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高調波の発生で分散型電源を解列するか?条文の3つに入っていない

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高調波もフリッカも系統に悪いことだし、つい選んじゃう。

解列するのって、どれとどれなの?

この記事の要点

解列とは、分散型電源を電力系統から切り離すことです。

高圧で自動的に解列する事象は、第229条第一号の3つだけです。異常又は故障、系統の短絡事故又は地絡事故、単独運転になります。

だから高調波の発生やフリッカ電圧の発生を挙げた肢は、列挙から外れます。

分散型電源の解列は、1級で5年度に出ています。

単独運転を検出するリレーを問う形も2年度あり、どちらも同じ条にたどり着きます。

解列しなければならない事象は3つ

根拠は電気設備の技術基準の解釈 第229条です。

電気設備の技術基準の解釈 第229条【高圧連系時の系統連系用保護装置】(抜粋)

高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次の各号により、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。

一 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。

イ 分散型電源の異常又は故障

ロ 連系している電力系統の短絡事故又は地絡事故

ハ 分散型電源の単独運転

二 一般送配電事業者又は配電事業者が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。

挙がっているのは3つだけです。電力品質に関する事象は入っていません。

出題は、この3つに列挙外のものを1つ混ぜる形で作られています。

  • 平成26年度 1級 No.25(高圧) 連系している電力系統での高調波の発生
  • 平成29年度 1級 No.25(高圧) 連系している電力系統における高調波の発生
  • 令和2年度 1級 No.25(低圧) 連系している電力系統における高調波の発生
  • 令和3年度 1級 No.25(高圧) 連系している電力系統におけるフリッカ電圧の発生

平成26年度と平成29年度は「で」と「における」が違うだけです。令和3年度は高調波をフリッカ電圧に差し替えました。

言い換えると、「系統の電気の品質に関する話が混ざっていたら、そこが列挙外」ということです。

条文が挙げるのは3つだけ 解列する(第229条第一号) イ 分散型電源の異常又は故障 ロ 系統の短絡事故又は地絡事故 ハ 分散型電源の単独運転 低圧は ロに高低圧混触事故、ハに逆充電が加わる 列挙の外 高調波の発生 フリッカ電圧の発生 どちらも系統の 電気の品質に関する話 右の箱から1つ混ぜた肢が、その年度の答え
列挙に入るものと入らないものを分けるための模式図です。解列の手順や装置の構成を表したものではありません。正しいのは、条文が挙げる事由が3つで、電気の品質に関する事象がそこに入っていないという点です。

低圧では2つ増える

低圧の場合は、条文の書き方が少し長くなります。

電気設備の技術基準の解釈 第227条【低圧連系時の系統連系用保護装置】(抜粋)

一 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。

イ 分散型電源の異常又は故障

ロ 連系している電力系統の短絡事故、地絡事故又は高低圧混触事故

ハ 分散型電源の単独運転又は逆充電

低圧(第227条) 高圧(第229条)
異常又は故障 異常又は故障
短絡事故、地絡事故又は高低圧混触事故 短絡事故又は地絡事故
単独運転又は逆充電 単独運転

低圧には高低圧混触事故と逆充電が加わります。令和2年度の肢はこの形をそのまま使っていました。

令和8年度は事象ではなく箇所を問われた

同じ第229条には、どこで解列するかの規定もあります。

令和8年度1級第一次検定No.22は「異常時に分散型電源を自動的に解列する箇所として、定められていないものはどれか」という問いで、公表正答は4の「変圧器保護用遮断器」です。

残る3つ、受電用遮断器・分散型電源の出力端に設置する遮断器・分散型電源の連絡用遮断器は、いずれも正しい側に置かれています。

事象が3つなら箇所も3つで、列挙の外から1つ混ぜる作り方は同じです。問われているのが事象か箇所かを、まず読み分けます。

単独運転を検出するリレーは表の行で決まる

第229条には229-1表があり、検出する異常ごとに保護リレー等が並びます。

229-1表で「単独運転」の行に並ぶもの

  • 周波数上昇リレー
  • 周波数低下リレー
  • 逆電力リレー
  • 転送遮断装置又は単独運転検出装置

過電圧リレーと不足電圧リレーは「発電電圧異常上昇」「発電電圧異常低下」の行、短絡方向リレーは「系統側短絡事故」の行にあります。

出題は、この4つに別の行のリレーを1つ混ぜて作られています。

  • 平成30年度 1級 No.26 過電圧リレー/逆電力リレー/周波数上昇リレー/転送遮断装置 → 過電圧リレーが外れる
  • 令和6年度 1級 No.23 転送遮断装置/逆電力リレー/短絡方向リレー/周波数低下リレー → 短絡方向リレーが外れる

