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誘導障害の軽減対策って、どれも良さそうに見えるんだけど。
接地抵抗を小さくするのって、たいてい正解じゃないの?
電磁誘導障害は、1級に4年度・2級に3年度出ています。
発生の要因を問う形と、軽減対策を問う形の2種類があります。
受ける側の手当ても要ります。信号線では遮へい体を1箇所で接地し、ツイストペアケーブルで磁界の影響を打ち消します。金属を持たない光ファイバケーブルなら、そもそも誘導を拾いません。
送電線と通信線が長く並んで走ると、送電線を流れる電流がつくる磁界が通信線を貫きます。その磁界が変化すると、通信線に電圧が現れます。これが電磁誘導です。
ふだんは三相の電流が打ち消し合うので、誘導電圧はほとんど出ません。問題になるのは、地絡故障で大きな電流が大地へ流れたときです。このとき三相の釣り合いが崩れ、その不平衡分が通信線に効きます。
だから対策は2つの向きしかありません。流れる電流そのものを小さくするか、通信線への伝わり方を弱めるかです。
軽減対策は、どこに手を入れるかで3つに分かれます。
ここが引っかけの本体です。接地抵抗を小さくすることは、多くの場面で正しい対策です。機器の外箱を確実に接地する、避雷器の接地を下げる。どれも安全側の手当てです。
ところが誘導障害では逆になります。中性点接地方式で見たとおり、中性点を大地へ直接つなぐほど、地絡が起きたときに流れる電流は大きくなります。電流が大きくなれば、通信線に誘導される電圧も大きくなります。
正しい向きは平成27年度1級No.11の選択肢4が示しています。「中性点接地方式に高インピーダンス接地方式を採用する」が、軽減対策として正しい側でした。抵抗を高くして電流を絞る、という向きです。
| 対策の向き | 肢の書かれ方 | 扱い |
|---|---|---|
| 電流を絞る | 中性点接地方式に高インピーダンス接地方式を採用する | 正しい |
| 電流を絞る | 故障箇所を高速度で遮断する | 正しい |
| 伝わり方を弱める | 通信線に遮へい層付ケーブルを使用する/送電線との間に遮へい線を設ける(4年度) | 正しい |
| 伝わり方を弱める | 架空地線に導電率のよい材料を使用する(3年度。うち1年度はアルミ覆鋼より線と具体名で書かれた) | 正しい |
| 伝わり方を弱める | 送電線をねん架する(3年度) | 正しい |
| 伝わり方を弱める | 通信線路と送電線路の間隔を大きくする(2年度) | 正しい |
| 逆向き | 中性点の接地抵抗を小さく(低く)する/直接接地方式を採用する | 4年度とも答え |
答えになるのは最後の1行だけです。平成29年度2級No.18・令和元年度1級No.24・令和3年度2級(後期)No.18・令和6年度2級(後期)No.16の4年度で、言い方を変えながら同じ向きが出ています。「直接接地方式を採用する」も、接地抵抗を最小にすることなので同じ肢です。
ねん架そのものの目的は線路定数の側でも扱っています。架空地線の働きは架空地線にまとめました。
例えば、肢に「電磁誘導電圧は、送電線と通信線の平行長に反比例する」とあれば、そこで切れます。並んで走る距離が長いほど、通信線が受ける誘導は大きくなります。
言い換えると、「距離が近いほど、平行して走る区間が長いほど、誘導は大きくなる」ということです。反比例と書かれていれば、そこが答えです。
発生の理由そのものを問う形も3年度あります。こちらは対策ではなく、向きの書き方で答えが決まります。
平行長は、長いほど誘導電圧が大きくなります。反比例と書けば答え、令和5年度の選択肢3のように「平行長が長いほど大きくなる」と書けば正しい側です。平行長の型は平成27年度と令和7年度の2年度で、どちらも選択肢1の位置でした。
令和5年度は、この向きを裏返して答えにしました。
令和5年度 1級 第一次 No.11 選択肢4(誤りの側。公表正答は選択肢4)
