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酸化亜鉛形避雷器とは?直列ギャップが不要な理由と変電所の構成機器を整理

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避雷器にギャップって、要るの?要らないの?

限流抵抗と中性点接地抵抗器も名前が似ていて、役割が混ざる…。

この記事の要点

変電所の構成機器とは、避雷器・変圧器・遮断器・中性点接地抵抗器など、変電所を組み立てている機器のことです。

酸化亜鉛形の避雷器に直列ギャップは要りません。素子そのものが、常時使用電圧では電流を通さないからです。

この向きを逆にした肢が、繰り返し誤りとして出されます。

変電所の構成機器を並べる問題は、1級で3年度分あります。避雷器の肢が毎回いちばん上に置かれ、そこが答えです。

まず、避雷器がどうやって電流を止めているかを押さえます。

避雷器は、ふだん通さず雷のときだけ通す

避雷器は電線と大地の間に入れる機器です。ふだんは電流を通さず、雷などで電圧が跳ね上がったときだけ大地へ逃がします。この切り替えをどうやるかで、作り方が二通りに分かれます。

  • すき間で切っておく:ふだんは電極の間を離しておき、電圧が上がったら放電してつながる。この隙間が直列ギャップです
  • 素子の性質で切る:ふだんは抵抗が高いので電流が流れず、電圧が上がると抵抗が下がって流れる

この二通りは、条文でも別々に規定されています。

電気設備の技術基準の解釈 第16条「機械器具等の電路の絶縁性能」(器具等の電路に用いる避雷器)

ホ 避雷器であって、次のいずれかに適合するもの

(イ) 直列ギャップを有する避雷器であって、次に適合するもの

(1) 商用周波放電開始電圧は、乾燥状態及び注水状態において、2分以内の時間間隔で10回連続して商用周波放電開始電圧を測定したとき、16-7表に規定する値以上であること。

(ロ) (イ)に規定するもの以外の避雷器であって、次に適合するもの

(1) 乾燥状態において測定した動作開始電圧(商用周波電圧を加えたときの、16-8表に規定する抵抗分電流に対する避雷器端子電圧の値をいう。)の波高値は、16-10表に規定する値以上であること。

条文は避雷器を「直列ギャップを有するもの」と「それ以外」に分け、確かめる値まで変えています。ギャップのあるものは商用周波放電開始電圧、無いものは動作開始電圧です。言い換えると、「直列ギャップの無い避雷器は、条文が最初から想定している」ということです。

酸化亜鉛形は後者です。出題も「避雷器は、非直線抵抗特性に優れた酸化亜鉛形のものが多く使用されている」を、平成27年度2級No.14・平成30年度2級(後期)No.14・令和3年度2級(前期)No.14・令和5年度2級(前期)No.14の4年度とも、いずれも選択肢4で正しい側に置いています。

電圧が上がったときだけ流す 電流 電圧 常時使用電圧 ほとんど流れない ここまでが常時 雷などで 電圧が上がると 一気に流す
性質の向きをイメージでつかむための模式図です。曲線の形や目盛は実物どおりではありません。正しいのは、常時使用電圧ではほとんど流れず、電圧が上がると急に流れるという点だけです。

非直線抵抗特性とは、加わる電圧によって抵抗の大きさが変わる性質です。電圧が低いうちは抵抗が高く、電圧が上がると急に下がります。素子そのものがこの働きをするので、別にすき間を用意して切り離しておく必要がありません。

例えば、2級では「避雷器は、非直線抵抗特性に優れた酸化亜鉛形のものが多く使用されている」という肢が、平成27年度No.14・平成30年度(後期)No.14・令和3年度(前期)No.14・令和5年度(前期)No.14の4年度とも正しい側に置かれました。文はほとんど変わりません。

誤りは、前提を逆にして作られる

平成25年度の選択肢1は、この前提を裏返しています。

平成25年度 1級 学科 No.10 選択肢1(誤りの側。公表正答は選択肢1)

酸化亜鉛形避雷器には、常時使用電圧で電流が流れるので、直列ギャップが必要である。

「常時使用電圧で電流が流れる」は、酸化亜鉛形の性質とは逆です。理由の部分から間違っているので、結論のギャップも要りません。

標準仕様書の試験の表を見ると、この形がはっきりします。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 1.9.1「試験」 表1.9.1「機器単体の試験」より 避雷器の行(版面p.128)

JEC-2374「酸化亜鉛形避雷器」によるもの/JEC-2374「酸化亜鉛形避雷器」によるルーチン試験

試験の内容:構造点検、動作開始電圧(直列ギャップ無のみ)、絶縁抵抗及び漏れ電流、商用周波放電開始電圧(直列ギャップ有のみ)、標準雷インパルス放電開始電圧(直列ギャップ有のみ)

試験項目の欄に「直列ギャップ無のみ」「直列ギャップ有のみ」が並んでいます。酸化亜鉛形避雷器には、直列ギャップの無いものが規格の側に用意されています。だから「必要である」と言い切った肢は、そこで誤りになります。

平成30年度と令和5年度は、この理由を落として「酸化亜鉛形避雷器には、直列ギャップが必要である」の一文だけにしました。理由が消えても扱いは変わりません。避雷器を実際にどう取り付けるかは屋外変電所の雷害対策で扱っています。

