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フリッカ対策って、短絡容量は大きくするの?小さくするの?
SVCとSVRも両方出てきて、どっちがどっちか分からない。
この記事の要点
電圧フリッカとは、アーク炉のような変動負荷によって配電系統に生じる電圧の変動のことです。
対策の向きは2つで、しかも裏返しの関係です。短絡容量は大きく、電源側インピーダンスは小さく。
機器の肢では、SVRを施設するという肢だけが誤りにされています。
照明がちらつくことがあります。原因が同じ建物の中にあると、その正体はたいてい電圧の変動です。電流が急に大きく変わる機械が同じ系統につながっていると、その変動が電圧に現れます。
電源から負荷までの電線には、必ず抵抗やリアクタンスがあります。ここを流れる電流が大きくなると、その分だけ電圧が下がります。電流が激しく上下すれば、電圧も同じ拍子で上下します。これが電圧フリッカです。
起こす側はどれも、電流が短時間で大きく変わる機械です。アーク炉はアークが飛ぶたび、圧延機と溶接機は材料をつかむたびに電流が跳ね上がります。
2級では、発生源そのものが繰り返し問われています。出題は毎回、フリッカを起こす機械を3つ並べ、起こさないものを1つ混ぜる形です。
起こす側はどれも、電流が短時間で大きく変わる機械です。アーク炉はアークが飛ぶたび、圧延機と溶接機は材料をつかむたびに電流が跳ね上がります。
起こさない側は性格が違います。蛍光灯は電流がほぼ一定です。令和7年度の放電クランプにいたっては、そもそも配電線を雷から守る保護装置で、負荷ですらありません。
SVRは配電系統の電圧調整で使う機器で、こう長が長い線路の電圧降下を補います。動作が秒単位なので、フリッカのような速い変動には追いつきません。
1級では対策のほうが問われます。5年度分の正しい肢を並べると、3つに分かれます。
| 向き | 正しい肢として出た対策 |
|---|---|
| 系統側を強くする | 短絡容量の大きい電源系統から供給する/電線を太線化して電源側インピーダンスを低減する |
| 発生源を切り離す | 専用線あるいは専用の変圧器から供給する |
| 変動を打ち消す機器を足す | 静止形無効電力補償装置(SVC)を変動負荷の近傍に接続する/アーク炉用変圧器に直列に可飽和リアクトルを挿入する/三巻線補償変圧器を設置する |
1つ目は、電線のインピーダンスを小さくして、同じ電流の揺れでも電圧が動きにくくする向きです。短絡容量が大きいこととインピーダンスが小さいことは、同じ状態を裏返しで言っています。出題も、言葉だけ変えて同じことを聞いてきます。
2つ目は、揺れを他の需要家へ伝えないようにする向きです。3つ目は、揺れそのものを機器で打ち消す向きです。
この3つの向きから外れた肢が答えになります。誤りの作り方は①短絡容量を小さいと書く/②インピーダンスを増加と書く/③SVRを持ち出すの3つだけで、年度ごとの中身は下の「過去問でどう問われたか」に並べました。
例えば、肢に「電源側のインピーダンスを増加させる」とあれば、そこで切れます。インピーダンスが大きいほど同じ電流の揺れで電圧が大きく動くので、フリッカは悪くなります。短絡容量を大きくする向きが正しい手当てです。
言い換えると、「電源を強くする向きが正しく、弱くする向きが誤り」ということです。短絡容量とインピーダンスは裏返しなので、どちらで書かれても同じ判断で足ります。
抑制に使う機器そのものは、変電所の機器と重なります。可飽和リアクトルや三巻線補償変圧器は、電流の揺れを機器側で吸収する向きの手当てです。
なお、アーク炉は高調波も出します。フリッカは電圧の揺れ、高調波は波形のひずみで、別の現象として分けて問われます。
SVRは、フリッカの問題では3年度とも誤りの側に置かれます。ところが配電系統の電圧調整の問題では、3年度とも正しい肢に置かれています。令和6年度だけは施設する場所を書き換えて誤りにされました。
