令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.19は、架空送電線路における電線の微風振動に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、微風振動でどこが切れるかを分かっているかを問うものです。断線するのは懸垂クランプで支えている支持点の付近です。
選択肢2は耐張箇所のほうが切れやすいと書いているので誤りです。
正解:選択肢2(耐張箇所で断線の被害が発生しやすい)
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| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 緩やかで一様な風で上下に振動 | 毎秒数メートルの風。適当 |
| 2 | 耐張箇所で断線しやすい | 逆。懸垂箇所で起きる。不適当 |
| 3 | 径間が長く張力が大きいほど発生しやすい | 振動しやすい条件。適当 |
| 4 | 対策にアーマロッドを取り付ける | 曲げ応力を下げる。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、耐張箇所のほうが電線を強く引いているので、そこに無理がかかると考えてしまうところです。微風振動で効くのは引っ張る力ではなく、同じ場所が何万回も曲げられることです。
電線に毎秒数メートルの穏やかな風が直角に当たると、電線の後ろに渦ができて上下に細かく揺れます。振れ幅は小さいのですが、1秒間に数十回、風が続く限り止まりません。
支持のしかたで、この揺れの伝わり方が変わります。
| 箇所 | 電線の押さえ方 | 微風振動での傷み |
|---|---|---|
| 懸垂箇所 | クランプで挟んで吊る | クランプの出口で曲げが繰り返され、素線が疲労破断する |
| 耐張箇所 | 圧縮スリーブで引き留める | 電線がそこで終わっているので曲げが集中しない |
懸垂クランプは電線を挟んで吊るので、クランプから出たすぐの部分が振動のたびに折り曲げられます。針金を同じ場所で何度も曲げると切れるのと同じことが、内側の素線1本ずつに起きます。
だから対策は、その部分の曲げを弱めることに向きます。選択肢4のアーマロッドは、電線と同じ材質のらせん状の棒を支持点付近に巻き付けるもので、メーカーの製品説明でも「風の振動により電線に加わる曲げ応力を軽減します」と書かれています。巻いた分だけ太くなり曲がりにくくなるので、1箇所に集まっていた曲げが分散します。
もう1つの対策がダンパです。電線に重りを付けて振動のエネルギーを吸収します。アーマロッドは耐える側、ダンパは揺れを止める側の対策です。
選択肢3は起きやすい条件です。径間が長いほど電線が自由に揺れられ、張力が大きいほど張った弦のようによく振動します。この論点は令和2年度 No.24で確認できて、微風振動の防止対策として「電線の張力を大きくする」が誤りとされました(公表正答は4)。張力を大きくするのは対策ではなく、むしろ起きやすくする側です。同じ問題で、アーマロッド・ダンパ・太線化の3つは対策として正しいものとして並んでいます。
微風振動による断線は懸垂箇所と耐張箇所のどちらで起きやすいか。
懸垂箇所です。クランプの出口で曲げが繰り返され、素線が疲労で切れていきます。
電線の張力を大きくすると微風振動はどうなるか。
起きやすくなります。張った弦と同じで振動しやすくなるため、防止対策にはなりません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月