令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.18は、架空送電線路に使用されるアルミ電線に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、軽くて太いことが風雪にどう働くかを分かっているかを問うものです。太いほど風や雪を受ける面積が増え、軽いほど動かされやすくなります。
選択肢1は「受けにくくなる」と書いているので誤りです。
正解:選択肢1(風雪の影響を受けにくくなる)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 風雪の影響を受けにくくなる | 太く軽いので受けやすい。不適当 |
| 2 | 太いのでコロナ放電が発生しにくい | 表面電界が下がる。適当 |
| 3 | TACSRはACSRより許容電流が大きい | 耐熱合金で高温まで使える。適当 |
| 4 | ACSR/ACは耐食性が高く海岸地帯向け | 鋼線をアルミで覆う。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、「自重が減り長径間に有利になり」までが正しいので、そのまま最後まで正しく読んでしまうところです。誤りは末尾の「風雪の影響を受けにくくなる」だけです。
アルミは銅より軽く、同じ電流を流すには太くしなければなりません。この2つが風雪には不利に働きます。
| アルミの性質 | 有利な点 | 不利な点 |
|---|---|---|
| 軽い | 長い径間を張れる | 風で動かされやすく、振動しやすい |
| 導体が太くなる | 表面電界が下がりコロナが出にくい | 風圧荷重が増え、着雪も付きやすい |
着雪が非対称に付いたところへ風が当たると、揚力が生まれて電線が大きく上下に踊るギャロッピングが起こります。太くて軽い電線ほど起きやすい現象です。
この選択肢1は令和3年度 No.23にも同じ文で出ていて、そこでも誤りとされました(公表正答は1)。2年度とも同じ文が答えです。
選択肢2のコロナ放電は、電線の表面で空気が絶縁破壊を起こす現象です。表面の電界の強さは同じ電圧なら導体が太いほど弱くなります。だからアルミにして太くなること自体は、コロナ対策としては有利に働きます。超高圧では1相を数本に分ける多導体にして、さらに太い1本のように見せます。
選択肢3と4は電線の種類です。
| 記号 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| ACSR | 鋼心アルミより線 | 中心に鋼より線、周りに硬アルミ線。架空送電の標準 |
| TACSR | 鋼心耐熱アルミ合金より線 | 耐熱合金なので高い温度まで使え、許容電流が大きい |
| ACSR/AC | アルミ覆鋼心アルミより線 | 中心の鋼線をアルミで覆い、さびに強い。海岸地帯向け |
頭のTは耐熱(Thermal-resistant)、ACは中心の鋼線をアルミで覆っていることを表します。Tが付けば電流、ACが付けば耐食と覚えます。
アルミ電線が風雪の影響を受けやすいのはなぜか。
同じ電流を流すのに銅より太くする必要があり受風面積が増えるうえ、軽いので動かされやすいからです。
TACSRがACSRより許容電流が大きいのはなぜか。
耐熱アルミ合金を使っていて、より高い温度まで使えるためです。同じ太さでも多く流せます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月