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変電所の機器が4つ並ぶと、どれも正しく見えるんだけど。
毎年ひとつだけ誤りになるって、どこで見分けるの?
この記事の要点
変電所で用いられる機器とは、遮断器・断路器・接地開閉器・負荷開閉器・調相設備など、電路の開閉や電圧の調整を受け持つ機器のことです。
誤りは、ある機器の説明に別の機器の役割を入れて作られます。
まったく新しい嘘は書かれません。同じ問題の中に、正しい持ち主が並んでいます。
変電所の機器を並べる問題は、1級と2級を合わせて10年度・12設問あります。機器の名前はどれも実在するので、名前だけを見ても決まりません。
決まるのは役割のほうです。まず、どの役割がどの機器のものかを押さえます。
動かされているのは役割です。ある機器の説明に、同じ問題に並んでいる別の機器の役割を入れる。この1つの型で毎年作られています。遮断器・断路器・接地開閉器の並びは変電所の構成機器でも扱っています。
だから読み方も決まります。機器の名前を読んだら、その機器の役割を先に思い出してから、書いてある役割と突き合わせます。並んだ機器と、持ってこられた役割を並べると次のようになります。
| 機器 | 正しい役割 | 持ってこられた役割 |
|---|---|---|
| 負荷時タップ切換変圧器 (タップ切替器・切換装置) |
電圧を調整する | 無効電力を調整する(調相設備の役割) |
| 電力用コンデンサ | 無効電力を調整する | 有効電力を調整する/連続的に調整する |
| 断路器 | 無負荷時に回路を切り離す | 故障時に回路を遮断する(遮断器の役割) |
| 負荷開閉器 | 負荷電流を開閉する。短絡電流は遮断できない | 短絡電流の遮断能力もある(遮断器の役割) |
| 計器用変流器 | 大電流を測りやすい電流に変成する | 高電圧を低圧に変換する(計器用変圧器の役割) |
| 接地開閉器 | 開路したのちに閉路して残留電荷を放電する | 開放操作の前に閉路する(順序が逆) |
右の列に入るのは、どれも同じ問題の中に並んでいる別の機器の役割です。まったく新しい嘘は書かれません。
言い換えると、「答えの肢に書いてある役割は、同じ問題の別の肢に正しい持ち主がいる」ということです。
この2つは、同じ問題の中で入れ替えられます。先に電圧の側から見ます。
この機器は、変圧器の巻数の取り出し口(タップ)を切り換えて、出てくる電圧を変えます。名前のとおり、負荷をつないだままそれができます。
令和3年度 2級(前期)No.14 選択肢2/令和3年度 1級 No.10 選択肢1(どちらも正しい側)
負荷時タップ切換装置は、電力系統の電圧調整をするために用いられる。
系統電圧を調整する負荷時タップ切換装置には、電圧調整方式としては直接式が、限流方式としては抵抗式がある。
ところが出題では、ここに無効電力が入ってきます。平成25年度は「タップを段階的に切換え、無効電力を調整する」、平成29年度は「段階的に無効電力を調整する」。なお平成25年度は同じ問題で二重母線も並びました。切り換え方の説明は正しいまま、最後の目的語だけが差し替えられています。
例えば、試験自身がこの線を引いた問題があります。令和7年度2級(前期)No.6は「変電所の調相設備において、無効電力の調整を行うための機器として、最も不適当なもの」を聞き、負荷時タップ切換変圧器を答えにしました。分路リアクトル・電力用コンデンサ・静止形無効電力補償装置が残ります。
ただし、設問が「電圧もしくは無効電力の調整を行うための機器」と広げたときは、この機器も適当な側に入ります(平成30年度2級(前期)No.15)。無効電力だけを聞かれたら外れ、電圧を含めて聞かれたら入る。この違いが読み分けの境目です。配電系統での電圧の調整のしかたは配電系統の電圧調整にまとめました。
では、無効電力の調整を受け持つのはどれか。電力用コンデンサです。平成27年度2級No.14の選択肢2は「調相設備は、系統の無効電力を調整するために用いられる」を正しい側に置いています。電力用コンデンサはその調相設備の一つです。
