令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.14は、風力発電に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、ナセルが何なのかを分かっているかを問うものです。ナセルは機器を収める入れ物で、制御装置ではありません。
風向に向けるのはヨー制御装置です。
正解:選択肢3(ナセルは風向に追従させる運転制御装置)
> この論点をやさしく解説:風力発電の風車とは?ナセル・ヨー制御・ピッチ制御の役割の違い
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ダリウス形は垂直軸形 | 分類のとおり。適当 |
| 2 | プロペラ形は回転速度の制御が容易 | ピッチ制御が使える。適当 |
| 3 | ナセルは風向に追従させる制御装置 | ナセルは格納容器。それはヨー制御。不適当 |
| 4 | ピッチ制御はブレードの設置角度を制御 | 定義のとおり。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、ナセルが風向に合わせて実際に回るので、回す仕掛けそのものだと思ってしまうところです。回されているのがナセル、回しているのがヨー制御装置です。
ナセルはタワーの上に載る箱で、中に入っているのは次のものです。
| 部位 | 役割 |
|---|---|
| ナセル | 動力伝達装置・発電機・制御装置などを納める箱。中身も含めた総称 |
| ヨー制御装置 | ナセルごと水平に回し、ロータの回転面を風向に向ける |
| ピッチ制御装置 | ブレードをねじって取付角度を変え、出力と回転速度を調整する |
| ブレード | 風を受けて回る羽根 |
ヨーは機体の向き、ピッチは羽根のひねりです。航空機と同じ言い方です。
この2つは入れ替えて何度も出ています。令和3年度 No.17では「ヨー制御装置は、風況に応じてブレードの設置角度を制御する装置である」と書いた選択肢が誤りとされました(公表正答は4)。同じ問題の別の選択肢では、ナセルを「動力伝達装置、発電機、制御装置などを格納するもの、及びその内容物の総称」と書いていて、こちらは正しい選択肢として扱われています。2年度をあわせると、ナセル=入れ物、向きを変えるのはヨー、羽根の角度はピッチで確定します。
選択肢1のダリウス形は、湾曲したブレードを縦軸に取り付けた風車です。垂直軸形なのでどの向きから風が来ても回り、風向に合わせて姿勢を変える必要がありません。ただし自力で起動しにくい弱点があります。
選択肢2のプロペラ形は水平軸形の代表で、ブレードのピッチを変えられるので回転速度を調整しやすいです。強風時にはブレードを風に対して立てて(フェザリング)受ける力を逃がします。
ロータの回転面を風向に向けるのは何という装置か。
ヨー制御装置です。ナセルは動力伝達装置や発電機を納める箱で、制御装置そのものではありません。
ブレードの取付角度を変える制御は何と呼ぶか。
ピッチ制御です。強風時にはブレードを風に立てて受ける力を逃がします。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月