SVRは、こう長が長いことによる電圧降下を直すための機器です。令和6年度で誤りにされたのは機器そのものではなく、施設する場所を送り出し部と書いた点でした。
つまりSVRの相手は、線路が長いために生じる、ゆっくりした電圧の下がり方です。フリッカの相手は、変動負荷による短時間の揺れです。同じ「電圧を調整する」でも、相手にしているものが違います。だから電圧調整の問題では正しい肢、フリッカの問題では誤りの肢になります。
1級では対策が5年度、2級では発生源が4年度に出ています。1級で答えになった肢を並べます。
| 年度・級・問 | 誤りとされた記述 | 型 |
|---|---|---|
| 平成27年度 1級 No.27 | 変動負荷を短絡容量の小さい電源系統に接続する | ① |
| 平成30年度 1級 No.27 | 発生源の電源側に自動電圧調整器(SVR)を施設する | ③ |
| 令和2年度 1級 No.27 | 電源側のインピーダンスを増加させる | ② |
| 令和5年度 1級 No.27 | 発生源の電源側にステップ式自動電圧調整器(SVR)を施設する | ③ |
| 令和7年度 1級 No.24 | 発生源の電源側に自動電圧調整器(SVR)を施設する | ③ |
③が3年度を占めています。平成30年度と令和7年度は一字一句まで同じ肢です。2級の発生源のほうは、平成27年度・令和元年度・令和4年度・令和7年度に出ています。
1級の肢に並ぶ対策は、上に挙げた7つ以外にほとんど出てきません。令和5年度の残り3肢は、短絡容量の大きな電源系統・専用の変圧器・三巻線補償変圧器で、いずれも他の年度で正しいとされた形でした。令和7年度も同じで、SVRの肢を除く3つは既出の形です。
短絡容量は大きく、インピーダンスは小さく、SVRは誤り。この3つで5年度すべてが切れます。
電圧フリッカの肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
SVCとSVR:SVCは静止形無効電力補償装置で、無効電力を出し入れして即座に電圧を直します。SVRはステップ式自動電圧調整器で、こう長が長い線路の電圧降下を直します。フリッカの問題ではSVCが正しい側、SVRが誤りの側です。
短絡容量と電源側インピーダンス:短絡容量は大きく、インピーダンスは小さくが正しい向きです。同じ内容を逆の言葉で言っているので、どちらの語で書かれているかを先に読みます。
可飽和リアクトルと三巻線補償変圧器:どちらもアーク炉に絡めて出題され、いずれも正しい肢です。可飽和リアクトルは変圧器に直列に挿入、三巻線補償変圧器は設置という書かれ方です。
専用線と専用変圧器:どちらも発生源を切り離す対策で、5年度とも正しい肢です。
電圧フリッカの抑制では、短絡容量はどちら向きにするか?
大きい側です。短絡容量の小さい電源系統に接続するという肢は誤りとされています。
電源側インピーダンスはどちら向きにするか?
低減する側です。電線を太線化して低減するという肢は正しい側、増加させるという肢は誤りとされています。
SVRは、なぜフリッカの対策として誤りにされるのか?
相手にしているものが違うためです。SVRは配電系統の電圧調整の問題では3年度とも正しい肢です。令和6年度1級No.24では「こう長が長い高圧配電線路の電圧降下を抑制するため」の対策として出ています。線路が長いことによる電圧降下が相手であって、変動負荷による短時間の揺れが相手ではありません。フリッカの問題では3年度とも誤りの側です。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
SVCとSVRは3文字目しか違いません。肢を読むときは、この1文字を見てください。
SVC(静止形無効電力補償装置)は正しい肢、SVR(自動電圧調整器)は3年度とも誤りです。SVRが機器として間違っているわけではありません。フリッカという相手に対して的外れなだけで、電圧調整の問題では正しい肢に置かれています。