導電率の高い架空地線を設置すると大きくなる。
令和7年度 1級 第一次 No.9 選択肢2(正しい側。公表正答は選択肢1)
導電率の高い架空地線を設置すると小さくなる。
同じ一文が、令和5年度では「大きくなる」で答えに、令和7年度では「小さくなる」で正しい側に置かれました。架空地線を張ると誘導電圧は小さくなる側です。架空地線そのものを主題にした設問でも、「送電線の地絡故障による通信線への電磁誘導障害を軽減する効果がある」が4年度とも正しい側に置かれています。
なお「各相と通信線との間の相互インダクタンスの不平衡により常時発生する」(令和5年度1級No.11の選択肢2)は正しい側です。令和7年度1級No.9の選択肢4は同じ内容から常時を外した形で、こちらも正しい側でした。常時が付いても付かなくても、この肢では答えが決まりません。
「故障電流や各相の負荷電流の不平衡により発生する」も3年度とも正しい側です(令和7年度だけ「地絡故障」と書きます)。
電磁誘導障害は7年度分です。
| 年度・級・問 | 問われた形 | 答えの論点 |
|---|---|---|
| 平成27年度 1級 学科 No.11 | 誘導電圧の記述 | 平行長(選択肢1) |
| 平成29年度 2級 学科 No.18 | 軽減対策 | 接地抵抗(選択肢4) |
| 令和元年度 1級 学科 No.24 | 軽減対策 | 接地抵抗(選択肢2) |
| 令和3年度 2級 第一次(後期)No.18 | 軽減対策 | 直接接地方式(選択肢4) |
| 令和5年度 1級 第一次 No.11 | 誘導電圧の記述 | 架空地線(選択肢4) |
| 令和6年度 2級 第一次(後期)No.16 | 軽減対策 | 接地抵抗(選択肢4) |
| 令和7年度 1級 第一次 No.9 | 誘導電圧の記述 | 平行長(選択肢1) |
軽減対策を問う4年度は、すべて接地抵抗の肢が答えです。誘導電圧の記述を問う3年度は、平行長か架空地線の向きが論点になります。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
接地抵抗を小さくすると大きくする:誘導障害では小さくする側が答えです。正しい向きは高インピーダンス接地方式でした。
反比例と比例:平行長については反比例と書けば答えです。
常時:相互インダクタンスの肢に付いても付かなくても、どちらの年度でも正しい側でした。ここでは答えが決まりません。
遮へい線と架空地線:前者は通信線と送電線の間、後者は送電線の上部に設けます。架空地線そのものの効果は別の記事にまとめました。
軽減対策を問う4年度で答えになったのは何か?
中性点の接地抵抗を小さくするという肢です。直接接地方式と書いた年度も同じ扱いでした。
正しい向きとして書かれた接地方式は何か?
高インピーダンス接地方式です。平成27年度1級No.11の選択肢4で正しい側に置かれました。
平行長との関係はどう書けば答えになるか?
反比例すると書けば答えです。長いほど大きくなると書いた肢は正しい側でした。
令和5年度1級No.11で答えになった肢は何か?
「導電率の高い架空地線を設置すると大きくなる」という選択肢4です。架空地線を張れば誘導電圧は小さくなるので、向きが逆でした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
接地抵抗の向きが他の分野と逆になります。
接地抵抗を小さくするのは多くの場面で正しい対策ですが、誘導障害では地絡電流が大きくなるため答えの側です。正しい向きとして書かれたのは高インピーダンス接地方式でした。
もう1つ、架空地線の向きが年度で裏返ります。令和5年度1級No.11の選択肢4は「導電率の高い架空地線を設置すると大きくなる」で、これが答えでした。令和7年度1級No.9の選択肢2は「小さくなる」で、こちらは正しい側です。
架空地線を張れば誘導電圧は小さくなります。「大きくなる」と書いてあれば、そこが答えです。