令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.17は、架空送電線路のねん架の目的として、適当なものを選ぶ問題です。この年度は「適当なもの」を選ぶ形になっています。
この問題は、ねん架が3本の電線の位置を入れ替える工事だと分かっているかを問うものです。引っかけの核心は、電線に関する他の対策(着雪・風圧)を並べて、位置の入れ替えという中身から目をそらさせる点にあります。
位置を入れ替えるのは、3本の条件をそろえるためです。
正解:選択肢4
> この論点をやさしく解説:線路定数とは?4つの定数の意味とねん架の役割を整理
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 不適当 | 着雪の防止は難着雪リングなどの役目。ねん架は関係しない |
| 2 | 不適当 | 風圧荷重は電線の太さで決まる。位置を入れ替えても変わらない |
| 3 | 不適当 | 値そのものを増減させる工事ではない。3相をそろえるのが目的 |
| 4 | 適当 | 各相の作用インダクタンス・作用静電容量を平衡させる |
適当なのは選択肢4です。
3本の電線は鉄塔に上・中・下、または三角形に並んでいます。並び方が違えば、線どうしの距離も大地からの高さも違います。
ねん架をしないと何が起こるか
3本の電線の位置がそれぞれ違う
↓
線間距離・対地高さが相ごとに違う
↓
作用インダクタンスと作用静電容量が相ごとに違う
↓
電圧が3相で不平衡になる/中性点に残留電圧が出る
↓
通信線への誘導障害が大きくなる
ねん架は、この不平衡を工事のしかたで打ち消す方法です。
ねん架のやり方
送電線をいくつかの区間に分ける
↓
区間ごとに、3本の電線の上・中・下の位置を順に入れ替える
↓
1周すると、どの相も上・中・下を1回ずつ通る
↓
線路全体でならすと3相の条件が同じになる
1本の電線から見れば、途中で上に行ったり下に行ったりします。全区間の平均でそろえるのがねん架の考え方です。
| ねん架で防げるもの | 中身 |
|---|---|
| 電圧の不平衡 | 相ごとに電圧降下が違ってしまうのを防ぐ |
| 中性点の残留電圧 | 静電容量が相ごとに違うと、平常時でも中性点に電圧が出る |
| 通信線への誘導障害 | 残留電圧が減れば、近くの通信線への誘導も減る |
選択肢1・2は電線そのものにかかる自然の力の話で、電気的な平衡とは別です。着雪には難着雪リングやヒータ、風圧には電線の選定や鉄塔の強度で対応します。
ねん架をしないと中性点に残留電圧が出るのはなぜか。
3本の電線の位置が違うと相ごとの作用静電容量が違い、3相分が打ち消し合わずに中性点へ電圧が残るためです。
ねん架は具体的にどう施工するか。
線路を区間に分け、区間ごとに3本の電線の上・中・下の位置を順に入れ替えます。1周でどの相も各位置を1回ずつ通ります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月