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高調波とは?発生源・影響と直列リアクトルによる対策を整理

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高調波の対策って、短絡容量は大きくするの?小さくするの?

毎回ここで止まるんだよね…。

この記事の要点

高調波とは、インバータ等の変換装置を用いた機器から発生し、電力用コンデンサや変圧器に障害を与える電流のことです。

対策は短絡容量の大きい系統から受けることです。短絡容量が大きい系統は、インピーダンスが小さい系統でもあります。

インピーダンスが小さければ、同じ電流が流れても電圧はあまり動きません。この向きを逆にした肢が答えになります。

配電系統の高調波は、1級と2級を合わせて5年度・6問あります。4問は対策の側が誤りにされ、残る2問は発生源を選ばせる形です。被害の側は、どの年度も正しい側に置かれます。

まず、短絡容量が何を表しているかを押さえます。

短絡容量とインピーダンスは裏返し

短絡容量は、その地点で短絡が起きたときにどれだけの電力が流れ込めるかを表します。系統のインピーダンスが小さいほど、電流が流れやすいので短絡容量は大きくなります。

この関係は、試験のほうから示されています。

令和8年度 1級 No.17 選択肢1(誤りの側)

系統のインピーダンスが小さくなることにより、短絡容量が減少し遮断器の遮断器容量が低減できる。

インピーダンスが小さくなれば短絡容量は増えるので、この肢は誤りです。短絡容量とインピーダンスは、一方が増えれば他方が減る関係にあります。

同じ電流でも、系統の固さで結果が違う インピーダンスが小さい = 短絡容量が大きい 高調波電流が流れても 電圧の変化が小さい インピーダンスが大きい = 短絡容量が小さい 同じ電流が流れると 電圧の変化が大きい
向きをイメージでつかむための模式図です。実際の数値や波形を表したものではありません。正しいのは、インピーダンスが小さいほど短絡容量が大きく、同じ電流に対する電圧の変化が小さいという点だけです。

電圧の変化は、流れる電流とインピーダンスの積で決まります。インピーダンスが小さければ、同じ高調波電流が流れても電圧はあまり動きません。だから高調波の対策としては、短絡容量の大きい系統から受けるのが正しい向きです。

逆に、短絡容量そのものを減らしたい場面もあります。遮断器の遮断容量を抑えたいときです。その手も出題されていて、どれもインピーダンスを増やすか系統を分ける形になります。

  • 高インピーダンスの変圧器を採用する(平成26年度・令和3年度で正しい側。令和6年度は「低インピーダンス」と書いて答えになりました)
  • 限流リアクトルを設置する(平成26年度・令和3年度・令和6年度で正しい側)
  • 母線を分割する/上位電圧の系統を導入して既設系統を分割する/直流連系で交流系統を分割する

どの手も、電流を流れにくくするか、つながりを断つかです。なお「電力用コンデンサを設置する」を短絡容量の軽減対策とした肢は、平成26年度と令和3年度の1級で誤りにされました。

同じ論点は、2級では向きを入れ替えて出ています。

令和4年度 2級 第一次(前期)No.9 選択肢4(公表正答は選択肢4)

短絡容量の軽減(電力用コンデンサを系統に並列に接続する目的として不適当)

1級は「軽減対策として何が不適当か」と対策の側から並べ、2級は「コンデンサを付ける目的として何が不適当か」と機器の側から並べました。問い方は逆ですが、答えは同じで「電力用コンデンサと短絡容量の軽減は結び付かない」です。1級2年度・2級1年度の3年度とも、この組み合わせが答えになっています。

誤りは、この向きを逆にして作られる

出題は、この一点を2年度で答えにしています。

年度・級・問 答えになった肢
平成26年度 1級 No.27 高調波の低減対策として、系統の短絡容量を減少させることが有効である
平成29年度 1級 No.26 高調波電流の低減対策として、配電系統の短絡容量を小さくする
令和4年度 1級 No.27 高調波障害の対策としては、コンデンサと共振するように直列リアクトルを設置する
令和6年度 2級(後期)No.7 高調波障害対策として、電力用コンデンサに並列にリアクトルを施設する
平成30年度 2級(後期)No.20 (一般に高調波が発生しないもの)電力用コンデンサ
令和4年度 2級(後期)No.20 (同じ設問。肢の並びだけ入れ替え)電力用コンデンサ

