令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.15は、変電所に用いられるガス絶縁開閉装置(GIS)の特徴に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、絶縁ガスの地球温暖化係数の大きさを分かっているかを問うものです。六ふっ化硫黄の係数は23,500で、二酸化炭素の2万倍を超えます。
選択肢2は「小さい」と書いているので誤りです。
正解:選択肢2(温暖化係数が二酸化炭素に比べて小さい)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 工場組立で一体輸送でき現場が簡素 | GISの大きな利点。適当 |
| 2 | 温暖化係数が二酸化炭素より小さい | 23,500倍。大きい。不適当 |
| 3 | 内部事故の故障個所が発見しにくい | 密閉のため。適当 |
| 4 | 三相一括形は多点接地でも誘導電流は問題にならない | 3相が打ち消し合う。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、六ふっ化硫黄が無色・無臭・無毒で人体に害がないので、環境にも無害だと思ってしまうところです。毒性の話と温暖化の話は別です。
係数は法令に数値で書かれています。
地球温暖化対策の推進に関する法律施行令 第四条(地球温暖化係数)
法第二条第五項の政令で定める地球温暖化係数は、次の各号に掲げる温室効果ガスの区分に応じ、当該各号に定める係数とする。
一 二酸化炭素 一
三十二 六ふっ化硫黄 二万三千五百
二酸化炭素を1としたとき、六ふっ化硫黄は23,500です。大気中で分解されにくく、何千年も残るためこの値になります。同じ政令では、事業活動で年間3,000トン相当以上を排出する事業者に報告を義務づけています。
だから電気機械器具に封入したガスは、点検や廃棄のときに大気へ出さずに回収することになっています。GISは密閉構造なので通常の運転では漏れませんが、扱う量が多いだけに管理が要ります。
選択肢1は工場組立の利点です。充電部を容器に収めてガスを封入した状態で運べるので、現場では容器をつないでガスを入れるだけで済みます。屋外の気中絶縁の設備に比べて据付面積も小さくなります。
選択肢3は密閉構造の裏側です。中が見えないので、事故が起きてもどこで起きたか外から分かりません。ガスを抜き、容器を開けて調べることになり、復旧に時間がかかります。この弱点があるため、部分放電の監視やガス圧の監視で異常を早めに捉えます。
選択肢4は容器に流れる電流の話です。三相一括形は1つの容器に3相をまとめて入れる形式です。3相の電流の和はゼロなので、容器の外に出る磁束が小さくなり、容器に誘導される電流も小さくなります。だから容器を何箇所で接地しても問題になりません。
| 形式 | 容器 | 容器の誘導電流 |
|---|---|---|
| 三相一括形 | 3相で1つ | 3相が打ち消し合うので小さい。多点接地でよい |
| 相分離形 | 相ごとに1つ | 打ち消しがなく大きい。接地の取り方に配慮が要る |
三相一括形は電圧の低い側(154kV以下あたり)で、相分離形は高い側で使われます。高電圧では相間の絶縁距離が要るので、1つの容器に3相を入れられません。
六ふっ化硫黄の地球温暖化係数は法令でいくらと定められているか。
23,500です。地球温暖化対策の推進に関する法律施行令 第4条第三十二号に定められています。二酸化炭素は1です。
三相一括形GISで容器の誘導電流が小さいのはなぜか。
1つの容器に3相が入っていて、3相の電流の和がゼロになり磁束が打ち消し合うためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月