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塩害対策とは?がいしの種類・塗布・洗浄の使い分けを整理

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がいしの名前が5つも6つも並んで、どれが塩害用なの?

アークホーンもがいしに付けるものだし、塩害に効きそうじゃない?

この記事の要点

塩害対策とは、がいしに付着した塩分による絶縁低下を防ぐための措置のことです。

出題は7年度あります。

アークホーンを取り付けるという肢が、4年度とも答えになりました。

塩害対策は、1級に3年度・2級に4年度出ています。

並ぶ対策はほぼ固定なので、混ざり込んだ別分野の機材を見つければ決まります。

塩分が付くと、フラッシオーバ電圧が下がる

がいしは送電線の機材の1つで、電線を鉄塔から絶縁して支えます。表面に塩分が付いて湿ると漏れ電流が流れ、やがて全長にわたって放電します。

がいしは、電線と鉄塔の間を絶縁するために付いています。その表面に塩分が付着すると、絶縁の力が落ちます。どのくらい落ちるかは、出題が言葉にしています。

同じがいしでも、汚れると耐えられなくなる きれいながいし 高い電圧まで耐える 塩分が付いたがいし 低い電圧で放電してしまう
塩害の起こり方をイメージでつかむための模式図です。がいしの形や塩分の付き方は実物どおりではありません。正しいのは、表面が汚損されるとフラッシオーバ電圧が低下するという関係だけです。

平成30年度1級No.22の選択肢2が「がいし表面が塩分などで汚損されると、交流に対するフラッシオーバ電圧が低下する」を正しい側に置いています。平成27年度1級No.22では、同じ文の「低下」を「上昇」に変えた肢が答えでした。向きは低下です。

フラッシオーバそのものはフラッシオーバで扱っています。塩害対策とは、この低下を食い止めるための手当てのことです。

対策は4つの向きに分かれる

塩害対策は、次の4つの向きに分かれます。

  • 絶縁の余裕を増やす:がいしの連結個数を増やす、耐塩用のがいしを使う
  • 塩分を落とす:活線洗浄、停電洗浄
  • 塩分を付きにくくする:シリコーンコンパウンドを塗布する
  • 置き場所を変える:海岸から離す、屋内式やガス絶縁の設備にする

対策を、何をしているかで分けます。

向き 正しい肢として出た対策
絶縁の余裕を増やす がいしの連結個数を増加する(過絶縁とする/対地間絶縁強度を上げる)……5年度
表面の距離を稼ぐ 深溝がいし(沿面距離を長くとり耐電圧性能を向上させたもの)……3年度/長幹がいし・スモッグがいし(耐霧がいし)……3年度
塩分をはじく シリコンコンパウンドを塗布する……3年度/ポリマがいし(耐トラッキング性能の高い材料・外被にシリコーンゴム)……3年度
塩分を落とす がいしを洗浄する……1年度

4つの向きは、どれも沿面距離を長くするか、塩分を寄せつけないかのどちらかです。連結個数を増やすのも、深溝にするのも、結局は電気が表面を伝う道のりを長くしています。

この4つに入る対策は、出題で正しい側に置かれ続けます。連結個数を増やす肢は5年度とも正しい側で、一度も答えになっていません。並ぶ顔ぶれは年度をまたいでほぼ同じです。

だから、正しい側を全部覚えるより、この4つの向きに入らないものを1つ見つけるほうが早くなります。

例えば、肢に「アークホーンを取り付ける」とあれば、そこで切れます。アークホーンはがいし連をから守る金具で、塩分が付くことへの手当てではありません。

言い換えると、「塩分そのものを減らすか、付いても放電しにくくするかの2方向」ということです。どちらでもない機材が出てきたら、それが答えです。

誤りは別分野の機材を1つ混ぜて作られる

並ぶ対策はほぼ固定されています。だから誤りは、塩害と関係のない機材を1つだけ紛れ込ませる形で作られます。

誤りの作り方は3つに整理できます。

  • ①別分野の機材を混ぜる:アークホーンが4年度、アーマロッドが1年度。どちらもがいしや電線に付けるものなので、それらしく見えます。アークホーンはがいし連の破損を雷から守るもの、アーマロッドは架空送電線路の機材は電線の素線切れを防ぐものです。
  • ②性質を逆に書く:長幹がいしを「塩害に弱い」とします。実際は塩害対策として採用する側で、平成27年度2級と令和3年度2級では「長幹がいしやスモッグがいしを採用する」が正しい肢でした。
  • ③目的を変える:長幹がいしを「電線相互の間隔を保つため」に使うと書きます。がいしの名前だけで判断せず、何のために使うと書いてあるかを読みます。

