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90mと100mが両方出てくるけど、どっちが正しいの?
曲げ半径も4倍と10倍が出てくるし…。
この記事の要点
固定水平ケーブルとは、フロア配線盤から通信アウトレットまでを結ぶ、動かさずに敷設したままにするケーブルのことです。
この長さは90m以下です。100mはチャネル全体の値で、フロア配線盤から通信アウトレットまでに当てはめると誤りになります。
試験は、この100mを配線長の肢に置いて出してきます。
UTPケーブルの施工は、長さの規定と、扱い方の作法に分かれます。
UTPは、より対にした銅線を4対まとめたケーブルです。ルータやスイッチングハブといったLANの機器の間を、これで結びます。長い距離や電気的な干渉が問題になる場所では光ファイバに替えますが、フロアの中はUTPが基本です。
長さのほうは規格に数値があるので、そこから押さえます。施工が終わったあとに何を測るかは配線の測定で扱っています。
2つの数字は、どちらもJISに書かれています。掛かる対象が違います。
JIS X 5150:2016「構内情報配線システム」(一般制限事項)
次の一般制限事項を適用する。
− チャネルの物理長は,100 mを超えてはならない。
− 固定水平ケーブルの物理長は,90 mを超えてはならない。パッチコード,機器コード及びワークエリアコードの合計長が10 mを超える場合,表33に従って固定水平ケーブルの許容物理長を減らさなければならない。
− CPは,フロア配線盤から少なくとも15 m以上離れた位置に置かなければならない。
− 複数利用者TOが使用される場合には,ワークエリアコードの長さは,20 mを超えないのがよい。
− パッチコード/ジャンパの長さは,5 mを超えないのがよい。
言い換えると、「100mという数字は実在するが、それは端から端までの合計の話」ということです。
この規格には、ほかにも長さの数値が並んでいます。出題は、この一覧のどれかを別の対象に貼り替えて作られます。
| 何を測った長さか | 規格の値 |
|---|---|
| チャネルの物理長 | 100mを超えてはならない |
| 固定水平ケーブルの物理長 | 90mを超えてはならない |
| パッチコード・機器コード・ワークエリアコードの合計 | 10mを超えると、固定水平ケーブルの許容長を減らす |
| パッチコード/ジャンパ | 5mを超えないのがよい |
| CPからフロア配線盤まで | 15m以上離す |
| ワークエリアコード(複数利用者TOの場合) | 20mを超えないのがよい |
| 最小曲げ半径(施工後) | 直径6mm以下の4対ケーブルは25mm/6mmを超えるものは50mm(表37) |
令和8年度1級No.71の選択肢4「パッチコードは3mとし、パッチコード、機器コード及びワークエリアコードの長さの合計を9mとした」が正しい側なのは、9mが10mを超えていないからです。超えていれば、固定水平ケーブルのほうを短くしなければなりません。パッチコード単体の3mも、5mを超えないという行に収まっています。
例えば、フロア配線盤から通信アウトレットまでを100mとした肢は誤りです。同じ100mでも、パッチコードや機器コードまで含めたチャネル全体なら、規格どおりの値になります。
1級で3年度に出ており、肢は毎回4つ。合わせて12の肢が、6つの論点に分かれます。
| 論点 | 平成25年度 No.62 | 令和2年度 No.63 | 令和8年度 No.71 |
|---|---|---|---|
| 配線長 | 100m=誤り | 100m(パーマネントリンク)=誤り | 90m=正しい |
| 曲げ半径 | 4対を4倍=正しい | 24対を10倍=正しい | 4対を4倍=正しい |
| 支持間隔(垂直) | 1.5m=正しい | ー | 2m=誤り |
| より戻し長 | 6mm=正しい | 6mm=正しい | ー |
| 結束 | ー | 強く締付けない=正しい | ー |
| コードの合計長 | ー | ー | 3m・合計9m=正しい |
誤りにされたのは、配線長を100mとした2年度と、支持間隔を2mとした1年度だけです。残る9肢はすべて正しい側でした。
