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密閉されてるから安全で小型。ここまでは覚えたよ。
じゃあ、事故が起きたときはどうなの?
この記事の要点
ガス絶縁開閉装置(GIS)とは、六フッ化硫黄ガスで主回路を絶縁し、充電部を金属容器に密閉した開閉装置のことです。
問われるのは気中絶縁と比べた長所と短所です。
内部事故のときに迅速な復旧が可能と書いた肢が、2年度とも答えでした。
ガス絶縁開閉装置は、1級で特徴を問う形が4年度、2級で施工を問う形が4年度出ています。
同じ論点で向きが逆の肢が別の年度に置かれるので、対にして覚えると決まります。変電所に関する記述や主遮断装置の問でも、GISは肢の1つとして顔を出します。
GISは変電所の機器(遮断器・断路器・母線・変成器)を1つの容器に収め、SF6ガスで絶縁したものです。バラバラに置く気中絶縁と比べるのが出題の形です。
GISは、充電部を金属容器の中に閉じ込め、六フッ化硫黄ガスで絶縁しています。空気より絶縁の力が強いガスを使うので、同じ電圧でも距離を詰められます。だから小さくできます。
ここから長所が並びます。小さくできる、充電部に触れられないので安全、外気の影響を受けないので信頼性が高い、工場で組み立てて運べるので現場の工事が短い。出題に並ぶ長所は、全部この密閉から出ています。
ところが同じ密閉が、事故のときには裏目に出ます。外から中が見えないので、どこが壊れたのか分かりません。これが最大の引っかけです。
1つの容器に収めるのは、次の機器です。
気中絶縁ならバラバラに置き、間隔をあけて配置します。
外気に触れないので、塩害や粉じんの影響を受けません。海岸に近い場所で屋外式が使いにくいときの選択肢になります。雷害対策の考え方も、屋外の気中絶縁とは変わります。
| 面 | 出題での書かれ方 |
|---|---|
| 長所 | 気中絶縁に比べて小型化が可能(効果は電圧が高いほど大きい)/充電部が密閉されているので感電のおそれがなく安全/露出充電部がなく外気の影響を受けにくいため信頼性が高い/工場組立による一体輸送が可能で現場の工事が簡素化され工期が短い |
| 短所 | 内部事故の場合、金属容器で密閉されているため故障個所が発見しにくく、復旧に時間がかかる(令和6年度の正しい肢) |
| 施工の注意 | 連結作業は、じんあいの侵入を防止するためビニルシートで仕切る/プレハブ式の防じん組立室を作る(4年度とも正しい側) |
施工の注意も、密閉から来ています。中に埃が入れば絶縁が落ちるので、つなぐときだけは特別な囲いを作ります。この論点は屋外変電所の施工で4年度出ており、いずれも正しい側でした。
そのほか、規模に応じて伸縮継手が必要になります。目的は組立調整・熱伸縮吸収・地震時の過渡変位吸収の3つで、平成27年度と令和2年度に同じ文で置かれました。
例えば、肢に「GISは気中絶縁の開閉設備に比べて、設置面積が大きくなる」とあれば、そこで切れます。SF6ガスは空気より絶縁が強いので、同じ電圧でも離す距離を詰められます。だから小さくなります。
言い換えると、「絶縁が強いガスで密閉したから、小さく・汚れにくく・点検しにくい」ということです。長所も短所も、密閉したことから出てきます。
4年度の答えを並べると、いずれも「正しい向きの逆」でした。
読み方は3つに絞れます。
令和6年度は、選択肢2と選択肢3がどちらもGISの弱点に触れています。片方はガスの性質、もう片方は事故時の復旧。復旧の側が正しいと分かっていれば、そこで決まります。
この論点はGISの問だけではありません。六フッ化硫黄ガスそのものを主題にした問でも、同じ一文が答えになっています。
令和2年度 1級 学科 No.8 選択肢4(誤りの側。公表正答は選択肢4)
(ガス遮断器等に用いられる、六フッ化硫黄(SF6)ガスに関する記述として)地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)に比べて小さい。
同じ問の選択肢1から選択肢3は正しい側です。化学的に安定であり無色無臭、空気と比べてアーク放電に対する消弧性能が高い、空気と比べて絶縁耐力が高い。ガスとしての長所は3つとも認めたうえで、温暖化係数だけを逆に書いています。
令和2年度と令和6年度の2年度で、同じ向きが答えになりました。主題がGISでもガス遮断器でも、この一文の扱いは変わりません。
令和6年度の選択肢4「三相一括形GISは、容器を多点接地しても誘導電流の大きさは問題にならない」も正しい側でした。GISそのものが変電所のどこに置かれるかは変電所を構成する機器、遮断器としての役割は変電所の機器の役割で扱っています。
GISの特徴を問う形は4年度分です。答えになった肢を、書かれたとおりに並べます。
| 年度・級・問 | 答えになった肢 |
|---|---|
| 平成27年度 1級 No.18(選択肢2) | 内部事故の場合、事故部分を一括取替することにより、気中絶縁に比べて迅速な復旧が可能である |
| 平成30年度 1級 No.18(選択肢2) | 気中絶縁方式に比べて容積、設置面積が大きくなる |
| 令和2年度 1級 No.18(選択肢3) | (平成27年度と一字一句同じ文) |
| 令和6年度 1級 No.15(選択肢2) | 六フッ化硫黄(SF6)は、地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)に比べて小さい |
並ぶ論点も年度で似ています。平成27年度は小型化・内部事故の復旧・伸縮継手・密閉と信頼性。平成30年度は六フッ化硫黄・容積と設置面積・現場工事・密閉と安全。令和2年度は小型化・露出充電部・内部事故の復旧・伸縮継手。令和6年度は一体輸送・温暖化係数・内部事故の復旧・多点接地です。
内部事故の復旧は3年度に並びます。2年度は答えになり、令和6年度だけ逆向きで正しい側でした。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
小型化と容積の増大:気中絶縁に比べて小型化できる側が正しく、大きくなると書いた肢が平成30年度の答えでした。
迅速な復旧と復旧に時間がかかる:内部事故では時間がかかる側が正しい肢です。
ガス絶縁開閉装置とガス絶縁変圧器:変圧器のほうは不燃性ガスを絶縁に使い、地下変電所など屋内設置に適していると別の年度に書かれています。
変電所の構成機器:GISが避雷器や限流抵抗と並んで出た年度は変電所の構成機器の記事で扱っています。
GISは内部事故のときどうなるか?
金属容器で密閉されているため故障個所が発見しにくく、復旧に時間がかかります。
気中絶縁と比べた大きさはどうか?
小型化が可能です。その効果は電圧が高いほど大きくなります。
伸縮継手は何のために必要か?
組立調整、熱伸縮吸収、地震時の過渡変位吸収などのためです。2年度とも正しい肢でした。
令和6年度で答えになった肢は何か?
六フッ化硫黄の地球温暖化係数を、二酸化炭素に比べて小さいとした肢です。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
密閉は長所にも短所にもなります。
ふだんは小型化・信頼性・安全性という長所ですが、内部事故のときだけは短所です。故障個所が見えないぶん復旧に時間がかかります。この向きを逆にした肢が2年度とも答えでした。
もう1つ、六フッ化硫黄の地球温暖化係数は二酸化炭素より大きい側です。令和2年度1級No.8と令和6年度1級No.15は、どちらも「小さい」と書いて答えにしました。絶縁の力は強いが、漏らせば温室効果が大きい。閉じ込めておく理由がここにもあります。