電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 電気設備
  3. > 雷保護システムの用語

アークホーンは雷保護システムの用語か?規格の適用範囲で決まる

T

T

4つの語から「関係のないもの」を選べって言われても、どれも雷に関係あるように見える。

アークホーンも架空地線も、雷から守るものじゃないの?

この記事の要点

雷保護システムとは、雷の影響に対して被保護物を保護するために使用するシステムの全体のことです。

規格は建築物等を対象にしており、送電・配電システムを適用範囲から除いています。

8年度で答えになった語は5つだけです。開閉サージ・アークホーン・アーマロッド・架空地線・放電クランプで、いずれも送電や配電の語です。

雷保護システムの用語は、日本産業規格 JIS A 4201 が1語ずつ定義しています。

4つの語のうち3つは規格に載っており、1つだけ載っていません。載っていない語がそのまま答えになります。

規格が定める雷保護システムの構成

まず全体の組み立てを押さえます。

日本産業規格 JIS A 4201:2003 建築物等の雷保護(1.2 定義)

1.2.5 雷保護システム 雷の影響に対して被保護物を保護するために使用するシステムの全体。これには、外部及び内部雷保護システムの両方を含む。

1.2.6 外部雷保護システム 受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなるシステム。

1.2.7 内部雷保護システム 被保護物内において雷の電磁的影響を低減させるため、1.2.6のシステムに追加するすべての措置で、等電位ボンディング及び安全離隔距離の確保を含む。

1.2.8 等電位ボンディング 内部雷保護システムのうち、雷電流によって離れた導電性部分間に発生する電位差を低減させるため、その部分間を直接導体によって又はサージ保護装置によって行う接続。

1.2.9 受雷部システム 外部雷保護システムのうち、雷撃を受けるための部分。

1.2.11 接地システム 外部雷保護システムのうち、雷電流を大地へ流し拡散させるための部分。

1.2.12 接地極 大地と直接電気的に接触し、雷電流を大地へ放流させるための接地システムの部分又はその集合。

1.2.24 サージ保護装置 火花ギャップ、サージ抑制器、半導体装置など、被保護物内の2点間におけるサージ電圧を制限するための装置。

1.2.29 保護レベル 雷保護システムを効率に応じて分類する用語。
備考 保護レベルは、雷保護システムが雷の影響から被保護物を保護する確率を表す。

言い換えると、「受雷部で受けて、引下げ導線で下ろし、接地システムで大地へ流す」ということです。

例えば、令和6年度2級前期No.23では引下げ導線システムが選択肢2に置かれ、規格の語なので正しい側でした。

規格の中にある語と、外にある語 JIS A 4201 の中(建築物等) 外部雷保護システム 受雷部システム 引下げ導線システム 接地システム 内部雷保護システム 等電位ボンディング 安全離隔距離 適用範囲の外(送電・配電) 開閉サージ アークホーン アーマロッド 架空地線 放電クランプ 雷に関わるが 建築物等を守る語ではない
定義=JIS A 4201:2003 1.2.5〜1.2.7/除外=同 1.1.1 適用範囲 a)〜d)

規格の適用範囲から外れる送電・配電の用語

答えになる語が規格に無い理由は、適用範囲の除外規定にあります。

同 1.1.1 適用範囲

この規格は、建築物又は煙突、塔、油槽などの工作物その他のもの(以下、建築物等という。)に適用する雷保護システムの設計及び施工について規定する。

次の場合は、この規格の適用範囲外である。

a) 鉄道システム
b) 建築物等の外部に設ける送電、配電及び発電システム(建築物等に付帯するものを除く。)
c) 建築物等の外部に設ける通信システム(建築物等に付帯するものを除く。)
d) 車両、船舶、航空機及び沖合設備

答えになった5語は、すべて送電線路か配電線路の用語です。アークホーンとアーマロッドと架空地線は架空送電線路、放電クランプは架空配電線路で使われます。開閉サージは電力系統に生じる過電圧の呼び名です。

どれも雷とは関わりますが、建築物等を守るしくみではないので規格には出てきません

送電・配電の側にある5つの語

同じ語が何度も繰り返し使われています。

答えになった語 どこで使う語か 回数
開閉サージ 電力系統に生じる過電圧 3年度
アークホーン 架空送電線路のがいし 2年度
アーマロッド 架空送電線路の電線 1年度
架空地線 架空送電線路の雷害対策 1年度
放電クランプ 架空配電線路の雷害対策 1年度

架空地線とアークホーンは、架空送電線路の雷害対策としては正しい語です。問われているのが建築物等の雷保護システムなので、そこでは関係のない語になります。送電線路側の扱いはフラッシオーバの記事にまとめました。

規格の外にある5語は、どれも架空の電線路で使われるものです。

受雷部の構成要素と配置の方法

正しい側に置かれる語のうち、受雷部まわりは2つの箇条に分かれています。

  • 構成要素(2.1.1):突針、水平導体、メッシュ導体。受雷部システムはこの各要素又はその組合せで構成します。
  • 配置の方法(2.1.2):保護角法、回転球体法、メッシュ法。個別に又は組み合わせて使用できます。

メッシュ導体は部材の名前、メッシュ法は配置の決め方です。出題ではどちらも正しい側に置かれました。

まちがえやすいポイント

雷に関係する語かどうかでは決まりません。

アークホーンも架空地線も放電クランプも、雷から設備を守るためのものです。それでも答えになるのは、規格が建築物等を対象にしていて、送電・配電システムを適用範囲から外しているからです。4語を見比べるときは「雷に効くか」ではなく「建築物等のしくみか」で分けてください。