令和4年度は短絡容量の肢も並びましたが、そちらは「短絡容量の大きな配電系統から受電する」と正しい向きで書かれ、選択肢4に置かれています。同じ問題の中に、正しい向きと誤りの型が同居しました。

同じ向きは、電圧フリッカの対策でも問われます。平成27年度1級No.27は「変動負荷を短絡容量の小さい電源系統に接続する」を答えにし、平成30年度1級No.27と令和5年度1級No.27は「短絡容量の大きい電源系統から行う」を正しい側に置きました。詳しくは電圧フリッカで扱っています。

例えば、「高インピーダンスの変圧器を採用する」は短絡容量を小さくする手です。短絡容量が小さいほど電圧が動きやすくなるので、高調波の対策としては向きが逆になります。

言い換えると、「短絡容量が大きいほど高調波に強い。小さくする手は、そのまま逆向きの肢になる」ということです。

直列リアクトルは、共振させないために入れる

令和4年度でもう1つ答えになったのが、直列リアクトルの肢です。

直列リアクトルを置くこと自体は対策です。平成27年度1級No.33の選択肢3は「コンデンサに接続する直列リアクトルは、主として高調波障害対策に用いられる」を正しい側に置いています。

誤りにされたのは「共振するように」の部分です。共振すると、その周波数の電流が大きくなります。高調波を抑えるために入れたものを共振させたら、逆のことをしていることになります。直列リアクトルそのものの役割は直列リアクトルにまとめました。

では、共振させないためにどうするのか。その答えは2級のほうに書かれています。

平成28年度 2級 学科 No.7 選択肢4(正しい側。公表正答は選択肢2)

コンデンサ回路に流入する高調波に対して誘導性になるように選定する。

共振は、容量性と誘導性がつり合った点で起きます。だから、リアクトルを含めた回路が高調波に対して誘導性のままになるように容量を選びます。つり合わせない、というのが選び方の中身です。

令和6年度の2級は、つなぎ方そのものを裏返した

同じ「配電系統における高調波」の設問が、2級でも出ています。

令和6年度 2級 第一次(後期)No.7 選択肢3(公表正答は選択肢3)

高調波障害対策として、電力用コンデンサに並列にリアクトルを施設する。

崩されたのはつなぎ方です。リアクトルは電力用コンデンサに直列に入れます。だから名前が直列リアクトルです。「並列に」と書いてあれば、そこが答えです。

1級が「共振するように」と役割の側を崩したのに対して、2級はつなぎ方の側を崩しました。同じ直列リアクトルでも、崩す場所が級で違います。

残る3肢は正しい側です。ここで、この記事の他の年度には出てこない性質が2つ出ています。

  • 高調波成分は、第3・第5・第7などの低次の奇数次が大部分。次数が上がるほど成分は小さくなり、偶数次は主役になりません
  • 流入すると、過熱・振動・異常音・焼損が生じる。1級が「障害を受けやすい」「過熱し焼損に至る事がある」と書いていたものを、2級は症状で並べています
  • 発生源における低減対策として、発生機器に高調波フィルタを設ける。フィルタは受ける側だけでなく、出す側に付ける形でも正しい側に置かれます

発生源と、被害を受ける側

高調波の問題では、機器が2つの立場で出てきます。

立場 機器と、出題での書かれ方
発生源 インバータ等の変換装置を用いた機器/アーク炉/サイクロコンバータ/整流器
被害を受ける側 電力用コンデンサ(障害を受けやすい/過熱し焼損に至る事がある)/変圧器など鉄心を有する機器(鉄損・損失が増大する)/過電流継電器(誤動作することがある)
抑える手 短絡容量の大きな系統から受電する/フィルタを設置する/Δ結線とΔ-Y結線の変圧器を組み合わせる/直列リアクトルを設置する

電力用コンデンサは、発生源ではなく被害を受ける側です。2級は「一般に高調波が発生しないものはどれか」という形で、アーク炉・電力用コンデンサ・サイクロコンバータ・整流器を並べました。平成30年度と令和4年度の2年度とも、答えは電力用コンデンサです。肢の並び順だけが入れ替わりました。

1級でも立場は変わりません。平成26年度の選択肢1は「障害を受けやすい」、平成29年度の選択肢2は「過熱し焼損に至る事がある」。どちらも被害の側です。誤動作する側に回る過電流継電器については配電線路の保護で扱っています。

