令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.20は、架空送電線路の線路定数に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、架空と地中でインダクタンスがどちらが大きいかを分かっているかを問うものです。導体どうしが離れているほどインダクタンスは大きくなります。
離れているのは架空のほうです。選択肢2は逆に書いています。
正解:選択肢2(地中送電線路より小さくなる)
> この論点をやさしく解説:線路定数とは?4つの定数の意味とねん架の役割を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 交流の抵抗値は直流より大きい | 表皮効果による。適当 |
| 2 | 作用インダクタンスは地中より小さい | 逆。架空のほうが大きい。不適当 |
| 3 | 対地静電容量と線間静電容量がある | 2種類の組合せ。適当 |
| 4 | 漏れコンダクタンスは無視できるほど小さい | 計算では省略される。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、ケーブルのほうが導体が詰まっていて複雑そうなので、数値も大きいだろうと考えてしまうところです。インダクタンスと静電容量は逆の向きに動きます。
| 線路 | 導体どうしの距離 | インダクタンス | 静電容量 |
|---|---|---|---|
| 架空 | 数メートル離れる | 大きい | 小さい |
| 地中(ケーブル) | 数センチ | 小さい | 大きい |
インダクタンスは、電流が作る磁束が通る道の広さで決まります。往きと帰りの導体が離れているほど間に囲む面積が広く、磁束をたくさん抱え込みます。だから架空のほうが大きくなります。
静電容量はその逆で、導体が近く、間に絶縁体が詰まっているケーブルのほうが大きくなります。ケーブルで充電電流が問題になるのはこのためです。
令和8年度 No.20は同じ論点を裏返して出しています。そこでは「作用インダクタンスは、地中送電線路より大きくなる」が正しい選択肢として置かれ、別の選択肢が誤りとされました(公表正答は1)。2年度をあわせると、架空が大きいことが公表正答の側から確定します。
選択肢1は表皮効果です。交流では電流が導体の表面近くに寄って流れるので、中心部が使われず実効的な断面積が減って抵抗が大きく見えます。周波数が高いほど、導体が太いほど強く出ます。
選択肢3の静電容量は2種類あります。
| 種類 | どこの間の容量か |
|---|---|
| 対地静電容量 | 電線と大地の間 |
| 線間静電容量 | 電線どうしの間 |
この2つを1つにまとめたものが作用静電容量です。三相では、電線の配置が三角形などで揃っていないと相ごとに値が違ってしまうので、ねん架をして各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させます。
選択肢4の漏れコンダクタンスは、がいしの表面などをつたって漏れる電流の流れやすさです。絶縁が正常なら極めて小さいので、送電特性の計算では省略されます。線路定数は4つあるが、実際に計算で使うのは抵抗・インダクタンス・静電容量の3つという理解でよいです。
作用インダクタンスは架空と地中のどちらが大きいか。
架空です。導体どうしが離れていて囲む面積が広く、磁束を多く抱えるためです。静電容量は逆に地中が大きくなります。
交流の抵抗値が直流より大きくなるのはなぜか。
表皮効果で電流が導体の表面に寄り、実効的な断面積が減るためです。周波数が高いほど強く出ます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月