2年度で、どちらも同じ4機材の中から選びます。
4つの機材が互いの誤り肢になっているので、1つ覚えれば残りも決まります。
どれも電線に取り付ける小さな部品です。出題は形の説明をしません。「何を防止するため」という書き方で示してきます。だから読むのは目的の側です。スペーサだけは多導体に固有で、ほかの3つは1本の電線にも付きます。
| 機材 | 出題での記述 | 見分ける語 |
|---|---|---|
| アーマロッド | 電線の振動による素線切れや事故電流による溶断を防止するため、懸垂クランプ付近の電線に巻き付けて補強する | 懸垂クランプ/素線切れ/溶断 |
| スパイラルロッド | 電線の周りに数本巻き付けて、電線が風の流れと定常的な共振状態になることを防止し、電線特有の風音の発生を抑制する | 風音/共振 |
| スペーサ | 多導体で、短絡電流による電磁吸引力や強風により電線相互が接近や接触することを防止するため、電線相互の間隔を保持する | 多導体/間隔 |
| ダンパ | 電線の振動を防止する | 振動そのもの |
2つのロッドは、どちらも巻き付けるものです。動作が同じなので、目的の語で分けます。懸垂クランプが出てきたらアーマロッド、風音が出てきたらスパイラルロッドです。
名称を答える形の出題は6年度あり、使われる記述は3種類しかありません。
| 年度・級・問 | 示された記述 | 答え |
|---|---|---|
| 平成29年度 2級No.16 | 懸垂クランプ付近に巻き付けて補強 | アーマロッド(選択肢3) |
| 令和元年度 2級(前期)No.16 | (同じ記述。フラッシオーバ時のアークスポットによる溶断と細かく書く) | アーマロッド(選択肢3) |
| 令和元年度 2級(後期)No.16 | 共振を防止し風音を抑制 | スパイラルロッド(選択肢1) |
| 令和3年度 2級(前期)No.16 | 懸垂クランプ付近に巻き付けて補強 | アーマロッド(選択肢3) |
| 令和3年度 2級(後期)No.16 | 共振を防止し風音を抑制 | スパイラルロッド(選択肢1) |
| 令和4年度 2級(後期)No.17 | 多導体で電線相互の間隔を保持 | スペーサ(選択肢1) |
前期はアーマロッド、後期はスパイラルロッド。令和元年度と令和3年度は、同じ年度の前期と後期でロッドを打ち分けています。答えの位置も固定で、アーマロッドは選択肢3、スパイラルロッドは選択肢1でした。
残る2年度は、機材を先に示して役割を選ばせる形です。令和5年度2級(前期)No.16と令和7年度2級(後期)No.14はどちらもダンパの目的を問い、「電線の振動を防止する」が答えでした。位置だけが選択肢3から選択肢1へ動きます。
例えば、「電線相互の接近・接触を防止する」と書いてあればスペーサです。同じ巻き付ける機材でも、アーマロッドは支持点付近の補強、スパイラルロッドは風による騒音の軽減です。
言い換えると、「動作が同じでも、何から守るかで名前が変わる」ということです。
ダンパの目的を問う2年度では、残る肢の中身に見覚えがあります。
4つの機材が、互いの誤り肢になっています。だから1つの役割を覚えれば、残りも自動的に決まります。
アーマロッドだけは、名称を選ぶ問題の外にも出てきます。効く相手と、効かない相手がはっきり分かれます。
| 出題の主題 | アーマロッドの扱い |
|---|---|
| 架空送電線路の雷害対策 | 正しい側。「雷撃時のフラッシオーバによる電線の損傷などを防止するため」「懸垂クランプ支持箇所の電線の溶断を防止するため」 |
| 電線の微風振動の防止対策 | 正しい側。「振動による電線の断線防止対策として、アーマロッドを取り付ける方法がある」 |
| 建築物等の雷保護システムの用語 | 関係のない側(日本産業規格上) |
| 変電所の塩害対策 | 最も不適当な側。「がいしにアーマロッドを取り付ける」 |
この4つの主題が出たのは、雷害対策が平成26年度 1級 No.11と令和元年度 1級 No.25、微風振動が令和2年度 1級 No.24と令和6年度 1級 No.19、雷保護システムの用語が令和2年度 2級(後期)No.26、塩害対策が令和7年度 2級(前期)No.17です。雷害対策では平成26年度が選択肢2の「逆フラッシオーバを防止するためスペーサを設ける」で答えになり、令和元年度にも選択肢2に「逆フラッシオーバを防止するため相間スペーサを設ける」が置かれました。微風振動では令和2年度が選択肢4の「電線の張力を大きくする」、令和6年度が選択肢2の「懸垂箇所よりも耐張箇所で、断線の被害が発生しやすい」が答えです。
境目ははっきりしています。アーマロッドは電線に巻いて守るものです。だから電線の振動にも、電線の溶断にも効きます。いっぽうがいしや建築物には関係しません。塩害対策の肢は「がいしに取り付ける」と書いて誤りにしました。フラッシオーバや雷保護システムは別の系統です。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
アーマロッドとスパイラルロッド:巻き付ける動作は同じです。守る相手が、素線切れ・溶断か、風音・共振かで分かれます。
スペーサと相間スペーサ:スペーサは多導体の電線相互の間隔を保持するもの、相間スペーサは別の主題(雷害対策)に出る語です。
ダンパとアーマロッド:どちらも振動に関わりますが、ダンパは振動そのものを抑え、アーマロッドは支持点付近を補強します。微風振動の対策では、どちらも正しい側に並びます。
アーマロッドとアークホーン:アーマロッドは電線、アークホーンはがいし連の両端に付けるものです。
懸垂クランプ付近に巻き付けて補強する機材は何か?
アーマロッドです。3年度とも選択肢3の位置で答えになりました。
風音の発生を抑制する機材は何か?
スパイラルロッドです。2年度とも選択肢1の位置で答えになりました。
ダンパの目的は何か?
電線の振動を防止することです。2年度とも同じ文が答えでした。
多導体で電線相互の間隔を保持する機材は何か?
スペーサです。短絡電流による電磁吸引力や強風での接触を防ぎます。
アーマロッドが「関係のない側」に置かれるのはどんな出題か?
変電所の塩害対策と、建築物等の雷保護システムの用語です。アーマロッドは電線に巻くものなので、がいしや建築物には関係しません。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
2つのロッドは、動作ではなく目的で分けます。
どちらも「電線に巻き付ける」ものなので、動作では決まりません。懸垂クランプ・素線切れ・溶断ならアーマロッド、風音・共振ならスパイラルロッド。令和元年度と令和3年度は、同じ年度の前期と後期でこの2つを打ち分けてきました。