発生源の側は、別の主題の設問で裏から確かめられます。

令和6年度 2級 第一次(後期)No.20 選択肢4(誤りの側。公表正答は選択肢4)

(かご形誘導電動機にインバータ制御を用いた場合の特徴として)高調波対策が不要である。

インバータ制御の設問ですが、誤りにされたのは「高調波対策が不要」という一点です。インバータは発生源なので、対策は要ります。発生源として並ぶ機器は、別の主題の設問でも発生源のまま扱われます。

どこを確認すれば読み分けられるか

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 短絡容量の向きを先に見る:小さくする・減少させると書いてあれば答えです
  • 大きな系統から受電なら飛ばす:これが正しい向きです
  • 直列リアクトルに「共振するように」が付いていないか:付いていれば答えです
  • リアクトルのつなぎ方を見る:「並列に」と書いてあれば答えです(令和6年度2級後期)
  • 被害の肢は飛ばす:コンデンサの障害、鉄損の増大、継電器の誤動作は正しい側です
  • 発生源を問われたらコンデンサを選ぶ:コンデンサだけが受ける側です

まちがえやすいポイント

短絡容量の向きだけで2年度分が決まります。

小さくすると書いてあれば答え、大きい系統から受電と書いてあれば正しい側です。短絡容量が大きいほど、系統は電圧が動きにくい。この一文で、高調波もフリッカも同じ向きに読めます。

混同しやすい語

短絡容量とインピーダンス:一方が増えれば他方が減ります。短絡容量を減らしたいときは、高インピーダンスの変圧器を採用したり、母線を分割したりします。

発生源と被害を受ける側:インバータやアーク炉が出す側、電力用コンデンサや変圧器が受ける側です。

直列リアクトルと放電コイル:直列リアクトルは高調波障害の対策、放電コイルはコンデンサの残留電荷を放電するものです。

フィルタと変圧器結線:どちらも高調波を抑える手として、それぞれ別の年度で正しい側に置かれました。

理解度チェック

Q.

高調波の対策として短絡容量はどちら向きにするか。なぜそうなるか?

大きい側です。短絡容量が大きい系統はインピーダンスが小さく、同じ電流が流れても電圧があまり動きません。令和4年度の正しい肢に「短絡容量の大きな配電系統から受電する」とあります。

Q.

短絡容量とインピーダンスの関係は?

一方が増えれば他方が減ります。令和8年度1級No.17は「インピーダンスが小さくなることにより短絡容量が減少し」と書いた肢を誤りにしました。

Q.

高調波の発生源として並んだ機器は?

アーク炉、サイクロコンバータ、整流器、インバータ等の変換装置です。

Q.

電力用コンデンサは高調波とどう関わるか?

被害を受ける側です。障害を受けやすく、過熱し焼損に至る事があると書かれました。

Q.

令和4年度で答えになった肢は何が誤りか?

直列リアクトルをコンデンサと共振するように設置するという部分です。

まとめ

  • 短絡容量とインピーダンスは裏返しの関係。インピーダンスが小さいほど短絡容量は大きい。
  • インピーダンスが小さければ、同じ電流が流れても電圧はあまり動かない。だから大きい系統から受けるのが対策。
  • 「短絡容量を小さくする・減少させる」とした肢は2年度とも答え。同じ向きは電圧フリッカでも問われる。
  • 直列リアクトルを置くこと自体は対策。誤りは「共振するように」の側。共振させない選び方は、高調波に対して誘導性になるように選ぶこと。
  • 2級はつなぎ方を崩す。「並列に」と書いてあれば答え。リアクトルは直列に入れる。
  • 電力用コンデンサは被害を受ける側。発生源はインバータ・アーク炉・サイクロコンバータ・整流器。インバータ制御の設問で「高調波対策が不要」と書いた肢も誤りにされた。
  • 高調波成分は第3・第5・第7などの低次の奇数次が大部分を占める。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成26年度No.12・平成26年度No.27・平成27年度No.27・平成27年度No.33・平成29年度No.26・平成30年度No.27・令和3年度No.11・令和4年度No.27・令和5年度No.27・令和6年度No.9・令和8年度No.17/2級 平成28年度No.7・平成30年度(後期)No.20・令和4年度(前期)No.9・令和4年度(後期)No.20・令和6年度(後期)No.7・令和6年度(後期)No.20
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