雷害対策そのものは架空地線の側で扱っています。がいしの汚れを点検で見つける話は屋外変電所の施工にもあり、手ふき清掃とメガテストで破損の有無を確認する肢が正しい側に置かれました。

混ぜられる機材は、どれも同じ架空送電線に付くものです。アークホーンは雷(雷害対策架空地線と同じ系統)、アーマロッドは電線の振動による素線切れを防ぐものです。付く場所が近いだけで、受け持つ現象が違います。

過去問でどう問われたか

塩害対策は7年度分です。

年度・級・問 答えになった肢 本来の用途 位置
平成25年度 1級 No.27 アークホーンを取り付けた懸垂がいしを用いる 雷害対策 選択肢4
平成27年度 2級 No.20 がいしにアークホーンを取り付ける 雷害対策 選択肢2
令和元年度 1級 No.27 電線相互の間隔を保つため、長幹がいしをV吊りとして用いる 目的を変えた 選択肢3
令和3年度 2級 No.19 がいし連にアークホーンを取り付ける 雷害対策 選択肢1
令和5年度 2級後期 No.17 長幹がいしは、塩害に弱い 性質を逆に書いた 選択肢2
令和7年度 1級 No.22 アークホーンを取り付けた磁器製がいしを用いる 雷害対策 選択肢1
令和7年度 2級前期 No.17 がいしにアーマロッドを取り付ける 電線の素線切れ防止 選択肢3

7年度のうち4年度がアークホーンです。残る3年度も、機材を入れ替えるか目的を書き換えるかで作られています。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • アークホーンを探す:4年度ともここが答えでした。
  • 無ければ別分野の機材を探す:アーマロッドが入っていた年度もあります。
  • がいしの名前は目的とセットで読む:長幹がいしは塩害なら正しい側、間隔保持なら答えです。
  • 連結個数の肢は飛ばす:5年度とも正しい側です。
  • 塗布と表面処理も飛ばす:シリコンコンパウンド・深溝・ポリマ・スモッグはいずれも正しい側です。

まちがえやすいポイント

別分野の機材が混ざります。

アークホーンは、アーマロッドは電線の振動の機材です。塩害対策の問題に出てきたら答えの側だと考えます。

見分け方は「がいしの表面で起きることか」の1問です。塩分は表面に付き、表面を伝って放電します。だから対策も表面の話に限られます。

アークホーンは放電をわざと起こさせて、がいし本体を守るものです。表面をきれいにする話でも、距離を稼ぐ話でもありません。アーマロッドにいたっては、付ける先が電線です。

混同しやすい語

アークホーンとアーマロッド:どちらも塩害対策ではありません。前者はがいし連を雷から守り、後者は電線に巻いて素線切れを防ぎます。

長幹がいしとスモッグがいし:どちらも塩害対策として採用する側で、並べて書かれます。

深溝がいしとポリマがいし:前者は沿面距離、後者は耐トラッキング性能が理由として書かれます。

耐霧がいし:令和7年度2級前期ではスモッグがいしと同じものとして括弧書きされています。

理解度チェック

Q.

塩害対策の問題で4年度とも答えになったのは何か?

アークホーンを取り付けるという肢です。言い方は年度で変わります。

Q.

長幹がいしは塩害に強いか弱いか?

強い側です。塩害対策として採用すると書いた肢が別の年度に正しい側で出ています。

Q.

がいしの連結個数はどう扱われたか?

増加させる対策として5年度とも正しい側に置かれました。

Q.

深溝がいしはなぜ塩害に使うと書かれたか?

沿面距離を長くとり、耐電圧性能を向上させたものだからです。

まとめ

  • 7年度のうち4年度でアークホーンの肢が答え。位置は選択肢1から選択肢4まで動く。
  • 令和7年度2級前期はアーマロッドに差し替わってそこが答え。どちらも別分野の機材。
  • 長幹がいしは塩害に強い側。ただし間隔保持の目的で書かれた年度は答えになる。
  • がいしの連結個数を増やす対策は5年度とも正しい側。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成25年度1級・平成27年度1級・平成27年度2級・平成30年度1級・令和元年度1級・令和3年度2級後期・令和5年度2級後期・令和7年度1級・令和7年度2級前期
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