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単独運転と自立運転って、どっちも同じ状態に見えるんだけど。
逆充電まで出てくると、もう区別がつかない…。
この記事の要点
単独運転とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等で系統電源と切り離された状態で、その分散型電源が発電を続け、線路負荷に有効電力を供給している状態のことです。電気が系統側の線路へ出ていきます。
自立運転は、解列された状態で、自分の構内負荷にだけ電力を供給している状態です。
単独運転と逆充電は「切り離された状態」で始まりますが、自立運転だけは「解列された状態」と書かれています。
違うのは、どこへ電力を供給しているかです。
この3語は、条文が続けて並べて定義しています。書き出しは2種類です。
だから読み比べる場所も決まっていて、後半の「どこに供給しているか」の一句だけです。
解釈の第220条が用語をまとめて定義しています。
電気設備の技術基準の解釈 第220条(分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義)
五 単独運転 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態
六 逆充電 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態
七 自立運転 分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態
言い換えると、「切り離された後、電気がどこへ流れているか」で名前が変わるということです。
後半だけを取り出して並べます。
| 用語 | 電気の行き先 | 条文での言い方 |
|---|---|---|
| 単独運転 | 系統側の線路負荷 | 線路負荷に有効電力を供給している状態 |
| 逆充電 | 供給していない(加圧のみ) | 電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態 |
| 自立運転 | 自分の構内負荷だけ | 当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態 |
逆充電だけが「供給していない」側です。電圧はかかっているのに電力が出ていない状態を指します。
同じ条にある、向きと動作の語です。
電気設備の技術基準の解釈 第220条(同)
三 解列 電力系統から切り離すこと。
四 逆潮流 分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ
例えば、太陽光発電の余った電気が系統側へ出ていくとき、その流れが逆潮流です。
逆潮流は平常時の流れの向きで、単独運転は事故時の状態です。同じ「逆」でも指しているものが違います。
用語の定義には、装置も並んでいます。
電気設備の技術基準の解釈 第220条(同)
八 線路無電圧確認装置 電線路の電圧の有無を確認するための装置
九 転送遮断装置 遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置
十 受動的方式の単独運転検出装置 単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
十一 能動的方式の単独運転検出装置 分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
装置の側で押さえるのは2点です。
転送遮断装置は、通信回線で信号を飛ばして離れた場所の遮断器を切ります。同じ構内で完結する装置ではありません。
混同しやすい語
単独運転と自立運転:どちらも切り離された状態ですが、単独運転は系統側の線路負荷へ供給し、自立運転は構内負荷にのみ供給します。
逆潮流と逆充電:逆潮流は構内から系統側へ向かう有効電力の流れです。逆充電は系統を加圧しているが有効電力を供給していない状態で、流れではなく状態を指します。
受動的方式と能動的方式:受動は単独運転移行時に生じた変化を捉えます。能動は平時から変動を与えておき、その変動に起因する周波数等の変化を捉えます。
この用語は、分散型電源を系統につなぐときの決まりの入口にあります。
1級では、この条の定義を4つ並べて誤りを選ばせる形が3年度出ています。誤りを仕込む場所は年度で変わります。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和5年度 1級 第一次検定 No.26 | 分散型電源の系統連系設備に関する用語の定義として、解釈上、誤っているものはどれか | 転送遮断装置は同じ構内に設置された別の遮断器を動作させる装置である |
正しくは、転送遮断装置が動作させるのは別の構内に設置された遮断器です。
同じ問に並んだ自立運転・線路無電圧確認装置・逆潮流の説明は、いずれも条文どおりで正しい選択肢でした。
同じ形は前にも2年度出ています。平成27年度 1級 No.26は、転送遮断装置を「別の構内に設置された警報器を動作させる装置」とした選択肢2が誤りで、公表正答も選択肢2でした。場所ではなく、動かす相手そのものを替えています。
令和元年度 1級 No.26は、装置ではなく分散型電源そのものを狙っています。「分散型電源とは…常用電源の停電時にのみ使用する非常用予備電源が含まれる」という選択肢が置かれました。第220条第一号は、発電設備等を「常用電源の停電時又は電圧低下発生時にのみ使用する非常用予備電源以外のもの」と定義しているので、条文とは逆です。この年度は、自立運転・逆潮流・転送遮断装置の3つが条文どおりに置かれていました。
構内か、別の構内か。定義の中で場所を指す語だけを追えば見つかります。
系統連系で使う記号は系統連系の略記号に、地絡を切る装置は地絡遮断装置にまとめました。
この分野の肢は、次の順に見ます。
単独運転と自立運転は、どこが違うか?
供給先です。単独運転は線路負荷に有効電力を供給している状態、自立運転は設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態です。
逆充電はどのような状態か?
切り離された状態で、分散型電源のみが連系している電力系統を加圧し、かつ、その電力系統へ有効電力を供給していない状態です。
転送遮断装置は、どこの遮断器を動作させるか?
別の構内に設置された遮断器です。遮断信号を通信回線で伝送して動作させます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の基準・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
自立運転を「非常時に自分の設備だけで動かすこと」と言葉の印象で覚えると、単独運転との線引きがぼやけます。
条文は供給先を書き分けているだけです。線路負荷か構内負荷か、その一句を読み比べます。