T
架空地線の問題って、毎回同じ4つの効果が並ぶよね。
どれも正しく見えるんだけど、どこで切るの?
この記事の要点
架空地線とは、電線への直撃雷を防ぐため送電線の上部に設ける電線のことです。
遮へい角は、架空地線から真下へ下ろした線と、電線へ引いた線がつくる角です。
角が小さいほど電線は真下に入るので、小さいほど遮へい効果が高くなります。この向きを逆にした肢が繰り返し出ます。
架空地線そのものを主題にした問題は、1級と2級を合わせて5年度分あります。並ぶ効果はほぼ固定で、誤りにされる文は2つしかありません。
まず、遮へい角が何を表しているかを押さえます。
直撃雷から守る考え方は、建物側の雷保護システムと同じです。保護される範囲を角度や回転球体で決めます。
架空地線は、送電線のいちばん上に張る電線です。上から落ちてくる雷を先に受け止め、電線に当たらないようにします。言ってみれば傘です。
傘がどれだけ電線を覆えているかを表すのが遮へい角です。架空地線から真下へ下ろした線と、架空地線から電線へ引いた線がつくる角をいいます。
角が小さいほど、電線は架空地線の真下に近づきます。真下に入るほど、上から来る雷にさらされにくくなります。だから遮へい角は小さいほど遮へい効果が高いのであって、その逆ではありません。
出題は、この向きを逆にした一文を繰り返し使っています。
平成25年度1級No.22 選択肢1/平成28年度1級No.22 選択肢1/令和元年度1級No.21 選択肢2/令和3年度1級No.22 選択肢2(4年度とも誤りの側)
直撃雷に対しては、遮へい角が大きいほど遮へい効果が高い。
4年度とも一字一句同じ書き方です。位置だけが選択肢1と選択肢2で入れ替わりました。この一文を覚えておけば、1級のこの系統は読まずに決まります。
公表された正答肢は、平成25年度と平成28年度が選択肢1、令和3年度が選択肢2です。令和元年度も同じ一文が選択肢2に置かれています。
架空地線は送電線の機材の1つで、電線の上に張ります。守る相手が3つあり、直撃雷・誘導雷・電磁誘導障害で効き方が変わります。
架空地線には、雷のほかにも受け持ちがあります。並ぶ肢はほぼ固定です。
| 効果 | 相手と中身 | 扱い |
|---|---|---|
| 直撃雷の防止 | 電力線への直撃雷を防止する。遮へい角が小さいほど、また条数を増やすほど効果が高い | 正しい |
| 誘導雷の低減 | 誘導雷により電力線に発生した雷電圧(異常電圧)を低減する | 5年度とも正しい |
| 電磁誘導障害の軽減 | 送電線の地絡故障による通信線への電磁誘導障害を軽減する | 4年度とも正しい |
| (電線の材料) | アルミ覆鋼より線や亜鉛めっき鋼より線が一般的に用いられる | 正しい |
| 塔脚接地抵抗の低減 | 鉄塔の塔脚接地抵抗を小さくする。これは埋設地線の受け持ち | 2年度とも答え |
3つは、どこから来るものを相手にしているかが違います。
3つめだけは相手が通信線で、原因も雷ではありません。それでも架空地線の効果として、4年度とも正しい側に並びました。架空地線に使う電線や金具は架空送電線路の機材、雷から設備を守る仕組み全体は雷保護システムで扱っています。
例えば、肢に「遮へい角は大きいほど遮へい効果が高い」とあれば、そこで切れます。遮へい角は架空地線から広がる傘の角度で、狭いほど電線が傘の内側に入ります。
言い換えると、「角が小さいほど守られる」ということです。大小の向きが逆に書かれていれば、そこが答えになります。
塔脚接地抵抗を下げるのは埋設地線の役割です。接地抵抗値そのものは種別ごとに上限が決まっており、雷対策とは別の話になります。鉄塔まわりの手当ては屋外変電所の雷害対策と共通です。
もう1つの型は、足元の話を架空地線に付けるものです。2年度で答えになっています。
令和5年度 2級 第一次(後期)No.16 選択肢2(公表正答は選択肢2)/令和8年度 1級 第一次 No.19 選択肢4(公表正答は選択肢4)