この機器で誤りを作るときは、書き足す言葉のほうが動きます。
同じ機器でも、差し替えられる語は毎回ちがいます。役割の名前だけを見て安心せず、付いている副詞まで読みます。
残りの3つは、遮断できるかどうかで分かれます。遮断器は「機器などの故障時に回路を自動遮断するために設置されるが、常時は回路の開閉操作に用いられる」(令和4年度1級No.18 選択肢1、正しい側)。この役割を他へ移すと誤りになります。
この機器だけは役割が差し替えられません。そのかわり、閉路するタイミングを前後させた形で答えになっています。
令和8年度 1級 第一次 No.15 選択肢4(誤りの側。公表正答は選択肢4)
接地開閉器は、送電系統の残留電荷や誘導電圧を解消するため、遮断器や断路器の開放操作前に閉路する。
正しくは開放したあとに閉路します。平成26年度1級No.18・平成29年度1級No.18・令和4年度1級No.18は、いずれも「遮断器や断路器を開路したのちに閉路する」と書いて正しい側に置いています。3年度で確定している順序を、令和8年度だけ前後させました。
同じ問の選択肢1〜3は、遮断器・分路リアクトル・断路器の役割がそれぞれ正しい側に置かれました。
計器用の変成器も同じ形です。「計器用変成器は、高電圧や大電流を測定しやすい電圧や電流に変成する」は平成26年度と平成29年度で正しい側でしたが、平成27年度2級では変流器に限定したうえで「高電圧を低圧に変換する」と書き、答えになりました。使い分けは計器用変成器で扱っています。
答えになった9件を、差し替えられた語ごとに並べます。
9件のうち6件が役割の差し替えです。残る3件は、機器を変流器に限定したもの、副詞を足したもの、順序を前後させたものでした。遮断器そのものの働きは短絡保護と遮断器で扱っています。
混同しやすい語
電圧と無効電力:負荷時タップ切換変圧器は電圧、調相設備は無効電力です。設問が「電圧もしくは無効電力」と広げたときだけ、両方が同じ側に入ります。
有効電力と無効電力:電力用コンデンサが調整するのは無効電力です。有効電力に替えた肢が2年度とも答えになりました。
断路器と遮断器:断路器は無負荷時の切り離し、遮断器は故障時の自動遮断です。負荷開閉器はその中間で、負荷電流は開閉できますが短絡電流は遮断できません。
計器用変流器と計器用変圧器:変流器は大電流、変圧器は高電圧を受け持ちます。両方をまとめた呼び方が計器用変成器です。
負荷時タップ切換変圧器が調整するのは何か?
電圧です。無効電力を調整すると書いた肢は、平成25年度と平成29年度でどちらも答えになりました。
「無効電力の調整」を聞かれたときと「電圧もしくは無効電力の調整」を聞かれたときで、負荷時タップ切換変圧器の扱いはどう変わるか?
無効電力だけなら外れます(令和7年度2級前期の答え)。電圧を含めて聞かれたときは適当な側に入ります(平成30年度2級前期)。
電力用コンデンサの肢は、どこを書き替えて誤りにされたか?
無効電力を有効電力に替えた形が2年度、無効電力のまま「連続的に」を足した形が1年度です。
断路器と負荷開閉器は、それぞれ何ができないか?
断路器は無負荷時の切り離しに使うもので、故障時の遮断はできません。負荷開閉器は負荷電流やループ電流は開閉できますが、短絡時の事故電流は遮断できません。
接地開閉器はどの年度で答えになったか?
令和8年度1級No.15です。役割ではなく順序が逆にされ、「遮断器や断路器の開放操作前に閉路する」と書かれました。正しくは開放したのちに閉路します。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
読み飛ばしてよい機器はありません。
平成25年度から令和4年度までを見ると、接地開閉器と断路器は正しい側に置かれ続けています。ところが令和5年度2級(前期)No.14では断路器が、令和8年度1級No.15では接地開閉器が答えでした。一度も入れ替えられていない機器はありません。機器名で飛ばさず、書いてある役割と順序を毎回読みます。