令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.13は、水力発電に用いる水車に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、負荷が変わったときの効率の落ち方を分かっているかを問うものです。効率がほぼ一定なのはペルトン水車で、フランシス水車は軽負荷で落ちます。
選択肢1はこの2つを入れ替えています。
正解:選択肢1(フランシス水車は効率がほぼ一定)
> この論点をやさしく解説:水車の種類とは?衝動水車と反動水車の違いを整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | フランシスは効率がほぼ一定 | 軽負荷で大きく落ちる。不適当 |
| 2 | 吸出し管が設置される | 反動水車に付く。適当 |
| 3 | ペルトンは高落差での比速度が小さい | 数十に対しフランシスは数百。適当 |
| 4 | ペルトンは衝動水車 | 分類のとおり。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、フランシス水車が一番よく使われる水車なので、性能もすべて優れていると思い込むところです。使用範囲が広いことと、効率の落ち方が小さいことは別の話です。
2つの水車は、水量が減ったときの逃げ道が違います。
| 水車 | 水量を減らす方法 | 軽負荷での効率 |
|---|---|---|
| ペルトン | ノズルの使う本数を減らす | 使っているノズルは全開のままなので落ちにくい |
| フランシス | ガイドベーンを絞る | 水の流れる向きが設計から外れ、ランナ内で乱れて落ちる |
ペルトン水車はノズルを複数持ち、負荷に応じて使う本数を変えます。1本あたりの噴射の勢いは変わらないので、水の当たり方が崩れません。フランシス水車は水の通り道が1つで、絞ると流れの角度が羽根に合わなくなります。
NEDOの再生可能エネルギー技術白書も、衝動水車と対比して「水圧で回転する反動水車であるフランシス水車と比べて、使用落差によっては流量変化による効率変化が抑えられる」と書いています。流量が変わると効率が変わるほうがフランシス水車です。
選択肢2の吸出し管はドラフトチューブのことです。ランナを出た水にはまだ速度が残っているので、末広がりの管を通して速度を落とし、その分を圧力の回復に変えます。放水面までの落差も有効に使えます。反動水車に付くもので、水を大気中に放り出すペルトン水車には付きません。
選択肢3の比速度は、水車の形を表す数値です。ペルトン水車は10〜25程度、フランシス水車は50〜350程度で、高落差で使うペルトンのほうが小さいです。比速度が小さい=高落差・小流量向き、大きい=低落差・大流量向きと覚えます。
選択肢4の分類は次のとおりです。
| 分類 | 水車 | 水の使い方 |
|---|---|---|
| 衝動水車 | ペルトン、ターゴ、クロスフロー | ノズルで速度に変えて羽根にぶつける |
| 反動水車 | フランシス、プロペラ、カプラン | 圧力を持ったまま羽根の間を通し、出口で速度を回収 |
負荷が変わっても効率が落ちにくいのはペルトン水車とフランシス水車のどちらか。
ペルトン水車です。使うノズルの本数で水量を変えるので、噴射の勢い自体は変わりません。
吸出し管は何のために付けるか。
ランナ出口に残った水の速度を落として圧力に戻し、放水面までの落差も有効に使うためです。反動水車に付きます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月