鉄塔の塔脚接地抵抗を小さくする効果がある。
鉄塔逆フラッシオーバを防止するため、架空地線の敷設により塔脚接地抵抗値を小さくする。
塔脚接地抵抗を下げるのは埋設地線の役目です。鉄塔の足元から地中へ埋める線で、鉄塔に落ちた雷を地面へ流しやすくします。架空地線は鉄塔の上に張る線なので、足元の抵抗には関われません。
正しい持ち主は、同じ試験の別の年度に書いてあります。令和4年度1級No.22の選択肢3は「鉄塔逆フラッシオーバを防止するため、埋設地線を施設して塔脚接地抵抗を小さくする」を正しい側に置きました。令和2年度1級No.22の選択肢1も同じ趣旨です。
上に張る線と、地中に埋める線。置く場所が違えば受け持ちも違います。この現象と埋設地線の関係はフラッシオーバと埋設地線で扱っています。
架空送電線には、雷のほかにも気象による現象があります。
架空地線が受け持つのは雷のほうで、これらとは別の手当てになります。
架空地線を主題にした出題は5年度分です。これに、フラッシオーバを主題にした令和8年度1級No.19で架空地線の肢が答えになった年度が加わります。誤りにされたのは、遮へい角と塔脚接地抵抗のどちらかです。
| 年度・級・問 | 答えになった肢 |
|---|---|
| 平成25年度 1級 学科 No.22 | 直撃雷に対しては、遮へい角が大きいほど遮へい効果が高い |
| 平成28年度 1級 学科 No.22 | (一字一句同じ文) |
| 令和元年度 1級 学科 No.21 | (一字一句同じ文) |
| 令和3年度 1級 第一次 No.22 | (一字一句同じ文) |
| 令和5年度 2級 第一次(後期)No.16 | 鉄塔の塔脚接地抵抗を小さくする効果がある |
| 令和8年度 1級 第一次 No.19 (フラッシオーバの設問) |
鉄塔逆フラッシオーバを防止するため、架空地線の敷設により塔脚接地抵抗値を小さくする |
遮へい角の肢は4年度とも同じ文で、位置だけが選択肢1と選択肢2で入れ替わりました。塔脚接地抵抗の肢は級をまたいで2年度に出ています。覚える文は2つで足ります。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
架空地線と埋設地線:架空地線は鉄塔の上、埋設地線は鉄塔の足元の地中です。塔脚接地抵抗を下げるのは埋設地線です。
直撃雷と誘導雷:直撃雷は電線そのものに落ちる雷、誘導雷は近くに落ちた雷で電線に電圧が生じるものです。架空地線はどちらにも効きます。
電磁誘導障害:雷ではなく、送電線の地絡故障によって通信線に生じる障害です。相手が通信線である点で他の効果と違います。
遮へい角:架空地線から真下へ下ろした線と、電線へ引いた線がつくる角です。小さいほど電線が真下に入ります。
遮へい角とは何か。大きいほうがよいのか小さいほうがよいのか?
架空地線から真下へ下ろした線と、電線へ引いた線がつくる角です。小さいほど電線が真下に入るので、小さいほうが効きます。「大きいほど遮へい効果が高い」と書いた肢は4年度とも答えでした。
塔脚接地抵抗を小さくするのはどちらか?
埋設地線です。鉄塔の足元から地中へ埋める線で、令和4年度1級No.22の選択肢3が正しい側に置いています。架空地線の効果として書いた肢は、令和5年度2級(後期)No.16と令和8年度1級No.19の2年度とも答えになりました。
誘導雷に対する架空地線の効果は何か?
電力線に発生した雷電圧を低減する効果です。5年度とも正しい側に置かれました。
通信線に対してはどんな効果があるか?
送電線の地絡故障による電磁誘導障害を軽減する効果です。4年度で正しい側でした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
「大きいほど」を探します。
1級では4年度とも、遮へい角に「大きいほど」を付けた肢が答えでした。角は小さいほうが効きます。遮へい角の肢が並んでいなければ、次に接地抵抗の肢を探します。それは埋設地線の側です。