混同しやすい語

架空地線とメッシュ導体:架空地線は架空送電線路の鉄塔上部に設けるもの、メッシュ導体は建築物等の受雷部システムの構成要素です。

メッシュ導体とメッシュ法:メッシュ導体は受雷部の構成要素(2.1.1)、メッシュ法は受雷部の配置の方法(2.1.2)です。

サージ保護装置と開閉サージ:サージ保護装置は規格の定義(1.2.24)にあります。開閉サージは電力系統の過電圧の呼び名で、規格には出てきません。

接地極と接地システム:接地システムは外部雷保護システムのうち雷電流を大地へ流し拡散させる部分、接地極はその部分又は集合です。どちらも規格の語です。

等電位ボンディングと安全離隔距離:どちらも内部雷保護システムに含まれる措置です(1.2.7)。

接地システムそのものの種別は接地工事の種別に、施工後の値は接地抵抗の判定にまとめました。がいしの汚れを扱う塩害対策防食保護も、屋外の設備を守る話です。

過去問でどう問われたか

雷保護システムの用語は、2級で8年度に出ています。4語のうち規格に無い1語を選ばせる形で固定されています。設問文の言い回しは年度で少し動き、「外部雷保護システム」(平成28・30年度)、「雷保護システム」、「雷保護」(令和6年度)と幅があるほか、令和3年度と令和7年度は「最も関係のないもの」と聞きます。選び方は変わりません。

年度・級・問 並んだ4語 答え
平成28年度 2級 学科試験(後期)No.26 回転球体法/保護レベル/開閉サージ/水平導体 開閉サージ
平成30年度 2級 学科試験(後期)No.26 水平導体/保護角法/保護レベル/開閉サージ 開閉サージ
令和元年度 2級 学科試験(前期)No.26 放電クランプ/等電位ボンディング/回転球体法/メッシュ導体 放電クランプ
令和2年度 2級 学科試験(後期)No.26 水平導体/アーマロッド/保護レベル/サージ保護装置 アーマロッド
令和3年度 2級 第一次検定(前期)No.25 開閉サージ/等電位ボンディング/水平導体/保護レベル 開閉サージ
令和4年度 2級 第一次検定(後期)No.25 アークホーン/水平導体/保護レベル/回転球体法 アークホーン
令和6年度 2級 第一次検定(前期)No.23 回転球体法/引下げ導線システム/アークホーン/メッシュ導体 アークホーン
令和7年度 2級 第一次検定(後期)No.23 架空地線/等電位ボンディング/保護角法/接地極 架空地線

保護レベルと水平導体は5年度ずつ並び、一度も答えになっていません。回転球体法は4年度、等電位ボンディングは3年度並びましたが、こちらも一度も答えになっていません。

どこを確認すれば読み分けられるか

雷保護システムの用語の肢は、次の順に見ます。

  • 送電・配電の語を探す:アークホーン・アーマロッド・架空地線・放電クランプ・開閉サージが出てきたら、それが答えです。
  • 3つのシステムを思い出す:受雷部システム、引下げ導線システム、接地システムが外部雷保護システムです。
  • 受雷部まわりを2組で覚える:構成要素は突針・水平導体・メッシュ導体、配置の方法は保護角法・回転球体法・メッシュ法です。
  • 保護レベルと等電位ボンディングは飛ばす:一度も答えになっていません。

理解度チェック

Q.

外部雷保護システムは何から成るか?

受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムです(JIS A 4201:2003 1.2.6)。

Q.

受雷部システムの構成要素を3つ挙げると?

突針、水平導体、メッシュ導体です(同 2.1.1)。

配置の方法は保護角法・回転球体法・メッシュ法で、こちらは2.1.2に分かれています。

Q.

アークホーンが答えになるのはなぜか?

規格が建築物等を対象としており、建築物等の外部に設ける送電・配電及び発電システムを適用範囲から除いているためです(同 1.1.1)。アークホーンは架空送電線路のがいしに使う部材です。

Q.

等電位ボンディングはどちらのシステムに含まれるか?

内部雷保護システムです。雷電流によって離れた導電性部分間に発生する電位差を低減させるため、直接導体又はサージ保護装置によって行う接続です(同 1.2.7・1.2.8)。

まとめ

  • 雷保護システムは外部雷保護システムと内部雷保護システムの両方を含む(JIS A 4201:2003 1.2.5)。
  • 外部雷保護システムは受雷部システム・引下げ導線システム・接地システムから成る。
  • 規格は建築物等の外部に設ける送電、配電及び発電システムを適用範囲から除く(1.1.1)。
  • 8年度の答えは開閉サージ3回・アークホーン2回・アーマロッド・架空地線・放電クランプ各1回。すべて送電か配電の語。
  • 受雷部の構成要素は突針・水平導体・メッシュ導体、配置の方法は保護角法・回転球体法・メッシュ法。
  • 保護レベル・水平導体・回転球体法・等電位ボンディングは一度も答えになっていない。

参考資料

  • 日本産業規格 JIS A 4201:2003「建築物等の雷保護」1.1.1 適用範囲、1.2 定義(1.2.5から1.2.29)、2.1.1 受雷部システムの一般事項、2.1.2 配置
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成28年度(後期)・平成30年度(後期)・令和元年度(前期)・令和2年度(後期)・令和3年度(前期)・令和4年度(後期)・令和6年度(前期)・令和7年度(後期)
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>