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変電所の母線の問題って、比べる相手が毎回違うよね。
単母線のときと環状母線のときで、答えは変わるの?
この記事の要点
二重母線とは、母線を2組持って、つながる先を切り替えられるようにした方式です。
断路器等が増えて所要面積も増える代わりに、点検や系統運用が容易になります。
この向きを逆に書いた肢が、誤りとして出されます。
変電所に関する記述では、母線・変圧器・接地方式が1問にまとめて並びます。そのうち二重母線の肢だけが、繰り返し誤りにされてきました。
比べる相手は1級と2級で違いますが、主語はどちらも二重母線です。まず二重母線が何のための方式かを押さえます。
母線は変電所の機器をつなぐ幹の部分です。ここで事故が起きると影響が広い(母線保護)ので、方式の選び方が信頼度を決めます。
母線は、変電所の中で電気を集めて配る幹線です。これが1組しかないと、点検で母線を止めた瞬間に変電所ごと止まります。単母線について、出題は「母線事故時に全停電となる」と書いています(令和4年度2級(後期)No.14 選択肢1・令和7年度2級(後期)No.12 選択肢1、どちらも正しい側)。
母線を2組にしておくと、つながる先を断路器でもう一方へ移してから、片方だけ止められます。これが二重母線の目的です。平成25年度1級No.18の選択肢3は、この性質を正しい側でそのまま書いています。
平成25年度 1級 学科 No.18 選択肢3(正しい側。公表正答は選択肢1)
二重母線は、単母線と比べて断路器等が増え、所要面積が増えるが、機器の点検等で必要となる母線の停止が容易になる。
増やす代わりに、止められるようにする。これが交換条件です。機器が増えれば置き場所も要り、制御と保護の回路もその分だけ増えます。母線そのものを守る継電方式は母線保護で扱っています。
母線の方式は、大きく3つに分かれます。
需要家側で似た考え方をとるのがスポットネットワーク受電方式で、複数回線から受けて1回線が止まっても供給を続けます。
| 見る点 | 単母線 | 二重母線(複母線) |
|---|---|---|
| 母線の数 | 1組 | 2組 |
| 母線事故のとき | 全停電となる | — |
| 所要機器・所要面積 | 少ない | 断路器等が増え、面積も増える |
| 点検で母線を止める | 容易ではない | 容易になる |
| 系統運用 | — | 容易である/上位系統・大規模な変電所に採用される |
この表の中身は、すべて正しい側の肢から取っています。点検・系統運用が容易は平成30年度2級(前期)No.14 選択肢4と令和4年度2級(後期)No.14 選択肢3、所要機器が多いは令和7年度2級(後期)No.12 選択肢4、上位系統に採用されるは令和4年度2級(後期)No.14 選択肢4です。
二重母線の売りは、系統運用のしやすさです。面積と機器を増やして、それを買っています。
例えば、肢に「二重母線は単母線に比べて系統運用の自由度が少ない」とあれば、そこで切れます。母線が2組あるので、片方を止めて点検しながらもう片方で送り続けられます。選べる道が増えるので、自由度は上がります。
言い換えると、「母線を増やしたぶん、止めずに済ませる手が増える」ということです。増やした代わりに、機器の数と設置面積は増えます。
1級では、比べる相手が単母線ではなく環状母線になります。主語は毎回、二重母線の側です。
| 年度・級・問 | 答えになった肢 |
|---|---|
| 平成27年度 1級 学科 No.10 (公表正答は選択肢2) |
二重母線は、環状母線に比べて系統運用上の自由度がなく、制御及び保護回路は複雑である |
| 令和3年度 1級 第一次 No.10 (公表正答は選択肢2) |
二重母線は、環状母線に比べて所要面積が少なくて済むが、系統運用上の自由度が少ない |
| 令和7年度 1級 第一次 No.8 (公表正答は選択肢2) |
二重母線は、環状母線に比べて系統運用上の自由度が少ないが、所要面積が少なくて済む |
3つに共通するのは、系統運用上の自由度が少ない(ない)という一点だけです。位置も3年度とも選択肢2で固定です。書き方は毎年変わり、令和3年度と令和7年度は前後を入れ替えただけの関係になっています。
二重母線の売りそのものを否定しているので、誤りになります。系統運用が容易であることは、同じ試験の別の問題で正しい側に置かれ続けています。
令和3年度と令和7年度には「所要面積が少なくて済む」も入っています。二重母線は断路器等が増えて面積も増える側です。減る方向の記述も、二重母線の性質とは逆になります。
平成27年度の「制御及び保護回路は複雑である」は、機器が増える方式なので逆ではありません。この年度で否定されたのも、自由度の側です。
この3年度に並んだ他の肢は、一度も誤りにされていません。
平成27年度1級No.10 選択肢4/令和3年度1級No.10 選択肢3/令和7年度1級No.8 選択肢3(3年度とも正しい側)
ガス絶縁変圧器は、不燃性ガスを絶縁に使用しており、地下変電所など屋内設置に適している。
3年度とも一字一句同じ書き方です。令和7年度でこの肢を見たとき、過去2年度と同じ文だと分かっていれば読まずに飛ばせます。
平成27年度と令和7年度は、答えの肢以外の3つがほぼ同じ内容です。ガス絶縁開閉装置そのものの特徴はGISの記事、中性点の接地方式は中性点接地方式、変電所に並ぶ機器そのものは変電所の構成機器で扱っています。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
二重母線と複母線:同じものです。平成30年度2級では複母線、令和4年度2級以降は二重母線と書かれています。
環状母線と単母線:1級では環状母線、2級では単母線が比較の相手です。
密閉母線とガス絶縁母線:密閉母線の種類としてガス絶縁母線と固体絶縁母線が挙げられています。
ガス絶縁変圧器とガス絶縁開閉装置:変圧器のほうは不燃性ガスを絶縁に使い、地下変電所など屋内設置に適するとして3年度とも正しい肢でした。
二重母線は、単母線と比べて何が増えて何が楽になるか?
断路器等が増えて所要面積も増えますが、点検で必要になる母線の停止が容易になります。
二重母線の肢は、どう書き換えられて誤りにされるか?
系統運用上の自由度が少ない(ない)と書かれます。二重母線の売りそのものを否定した形です。
ガス絶縁変圧器はどう説明されたか?
不燃性ガスを絶縁に使用しており、地下変電所など屋内設置に適していると書かれました。3年度とも正しい側です。
密閉母線にはどんな種類があるか?
ガス絶縁母線、固体絶縁母線などです。2年度とも正しい肢に置かれました。
大型の変圧器はどう輸送するか?
単相器の状態で輸送し、現地で三相器に組み立てる場合があります。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
比べる相手より、主語を先に見ます。
1級では環状母線、2級では単母線が比較の相手ですが、主語はどちらも二重母線です。二重母線の性質は相手によって変わりません。機器と面積が増えて、系統運用は容易になる。この向きを覚えておけば、相手が入れ替わっても読めます。