過電圧リレーは発電電圧の異常上昇を見る行、短絡方向リレーは系統側短絡事故を見る行にあります。どちらも単独運転の行には並んでいません

例えば、令和6年度1級No.23では転送遮断装置・逆電力リレー・周波数低下リレーの3つが単独運転の行にあり、短絡方向リレーだけが別の行から来ています。

まちがえやすいポイント

229-1表には省略できる条件が細かく付いています。

周波数上昇リレーは専用線と連系する場合に省略でき、逆電力リレーは構内低圧線に連系して出力が受電電力に比べて極めて小さい場合などに省略できます。

省略できるかどうかと、そのリレーが単独運転の行にあるかどうかは、別の話です。省略の条件が付いていても、行そのものは動きません。

混同しやすい語

高調波とフリッカ電圧:どちらも系統の電気の品質に関する話で、解列事由の列挙には入っていません。年度によってどちらかが混ぜられます。高調波そのものは高調波の記事、フリッカは電圧フリッカの記事にまとめました。

単独運転と逆充電:高圧は単独運転だけ、低圧は単独運転又は逆充電です。定義は単独運転・自立運転・逆充電の記事にまとめました。

短絡事故と高低圧混触事故:高低圧混触事故が加わるのは低圧の側です。

過電圧リレーと逆電力リレー:単独運転の行にあるのは逆電力リレーです。過電圧リレーは発電電圧異常上昇の行にあります。

短絡方向リレーと周波数低下リレー:単独運転の行にあるのは周波数低下リレーです。

リレーの略記号:DSR・RPR・UFR・OVGRの読み分けは系統連系用保護装置の略記号の記事で扱っています。

スポットネットワーク受電方式:解釈は特別高圧の第231条で、この方式を第1項から除いて別に定めています。スポットネットワークの記事にまとめました。

過去問でどう問われたか

解列しなければならない事象は1級で4年度、解列する箇所は1年度、単独運転を検出するリレーは2年度です。

年度・級・問 問われ方 答え
平成26年度 1級 学科 No.25 高圧で解列する事象(定められていないもの) 高調波の発生
平成29年度 1級 学科 No.25 高圧で解列する事象(同じ4肢) 高調波の発生
平成30年度 1級 学科 No.26 単独運転を検出する保護リレー等(不適当なもの) 過電圧リレー
令和2年度 1級 学科試験 No.25 低圧で解列する事象/逆充電と高低圧混触事故が入る 高調波の発生
令和3年度 1級 第一次 No.25 高圧で解列する事象/高調波をフリッカ電圧に差し替え フリッカ電圧の発生
令和6年度 1級 第一次 No.23 単独運転を検出する保護リレー等(不適当なもの) 短絡方向リレー

事象を問う4問は、いずれも列挙外の1つが答えです。肢の順番だけが年度で入れ替わります。

令和8年度1級第一次検定No.22は、事象ではなく箇所を問う形でした。答えは変圧器保護用遮断器(公表正答4)です。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 事象を問うているのか、箇所を問うているのかを読む:箇所なら変圧器保護用遮断器が列挙外です。
  • 解列の問題は品質の話を探す:高調波もフリッカ電圧も列挙外です。
  • 低圧か高圧かを読む:低圧なら逆充電と高低圧混触事故が正しい側に入ります。
  • リレーの問題は単独運転の行で判断する:周波数上昇・周波数低下・逆電力・転送遮断装置が並びます。
  • 電圧を見るリレーと短絡を見るリレーを外す:過電圧リレーと短絡方向リレーは別の行です。

理解度チェック

Q.

高圧で分散型電源を自動的に解列する事象は?

分散型電源の異常又は故障、連系している電力系統の短絡事故又は地絡事故、分散型電源の単独運転の3つです(第229条第一号)。

Q.

低圧では何が加わるか?

高低圧混触事故と逆充電です(第227条第一号)。短絡事故と地絡事故に高低圧混触事故が並び、単独運転に逆充電が並びます。

Q.

単独運転の検出に使う保護リレー等は?

周波数上昇リレー、周波数低下リレー、逆電力リレー、転送遮断装置又は単独運転検出装置です(229-1表)。

Q.

過電圧リレーはどの異常を検出するか?

発電電圧異常上昇です。単独運転の行には並んでいません。

まとめ

  • 高圧の解列事由は3つ。異常又は故障、短絡事故又は地絡事故、単独運転(第229条第一号)。
  • 高調波の発生とフリッカ電圧の発生は列挙に無いので答え。4年度のうち3年度が高調波、1年度がフリッカ電圧。
  • 低圧は高低圧混触事故と逆充電が加わる(第227条第一号)。
  • 令和8年度は解列する箇所が問われた。受電用遮断器・出力端の遮断器・連絡用遮断器が正しい側で、変圧器保護用遮断器は入らない。
  • 単独運転の行にあるのは周波数上昇・周波数低下・逆電力・転送遮断装置(229-1表)。
  • 過電圧リレーは発電電圧異常上昇の行、短絡方向リレーは系統側短絡事故の行。どちらも単独運転の問題では外れる。

参考資料

  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第227条(低圧連系時の系統連系用保護装置)/第229条(高圧連系時の系統連系用保護装置)・229-1表・解列する箇所
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成26年度・平成29年度・平成30年度・令和2年度・令和3年度・令和6年度・令和8年度
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