令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.11は、架空送電線に近接している通信線への電磁誘導電圧に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、架空地線が誘導電圧をどちらに動かすかを分かっているかを問うものです。架空地線は誘導電圧を小さくします。
導電率が高いほど、その効果が強くなります。
正解:選択肢4(導電率の高い架空地線で大きくなる)
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| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 故障電流や負荷電流の不平衡で発生 | 零相電流が誘導源。適当 |
| 2 | 相互インダクタンスの不平衡で常時発生 | 各相と通信線の距離が違う。適当 |
| 3 | 平行長が長いほど大きい | 誘導電圧は平行長に比例。適当 |
| 4 | 導電率の高い架空地線で大きくなる | 小さくなる。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、選択肢3で「長いほど大きくなる」と正しい増加の話が置かれているので、選択肢4も同じ向きに読めてしまうところです。架空地線だけは減らす側の要素です。
架空地線には、遮蔽効果があります。送電線に零相電流が流れると、架空地線にもそれを打ち消す向きの電流が誘導されて流れます。
| 条件 | 誘導電圧 | 理由 |
|---|---|---|
| 架空地線の導電率が高い | 小さい | 打ち消す電流が流れやすい |
| 平行長が長い | 大きい | 鎖交する範囲が広がる |
| 離隔距離が大きい | 小さい | 相互インダクタンスが下がる |
| 地絡事故 | 大きい | 零相電流が急に増える |
架空地線の電流は、送電線の電流と逆向きの磁束をつくります。通信線から見れば、送電線がつくる磁束の一部が消されることになります。
導電率が高い=抵抗が小さいので、打ち消す電流がよく流れます。だから導電率が高いほど誘導電圧は小さくなります。鋼より導電率の高いアルミ覆鋼より線などが使われるのは、この理由です。
選択肢1と2は、誘導電圧が生まれる仕組みです。3相が完全に平衡していれば、3相の電流の合計は0になり、通信線に鎖交する磁束も0になります。
| 不平衡の種類 | いつ起きるか |
|---|---|
| 電流の不平衡 | 地絡や短絡の故障時、各相の負荷が偏っているとき |
| 相互インダクタンスの不平衡 | 常時。各相と通信線の距離が違うため |
相互インダクタンスの不平衡は、電線の並び方が原因なので常時消えません。これを減らすには、区間ごとに相の位置を入れ替えるねん架を行います。
架空地線の導電率が高いと誘導電圧はどうなるか。
小さくなります。打ち消す向きの電流が流れやすくなり、遮蔽効果が強まるためです。
相互インダクタンスの不平衡による誘導が常時発生するのはなぜか。
各相の電線と通信線との距離が同じにならないためです。ねん架で相の位置を入れ替えると減らせます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月