過去問でどう問われたか

機器 出題での書かれ方 扱い
酸化亜鉛形避雷器 直列ギャップが必要である 3年度とも誤り
負荷時タップ切換変圧器 切換時に短絡しないように限流抵抗が用いられる 3年度とも正しい
中性点接地抵抗器 電力系統の地絡故障電流を抑制するために設けられる 2年度とも正しい
遮断器(架空送電線用) 近距離線路故障に対する遮断性能が要求される 2年度とも正しい
送油風冷式の変圧器 油入自冷式に比べて冷却能力が大きい 正しい
ガス絶縁開閉装置(GIS) 六ふっ化硫黄ガス(SF6)で絶縁している 正しい

入れ替わるのは、避雷器以外の3つの顔ぶれだけです。どれも一度も書き換えられていません。限流抵抗の肢だけは令和5年度で「二つのタップ間が」という言葉が足されましたが、扱いは変わりませんでした。ガス絶縁開閉装置そのものの特徴はGISの記事、変電所に並ぶ機器の役割は変電所で用いられる機器にまとめました。

答えになった避雷器の肢と、そのとき同じ問題に並んだ機器を並べます。

  • 平成25年度 1級 学科 No.10 選択肢1:常時使用電圧で電流が流れるので、直列ギャップが必要である(同席=中性点接地抵抗器・遮断器・限流抵抗)
  • 平成30年度 1級 学科 No.10 選択肢1:直列ギャップが必要である(同席=送油風冷式・限流抵抗・遮断器)
  • 令和5年度 1級 第一次 No.10 選択肢1:平成30年度と同じ文(同席=GIS・限流抵抗・中性点接地抵抗器)

問題番号はいずれもNo.10で、避雷器の肢が先頭に置かれています。動くのは残り3つの顔ぶれだけです。

どこを確認すれば読み分けられるか

変電所の構成機器の肢は、次の順に見ます。

  • 酸化亜鉛形と直列ギャップが並んでいたら答え:3年度とも、この組合せで誤りにされています
  • 理由が付いていても付いていなくても同じ:平成25年度は理由付き、平成30年度と令和5年度は結論だけでした
  • 限流抵抗は正しい側:3年度すべてで、負荷時タップ切換変圧器の説明として置かれています
  • 中性点接地抵抗器と遮断器も正しい側:2年度ずつ出て、文はそのまま繰り返されました
  • 見慣れない機器が出ても慌てない:送油風冷式もGISも正しい側でした

まちがえやすいポイント

ギャップが要るかどうかは、素子の側で決まります。

直列ギャップは、素子だけでは常時の電流を止められないときに要るものです。酸化亜鉛形は素子そのものが止めるので、要りません。「酸化亜鉛形」と「直列ギャップが必要」が同じ文に並んだら、その時点で誤りです。

混同しやすい語

直列ギャップと限流抵抗:直列ギャップは避雷器の中の隙間、限流抵抗は負荷時タップ切換変圧器の中でタップ間の短絡を防ぐものです。どちらも「電流を通さないための部品」ですが、入っている機器が違います。

中性点接地抵抗器と限流抵抗:中性点接地抵抗器は地絡故障電流を抑制するもので、変圧器の中に入る部品ではありません。

非直線抵抗特性:加わる電圧によって抵抗の大きさが変わる性質です。避雷器の説明として、2級で4年度とも正しい側に置かれています。

油入自冷式と送油風冷式:油を送って風を当てるほうが冷却能力は大きくなります。

理解度チェック

Q.

酸化亜鉛形避雷器に直列ギャップが要らないのはなぜか?

素子そのものが、常時使用電圧では電流をほとんど通さないからです。電圧が上がると抵抗が下がって流れます。この性質が非直線抵抗特性です。

Q.

平成25年度の肢は、どこから間違っていたか?

理由の部分です。「常時使用電圧で電流が流れるので」は酸化亜鉛形の性質と逆で、そこから結論のギャップまで続けて誤りになりました。

Q.

負荷時タップ切換変圧器の限流抵抗は何のためか?

切換時に短絡しないためです。令和5年度は「二つのタップ間が短絡しないように」と具体的に書かれました。3年度とも正しい側です。

Q.

中性点接地抵抗器は何のために設けられるか?

電力系統の地絡故障電流を抑制するためです。平成25年度1級No.10と令和5年度1級No.10で正しい肢でした。

Q.

ガス絶縁開閉装置は何で絶縁しているか?

六ふっ化硫黄ガス(SF6)です(令和5年度1級No.10の選択肢2)。

まとめ

  • 酸化亜鉛形の避雷器は、素子そのものが常時使用電圧で電流を通さないので直列ギャップが要らない。
  • 「非直線抵抗特性に優れた酸化亜鉛形」は、2級で4年度とも正しい側に置かれている。
  • 誤りは前提を逆にして作られる。平成25年度は理由付き、平成30年度と令和5年度は結論だけ。扱いは変わらない。
  • 限流抵抗は3年度すべてで正しい肢。令和5年度だけ「二つのタップ間が」と具体的になる。
  • 中性点接地抵抗器・遮断器・送油風冷式・GISも、一度も書き換えられていない。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成25年度No.10・平成30年度No.10・令和5年度No.10/2級 平成27年度No.14・平成30年度(後期)No.14・令和3年度(前期)No.14・令和5年度(前期)No.14
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