令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.12は、三相誘導電動機の速度制御に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、二次抵抗を変えたとき速度がどちらへ動くかを分かっているかを問うものです。抵抗を大きくするとすべりが大きくなり、回転は遅くなります。
選択肢4はこれを逆に書いています。
正解:選択肢4(抵抗値を大きくすると回転速度が増大する)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | V/f一定制御は電圧と周波数を同時に可変 | 磁束を保つため。適当 |
| 2 | トルクは一次電圧の2乗に比例 | 電圧を下げるとトルクは大きく落ちる。適当 |
| 3 | 極数を増やすと回転速度が低下 | 同期速度は極数に反比例。適当 |
| 4 | 二次抵抗を大きくすると速くなる | 逆。遅くなる。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、前半の「比例推移を利用し二次抵抗を変化させて制御する方式」までが正しいので、そこで読むのを止めてしまうところです。誤りは末尾の一言だけです。
比例推移とは、二次抵抗を2倍にすると、同じトルクを出すすべりも2倍になるという性質です。式で書くと、二次抵抗 r₂ とすべり s の比が変わらない範囲でトルクが決まります。
| 二次抵抗 | すべり | 回転速度 |
|---|---|---|
| 大きくする | 大きくなる | 遅くなる |
| 小さくする | 小さくなる | 速くなる(同期速度に近づく) |
回転速度は N=Ns(1−s) です。すべり s が大きくなれば N は小さくなります。抵抗を入れて熱として捨てる分だけ遅くなる、と考えると向きを間違えません。この方式は巻線形でしか使えません。かご形は回転子に外から抵抗をつなげないからです。
選択肢3の極数切替は、同期速度の式そのままです。
同期速度
Ns = 120f / p [min-1]
f=周波数[Hz]、p=極数
例:60Hzで4極なら Ns=120×60/4=1,800、8極なら 120×60/8=900
極数 p は分母にあるので、増やせば速度は下がります。この論点は繰り返し出ていて、平成26年度 No.15と平成30年度 No.15では「同期速度が極数に正比例する」と書いた選択肢が誤りとされました(公表正答はそれぞれ2と3)。正比例ではなく反比例です。
選択肢1のV/f一定制御は、周波数だけを下げると磁束が増えて鉄心が飽和するので、電圧も一緒に下げて磁束を一定に保つやり方です。インバータの基本の制御です。
選択肢2は一次電圧制御です。トルクは電圧の2乗に比例するので、電圧を80%にするとトルクは0.8²=64%まで落ちます。小容量のファンやポンプ向けで、変えられる範囲は広くありません。
二次抵抗制御で抵抗を大きくすると回転速度はどうなるか。
遅くなります。比例推移によりすべりが大きくなるためです。巻線形誘導電動機でしか使えません。
60Hzで極数を4極から8極に増やすと同期速度はいくらになるか。
1,800min-1から900min-1に下がります。Ns=120f/pで極数は分母です。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月