曲げ半径は、4倍も10倍もどちらも正しい肢です。対の数が違えば、外径に対する倍数も変わります。4対ケーブルなら4倍、24対ケーブルなら10倍で出ています。
規格の側は、倍数ではなく実寸で書いています。
JIS X 5150:2016 表37(平衡ケーブルの機械的特性)
最小曲げ半径(施工後) 直径6 mm以下の4対ケーブルは25 mm/直径6 mmを超える4対ケーブルは50 mm
注d) 最小曲げ半径に関して,施工中の必要要件は,製造業者の推奨事項を参照する。
規格が実寸、出題が倍数。同じことを別の書き方で扱っているので、数字をそのまま突き合わせても合いません。倍数の値は、公表された正答肢のほうで確かめます。
より戻し長についても、規格は方向だけを示しています。
JIS X 5150:2016 10.2.6(施工)
接続器具は,ケーブルを接続器具に終端することによって生じるより戻し長ができるだけ短くなるように設計されていることが望ましい。
終端位置からケーブルシースの端までの対の露出した部分の長さは,最小にすることが望ましい。
「できるだけ短く」までが規格、6mmという値は出題の側です。支持間隔の1.5mも同じで、規格ではなく正答肢から確かめる値です。
なお、どのケーブルをどの設備に使うかは別の論点で、こちらは情報通信設備の屋内配線にまとめました。光ファイバ側の施工は光ファイバの接続で扱っています。
1級の第一次で、平成25年度No.62・令和2年度No.63・令和8年度No.71の3年度に出ています。誤りの作り方は2つです。
①は数字そのものは規格に実在するのが厄介なところです。100mを見て「規格に無い数字だ」とは言えません。見るのは数字ではなく、その数字が何を測った値かです。
令和2年度は「パーマネントリンクの長さ」という補足まで付けたうえで100mを置いています。パーマネントリンクはコード類を含まない側の呼び方なので、この補足に引きずられると外します。
②のほうは数字を覚えているかどうかだけです。垂直のケーブルラックなら1.5mが正しい側、2mが誤りです。
令和8年度は配線長の肢を90mにしてきました。長さで切れると思って読むと、支持間隔の2mを見落とします。
水平は90m、チャネルは100m、支持間隔は1.5m。この3つの数字で3年度すべてが切れます。
UTPケーブルの施工の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
チャネルと固定水平ケーブル:チャネルはコードを含めた端から端まで(100m以下)、固定水平ケーブルはフロア配線盤から通信アウトレットまで(90m以下)です。
4倍と10倍:曲げ半径の倍数は対数で変わります。4対ケーブルは4倍、24対ケーブルは10倍が、いずれも正しい肢として出ています。
1.5mと2m:垂直のケーブルラックの支持間隔は、1.5mが正しい肢、2mが誤りとされています。
カテゴリ6とカテゴリ5e:より戻し長6mmの肢はカテゴリー6、強く締め付けないという肢はカテゴリー5eで出ています。どちらも正しい側です。
フロア配線盤から通信アウトレットまでの配線長は何m以下か?
90m以下です。固定水平ケーブルの物理長は90mを超えてはならないとJIS X 5150:2016が規定しています。
100mという数値は、何に掛かるか?
チャネルの物理長です。パッチコードや機器コードまで含めた端から端までの値で、フロア配線盤から通信アウトレットまでの長さではありません。
垂直のケーブルラックの支持間隔は、出題でどちらが正しい肢か?
1.5mです。2mとした肢は誤りとされています。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の規格・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
100mという数字そのものは正しいのです。間違っているのは、それを掛ける先です。
100mはチャネル、つまりパッチコードや機器コードまで含めた端から端までの値です。フロア配線盤から通信アウトレットまでという書き方が出てきたら、それは固定水平ケーブルなので90mです。令和2年度は「パーマネントリンクの長さ」と書き添えて100mを置いており、この補足に引きずられると外します。